コラム:イラクにおける非識字率と国家建設への影響
2009年05月01日付 al-Sabah al-Jadid 紙

■非識字者にイラクを築くことはできない

2009年05月01日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)見解面

【筆者:サーディク・バーハーン】

国を建設する人々は、全ての分野において最高の知識と教育を得た人々である。日本では第二次世界大戦での敗戦後、裕仁天皇が国民の前で「敗戦したということは、我々に勝利した側は我々よりも知識で勝っていたということである。武器を捨て、知識獲得に向かいなさい」と述べたのだ。

 日本人は知識の獲得へまい進し、選挙を経て自由民主党が政権を獲得し、短期間で奇跡的な経済発展を遂げ、世界市場に進出した。これは、大韓民国、マレーシア、ブラジルについても言えることである。

 しかし、革命アラブ政権は、「統一、自由、社会主義」のスローガンを掲げるだけで、統一も自由も社会主義も実現されることはなく、知識も教育も蓄積されなかった。その代わり、彼らは刑務所や秘密の強制収容所を建設し、誰よりも発展と文明と自由をもたらす権利のある人々でそこを満たした。自由なしでは創造できず、能力のある人々なしに、適材適所なしに建設はできない。

 この導入から、本論であるイラクにおける識字率の問題に移りたい。

 フダイル・アル=フザーイー教育相はインタビューにこたえて、非識字率が30%を超える広まりを見せていることを受け、教育省は全国で識字教育のためのセンター開設というプロジェクトを始動させると述べた。3年間のプロジェクトの運営費用をまかなうため、このプロジェクトには2千万ドルの資金的援助が必要であるという。「2千万ドル?」と疑問に思うかもしれない。

 この馬鹿げた金額は何なのか。大韓民国は、自国の学生が欧州の大学で知識を得るために1億5千万ドルを投じている。

 奇妙なのは、教育相がイラクにおける非識字率の増加の原因、そしてイラクの家庭を疲弊させた国際社会による経済制裁下での社会経済的な状況を、明確に説明しなかったことである。旧フセイン体制がイラク社会の軍事化を進めたにもかかわらず、何千ものイラク人学生が学校や専門学校、大学を去り、生活費を稼ぐため、短期の仕事を探しに市場に出た。私は、自分の名前すら正しく書けない小学校6年生の学生を見つけた。一方で私の兄は、私が6歳の時に、フランス人哲学者アンリ・ベルクソンが書いた『笑い』の英語版をプレゼントしてくれて、今でもとってある。私が大学で学生に英文学を教えていた当時のことについては、さまざまな機会に語ってきたので、〔また思い出して〕傷口に塩をぬるようなことはやめておこう。

 非識字者には決してイラクを築くことはできない。知識が豊富で能力のある人々にのみ、イラクを築くことができるのである。

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( 翻訳者:ホサム・ダルウィッシュ )
( 記事ID:16361 )