豚の殺処分を進めるエジプト政府に不適切だとの国際的批判
2009年05月01日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ エジプト政府、豚の処分に軍隊用の処分場を借用

2009年05月01日付クドゥス・アラビー(ロンドン)HP1面

【カイロ:アシュラフ・バドル、シンシア・ジョンストン】

エジプトのアミーン・アバーザ農業・土地改良相は昨日、「エジプトが豚インフルエンザの危険性に警戒して処分を決めた豚を殺処分するためには、民間の処分場 では足りないため、当局は軍用の処分場に応援を要請する」と述べた。

エジプトは水曜日に国内のすべての豚の処分を決定し、国連にその措置 は「真の過ち」であると評された。政府系メディアによると、殺処分の実施には1ヵ月かかるかもしれないという。アバーザ農相は、「民間では十分でないため、30万頭を超える豚を殺処分する問題は困難である。我々は軍用の処分場に応援を依頼することになるだろう」と述べた。

 さらにアバーザ農相は、「それらの豚肉は冷凍され、消費者に販売される」「骨を除去した後、豚肉は冷凍庫に保存される」と付け加えた。エジプトの高官らは、豚を処分する必要性への確信を強調する一方で、その肉は安全だと述べている。

アバーザ農相はまた、「何人かの養豚業者は豚の殺処分を防ぐため、豚を隠そうとしているが、当局は実際に、それらのうち1000頭以上を押収した」と述べた。

 国連食糧農業機関の担当者は昨日、〔豚インフルエンザ〕ウイルスに関する 混乱を正すため、エジプト側の責任者たちと連絡を取ろうと試みたが、成果はなかったと述べた。

 パリに拠点を置く世界動物保健機構は、「各国が努力を傾注すべきなのは殺処分ではなく、この病気に対する適切な監視であり、豚が飼育され、食肉処理されている場所での生物学的な保護措置の強化である」「豚の殺処分は、病原となっているH1N1型に代表されるような危険から、一般の人々の健康や、動物の健康を守らないだろう。このような措置は適切ではない」と述べた。

 エジプト政府系のアル・アハラーム紙によると、養豚業者は処分される豚一頭につき 、補償金1000エジプトポンド(=177ドル)を得られるというが、独立系の新聞は、当局は豚の殺処分への補償金は支払わないだろうと報じている。

(後略)

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( 翻訳者:青山沙枝 )
( 記事ID:16439 )