【政治部】スィースターン・バルーチェスターン州知事はザーヘダーンで起きた爆破事件の容疑者が逮捕されたことを明らかにした。同知事は、治安・情報部隊の努力によって、ザーヘダーンのアリー・イブン・アビーターレブ・モスクでの爆破事件に関わったテロ・グループのメンバーら数名が逮捕されたと述べた。
〔※「アリー・イブン・アビーターレブ」とはシーア派初代イマーム・アリーのこと。このことから、テロ事件が起きたモスクがシーア派のモスクであることが分かる〕
日没の礼拝時にこのモスクを襲った爆破事件は、殉教者25名、負傷者80名以上を出した。スィースターン・バルーチェスターン州のアリー・モハンマド・アーザード知事は、テレビでの会見で事件について、「今回の爆破事件を起こし、ザーヘダーンからの脱出を試みたテロリスト集団は、情報部隊によって逮捕され、現在取調べが続けられている」と説明を行った。
州知事は、「このテロリスト集団のメンバーらは、ザーヘダーンの別の地域でも爆破を計画していたが、スィースターン・バルーチェスターン州情報局の努力により逮捕された」と付け加えた。
同氏はさらに、「テロリストらは、イランの東側の隣国が不安定化していることに着目し、〔大統領〕選挙を目前に控えたこの時期に州の秩序を混乱させようと企てていた」と述べた。
同州のジャラール・サイヤーフ政治・治安担当副知事もファールス通信とのインタビューで、爆破事件に関与した集団のメンバー3人が逮捕されたと述べ、「この集団は国境を越えて、我が国に入国していた」と続けた。
副知事はまた、「入手した情報によると、テロリストたちはアメリカや抑圧主義諸国の傀儡にカネで雇われていたことが確認されている」とも述べた。
この事件を受け、州の最高指導者代理と同州知事は共同声明を発表、この犯罪を非難し、今回の事件で命を落とした殉教者たちに敬意を表して、スィースターン・バルーチェスターンでは3日間喪に服すると宣言した。
ザーヘダーン選出のホセインアリー・シャフリヤーリー国会議員もイラン労働通信(ILNA)とのインタビューで、今回の爆破事件が自爆によるものであった可能性もあるとし、ワッハーブ派がこの犯罪を実行した可能性が高いとも述べた。同氏は民族・宗派間の対立が今回の事件の動機にあるとの見方を否定している。
昨日の朝、テロ犯罪後の最初の集団礼拝がザーヘダーンのアリー・イブン・アビーターレブ・モスクで行われた。
テロ事件にアメリカとイスラエルが関与
テヘラン金曜礼拝で演説を行ったアーヤトッラー・ハータミー〔※ハータミー前大統領とは別人〕も、ザーヘダーンのシーア派モスクで起きたテロ行為について言及し、「信仰心なきワッハーブ派およびサラフィー主義者どもの監督の下、アメリカとイスラエルの手先がこの事件に関与していたことは間違いない。シーア派とスンナ派を分裂させようとする敵の陰謀に注意しなければならない」と述べた。
〔※サラフィー主義とは、イスラーム初期の純粋なイスラームの回復を目指すスンナ派の思想潮流の一つ〕
ハータミー氏は、「ザーヘダーンのシーア派モスクで抑圧主義諸国の手先どもが起こした犯罪行為は、ファーティマ閣下の死を悼む人々の心を、一層傷つけた。このテロ事件で亡くなったすべての殉教者のご遺族にお祝いとお悔やみのことばを述べなければならない〔※〕」と付け加えた。
〔※ファーティマは、預言者ムハンマドの娘にして初代イマーム・アリーの妻で、シーア派では聖人の一人に位置づけられる。テロ事件が起きた5月28日は、イスラーム太陰暦でファーティマ殉教記念日にあたり、事件現場となったモスクはファーティマの死を悼む人々でごった返していた。ハータミー氏がここで「お祝い」と述べたのは、ファーティマが殉教した特別な日に敵の攻撃で「殉教」したことで、犠牲者たちには天国が約束されると考えたためだと思われる〕
同氏はさらに「シーア派信徒とスンナ派信徒との間に分裂を引き起こそうと考えている敵の陰謀に注意しなければならない。必ずや、強力なイスラーム体制はこの犯罪の舞台裏で暗躍するエージェントどもを逮捕し、彼らに極刑を突きつけてくれるであろう」と続けた。
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( 翻訳者:尾曲李香 )
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