レバノン情勢:イスラエル協力者の逮捕、「作家達の世界的首都ベイルート」他
2009年04月26日付 al-Hayat 紙

■ 「作家達の世界的首都ベイルート」、活動開始
■ レバノン:イスラエルのために動くネットワークを摘発

2009年04月26日付アル・ハヤート紙(イギリス)HP1面

【ベイルート:本紙】

国会選挙ムード一色と思われた昨日(25日)のレバノンで、二つの事件が起きた。第一として、国内治安軍情報局が、イスラエルと通じている疑いのある新たなネットワークを摘発、昨日午前、そのメンバー3名を南部で拘束した。一年以上もの捜査の成果とされる。第二は、「作家達の世界的首都ベイルート」の活動開始を、スライマーン大統領、ムーサー・アラブ連盟事務局長臨席の下、公式に祝った事である。これにより、今後数ヶ月間、重要なイベントが続くものと思われる。

もちろん選挙関係でも、全国各地での週末の選挙運動の盛り上がりに加え、3月14日勢力も反政府側も相変わらず候補者リストの確定に四苦八苦している状態である。

本紙が入手した情報によれば、イスラエル協力者については、事前の追跡捜査により、直接の対面聴取に十分な情報が収集されたため、彼らが治安事件を起こす前にと情報局が逮捕に踏み切ったものである。治安筋によれば、拘束された容疑者達は、サイダのアイン・ヘルワ難民キャンプ、ナバティーエのザバディーン及びマルジェオーンで活動していた。容疑者の一人、アイン・ヘルワ・キャンプ周辺地区出身のパレスチナ人イブラーヒーム・アウドについては、レバノン当局が指名手配するアブドッラフマーン・アウドの甥であるか否かが取りざたされている。アブドッラフマーン・アウドは、やはり指名手配中のシャーキル・アル=アバシーに代わり「ファタハ・アル=イスラーム」指導者の座にいるとされる。他2名は、ザバディーン出身のアリー・ハッサン・ファティシュ、ザハレのハディーサ出自であるがマルジェオーンに在住していたロベール・クフーリーである。

3名の容疑の具体的詳細については、治安筋は明かさず、昨日以来公開捜査が各人の居住地域で開始されており、成果が出るまでに一両日かかるだろうと述べるにとどまった。

同筋によれば、本件逮捕は、別の(イスラエル協力)組織リーダーとして数日前軍法会議へ送られた退役将校の取り調べの成果ではなく、他方面からの情報によるものであった。それにより、レバノン治安攪乱を狙うイスラエルのプランにおいて、二つのネットワークが個別に活動している可能性が出てきたという。


「作家達の世界的首都ベイルート」の活動開始式典においては、スライマーン大統領が、抵抗と平和、憲法の名における対話を体現するレバノンを強調し、タンマーム・サラーム文化相は、「民主的に国民和平の歩みを支持する機会としての選挙こそ、レバノンが専心する国民的成熟の証である」と述べた。

ムーサー事務局長は、「多くの地滑り的現象」につながる地域の不安定要因への注意喚起をレバノン側に呼びかけ、レバノン各派間の紛糾が収まることを希望するとした。また、アラブ連盟は、「アラブ諸国が病人とならないよう全力を尽くしている」と述べた。

スライマーン大統領、ビッリー国会議長、セニョーラ首相、「ムスタクバル」派リーダーのサアド・アル=ハリーリー議員らと会談したムーサ事務局長は、ヒズブッラーとエジプト間の問題につき、昨日のスライマーン大統領の本紙へのコメントに言及しつつ、「外交努力により解決されるべき」とした。

選挙関係では、ビッリー議長とハリーリー議員の間でベイルート第二区の候補者2名が確定され、それを通じてドーハ合意適用に関わるステップについても両者間で合意した。


他方、ルーミエ刑務所においては、昨日、レバノン特別法廷裁判長アントニオ・カーシジーの覚書きが実施され、取り調べのため拘留中の将校4名に対し、監視や盗聴無しで少なくとも日に2時間弁護士と会見を許可する措置がとられた。

ジャミール・アル=サイイド少将の弁護士アクラム・アーズーリーは、同措置が開始された事を確認した。また、昨日レイモン・アーザール中佐が代理弁護人と監視なしで会見した事が知られている。明日月曜の正午を期限として、ダニエル・ベルマール判事からダニエル・フランシーン予審判事への書簡の形式で、将校4名の拘留が継続されるのか否かが告知される。

アーズーリー弁護士は、本紙へのコメントとして以下を述べた。

「この拘置事件に関し、現在の国内(政治)情勢にひきずられず純然たる司法の形式を保つため、メディアには静かにしていてもらいたい。本件は今や司法ケースの一つに過ぎず、将校達も人間であり家族がいる。レバノン特別法廷が規程に則して彼らの措置を決するのであり、国内政治とは無関係である。特別法廷は3月1日に設置されて以来、寸暇を置かず手続きを整え、2日後にはベルマール判事が送検を要請、レバノン政府側は数日で応じた。政府の措置は満足のいくものであり、弁護側は安心して司法問題に取り組める。」

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:16296 )