ロバの背に燃料をのせて・・・―イラン国境、密貿易の実態
2009年05月27日付 Radikal 紙


 ヴァンで、とりわけ国境地帯の村々で生きる者たちは、液体燃料を筆頭に様々な製品の密貿易を行いながら生活を支えている。ヴァンの、イランとの国境地帯の村々において密貿易業者らは、何千頭もの馬やラバを用いて祖国へと何千トンもの重油やガソリンを密輸している。

 郊外では軍警察、都市中心部では警察が密貿易業者に対して有効な手だてを行うよう努めている。軍警察が2008年のみで100万トンを超える密輸液体燃料を押収したことが明らかにされた。

トルコにおけるイランとの国境地帯であるヴァンでは、あらゆる種類の密貿易に遭遇することが可能である。西部の各県へと輸送される麻薬やヨーロッパ各国へ向かうことを望む者たちの通り道となっているヴァンは、さらにはイランから持ち込まれ国内市場へと売却される密輸タバコ、砂糖、お茶の中心地という特徴を持つ。しかし、この密貿易の種類の中でも持ち込まれる量という点では最重要の地位を液体燃料が占める。国境地帯の村々からは毎年何百万トンという液体燃料が密貿易という手段でイランから祖国へと持ち込まれている。イランで安価に採取される液体燃料は、馬やラバの背に載せられ国境地帯の村々へ、そしてここからは自動車の荷台で、もしくは20リットルのドラム缶の中でヴァンの中心部、またはヴァン近郊のハッキャーリ、ビトゥリス、アール県へと輸送され売却されている。

■ 馬とラバの群れ

イランから持ち込まれる液体燃料の輸送には馬やラバが用いられている。国境地帯の村々では密貿易業者それぞれが5~10頭のラバと馬を持つ。この動物たちが合計何千という数字で表される群れをなしている。こうした馬とラバを用いて国境から何トンもの液体燃料が祖国に持ち込まれている。密輸液体燃料の輸送において最も重要な役割を負っている馬やラバに対しては、必要な注意も払われていない。群れが通過する通り道では何十頭もの馬やラバの死骸を見ることが可能だ。

■ 軍警察は1644の作戦を実行した

 ヴァン全域では軍警察官らが2008年で密貿易業者に対して1644の作戦を実行した。この作戦で1932人が保護観察に処される一方、このうち243人が拘留、刑務所へと収容された。作戦の結果6万1千トンの密輸ガソリン、94万6千トンのディーゼル油、1トン335キロ837グラムのヘロイン、1トン835キロ202グラムの大麻、475万8114箱の密輸タバコ、440キロのお茶、701キロの砂糖が押収された。さらには、違法な密入国者5490人が逮捕された。

■ 供給―需要の釣り合い

 ヴァン県警のM.サーリヒ・ケスメズ本部長は、県で密貿易に関連して行ってきた活動を評価した。ヴァンではあらゆる密貿易に遭遇することが可能だと語るケスメズ署長は、以下のように述べた。

「麻薬の密貿易が筆頭として行われている。麻薬はヴァンを通りトルコへと入る。イスタンブルとエディルネを通りヨーロッパ諸国へと持ち込まれている。加えてこの他にも液体燃料の密貿易がある。我々の県に隣接するイランでは液体燃料の価格が極めて低く、我々においては高額であることが、供給と需要バランスによりそこから我々の国へと密貿易という形で重油やガソリンが入ることが可能となっているのである。」

■ テロ組織も利益を得ている

 ケスメズ本部長は、密入国とタバコの密貿易が頻繁な形でヴァンを通り行われていることに注意を引き、以下のように述べた。

「イラクにおいて安価、低品質で製造されるタバコは、我々の国へ密貿易という手段で入っている。価格が低いために需要があり、密貿易が行われている。加えて密入国は最も重く最も受け入れがたいものだ。一般的にアフガニスタン、パキスタン人が関わり、あらゆる国の国民が一部手を染めており、ヨーロッパやアメリカへ渡る幻想を抱いている。これも残念ながら我が国を介して行われている。その通り道もヴァン経由であるために、我々はこれとも闘争をしている。もちろんこれも多方向からの活動を必要とさせている。ヴァンでの密貿易との我々の闘いはトルコ(全体で見ると)少ない。イスタンブルと比較してのことだ。ここで始まった冒険はイスタンブルで終わっている。年々摘発規模が前年を超えている。ここで密貿易を罪もないと考えてはいけない。この地域で、特に国境地帯でテログループが存在し、テログループもここで利益を得ていると考えれば、いくらか密貿易の形式が特殊であることが理解できる。我々を最も苦闘させるのが、麻薬だ。なぜなら麻薬が有力な組織に貢ぎ物として渡る資金源だからである。時々我々に対し質問が投げかけられる、『組織は関係しているだろうか』と。組織はごく稀に関係している。なぜなら組織は直接従事する代わりに、国境地帯を通過する者から貢ぎ物をとる方法をとっているからだ。」

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( 翻訳者:岩根匡宏 )
( 記事ID:16546 )