エジプトに潜入したヒズブッラー細胞の目的はガザ支援ではなかったと拘束中の容疑者が自白
2009年04月14日付 Al-Ahram 紙
■ ナスルッラーの計画は、エジプト人とイスラエル人を狙った3つの作戦の実行が目的
■ サーミー・シハーブ容疑者:「作戦の目的はガザ地区の抵抗運動の支援ではなく、エジプト情勢」
■ ヒズブッラー指導者のひとりをはじめとする逃亡中の容疑者24人への訴追が間近に迫る
2009年04月14日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【カイロ:アフマド・ムーサー】
ヒズブッラーの細胞を率いていたムハンマド・ユーセフ・マンスール・サーミー・シハーブ容疑者が、驚くべき供述を明らかにした。そのうち最も重要なものは、「全作戦はエジプトの国内情勢を標的としており、ガザ地区での〔パレスチナ〕抵抗運動への支援とは無関係だ」という供述だ。
サーミー・ハーシブ容疑者は、「ヒズブッラー指導部は、エジプト領内で外国人、特にイスラエル人の観光客を狙ったテロ作戦実行の綿密な手配を自分に任せた。ダハブ、タバ、ヌエバ[=シナイ半島のアカバ湾に面したリゾート地]といった、シナイ半島のイスラエル人が多く集まる地域での自爆、自動車爆弾、時限爆弾などの作戦を行うように指示された」と強調した。
本紙記者が入手した情報によれば、最初のテロ攻撃は3ヶ所での同時爆破攻撃を目的としていて、標的はエジプト人・イスラエル人に加え、人の集まる3つの観光地の重要施設だった。実行後にはヒズブッラー指導部から、[去年2008年2月11日にダマスカスで暗殺された]ヒズブッラーの軍事指導者イマード・ムグニーヤ殺害への報復であるとの犯行声明が出されるはずだった。
そもそもはヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長が、同党情報機関の運営責任者であるナイーム・カースィム副官に指示を出し、カースィムから現在逃走中のムハンマド・カブラーン容疑者に権限が移譲された。そしてカブラーンから、今回逮捕されたムハンマド・ユーセフ・マンスール・サーミー・シハーブ容疑者に権限が移されたのである。去年の3月・4月の間にカブラーンは、ハッサーン・アル=グールという名を使い、偽造パスポートでエジプトに潜入したが、既にこのときからエジプト治安機関の監視下にあった。カブラーンはアリーシュ[=シナイ半島北部の町]に移動して、今回逮捕された容疑者のひとりの自宅でテロ細胞のメンバーたちと会い、爆弾や爆弾を装着したベルトの製造を監督していた。
ヒズブッラー党員のサーミー・シハーブ容疑者は、「情報機関責任者ムハンマド・カブラーンの背後にはヒズブッラー指導部がおり、ヒズブッラー幹部の中から任務にふさわしい専門家を選んで、テロ細胞の編成、アジトや移動用の車の手配、爆発物製造に使用される物資の購入にあたるよう、彼に命じていた」と続けた。
作戦の舞台はエジプトであり、最大の標的はシナイ半島南部地域、特にヌエバ、タバ、ダハブなどに集まるイスラエル人観光客だった。またそれは、2008年始めにダマスカスでヒズブッラーの軍事指導者イマード・ムグニーヤが暗殺されたことに対する、イスラエルへの報復のためだった。
シハーブ容疑者は、イスラエル人やその他の外国人観光客が多いシナイ半島の観光地域で標的とした数多くの観光施設やリゾート地を下見したと認めている。シナイ半島その他の様々な施設の偵察結果を報告すると、ヒズブッラー上層部が破壊工作の計画を立て、テロ細胞のリーダーに暗号を通じて届けられた。また、エジプト国境を経由してテロ作戦で使われる武器の密輸に加わるスーダン人をリクルートするという、テロ細胞の第二の役割も指示されたという。
本紙が得た情報によると、エジプト司法は数日中に、ヒズブッラーの情報機関責任者ムハンマド・カブラーンを筆頭とする、容疑者24人への逮捕状を出す。イスラエル周辺諸国で計画された今回の事件の責任者はムハンマド・カブラーンであり、逃亡者たちについても追跡のための法的措置が講じられる予定だ。逃亡者は全員、エジプト以外のアラブ諸国の出身である。
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( 記事ID:16255 )