イラク議会、「シーア派は不信仰者」とのイマーム発言についてサウジに謝罪を要求
2009年05月15日付 al-Quds al-Arabi 紙

■イラク議会、「シーア派は不信仰者」とのメッカ・聖モスクのイマーム発言についてサウジアラビアに謝罪を要求

2009年05年15日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ロンドン:本紙:アフマド・アル=ミスリー】

 あるイラク人議員によると、メッカの聖モスクのイマームによる発言はイラクのシーア派に対する「中傷」だとして謝罪するよう、イラク議会がサウジアラビア当局に求めた。

 サドル派のイラク議会議員、ナスィール・アル=イーサーウィー議員が、イタリアの通信社「AKI」と会見し、「議会に議席を持つすべての政治ブロックが、メッカの聖モスクのイマーム、アーディル・ブン・サーリム・アル=カルバーニー師が最近発表した、シーア派を中傷する内容の声明について謝罪するよう、サウジアラビア当局に求めた」と語ったのだ。

 イーサーウィー議員の説明によると、最近開かれた会合で議会はこの発言について議論し、暴力を煽り、イスラーム教徒間の宗派抗争や、敵意と憎悪の拡大を促すものだとの見方が示された。そしてサウジアラビア政府に対し、この発言に関して沈黙を守らないよう求めたのだという。

 「議会出席者の絶対多数をもって、カルバーニー師に対する提訴と、シーア派イスラーム教徒全員の名誉回復を保証する法的措置の実施を、イラク政府に求める決議を採択した」「またこの決議はイスラーム教徒の団結を引き裂き、分裂の精神を広めることのみを目的とする、イスラームへの中傷にほかならないこの発言について、サウジアラビア政府に謝罪を求めている」とイーサーウィー議員は語る。

 大半のアラブ・イスラーム諸国のシーア派権威筋は、カルバーニー師の声明を厳しく批判しており、イスラーム法の文言を用いてイスラーム教徒を分断し、「不信仰者だと決めつける」宗教者に対し、司法の場で「厳格な処罰」を与えるための専門法廷の設置を要求している。

(中略)

 メッカの聖モスクのイマームを務めるアーディル・アル=カルバーニー師は、シーア派ムスリムのウラマー〔=学識者・法学者〕たちのサハーバ〔=預言者ムハンマドの教友〕への立場を根拠に、 彼らを不信仰者(カーフィル)であるとみなすと同時に、サウジ人シーア派教徒が宗派差別を受けていることを否定する発言をしていた。

 カルバーニー氏はイギリスのBBC放送との会見で、サウジ王国内のシーア派国民が宗派を理由に差別を受けていることへの質問に関連し、彼らは十分な権利を得ていると答えると共に、米の信教の自由委員会の報告書が報じたような、サウジ国内で彼らの信仰上の権利が侵害されているとのサウジ人シーア派の訴えに疑問を呈した。

 そしてカルバーニー氏はアナウンサーのハサン・ムアッウィド氏による「シーア派の誰が不信仰者なのか」との質問に関して、「シーア派全体を不信仰者とみなすことには検討の余地があるが、シーア派ウラマーに限定すれば、彼らは一様に不信仰者だと思う」と答えた。

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:青山沙枝 )
( 記事ID:16504 )