テヘランで170名が拘束:ラーダーン司令官が明らかに
2009年06月15日付 E'temad-e Melli 紙
【政治部】ラーダーン治安維持軍総司令官代行は、大統領選の結果発表を受けて発生した路上での抗議集会に関連して、過去数日間で約170名が拘束されたことを明らかにした。
ラーダーン司令官によると、「大統領選後、集会を計画した主要人物を最低でも10名」拘束したという。同司令官は「他に数名が現在逃亡中である。またこの集会に組織的に関わった50名に上る騒擾者も逮捕された。彼らの一部は、窃盗の罪で前科を持つ者たちである」とし、さらに「この集会に関して組織的に関与はしなかったものの、集会参加者たちと一緒にいた計110名を逮捕した。彼らのほとんどは所定の捜査を受けた後、釈放される見込みだ」と続けた。
ラーダーン司令官はさらに、「われわれは、群衆の中に組織化された者たちがいるということについて、十分な情報を得ている。逮捕された者たちの中にも、組織化された者たちが数名含まれている。これらの者たちの捜査が終わり次第、国民に詳細を明らかにするつもりだ」と語った。
一部の著名人の拘束の噂も
他方、日刊紙「ジャヴァーン」はモスタファー・タージザーデ〔元内務次官〕やアリー・タージェルニヤー〔元国会議員〕らの拘束について報じている。同紙によると、彼らが逮捕された部屋からは、「通信機器や盗聴器、相当量の棍棒やナイフといった武器」が発見され、騒擾計画は事実上、未然に防がれたという。
その一方で、昨日朝、一部の政治・社会活動家たちが拘束されたとの噂も流れた。このことに関し、ベフザード・ナバヴィー〔元国会副議長〕、モハンマド・レザー・ハータミー〔ハータミー前大統領の弟〕、モフセン・ミールダーマーディー〔イラン・イスラーム参加戦線党の党首〕、アブドッラー・ラマザーンザーデ〔元政府報道官〕、ザフラー・モジャッラディー、モハンマド・アトリヤーンファル、タギー・ラフマーニー、ハディー・サーベル、アフマド・ゼイドアーバーディー、レザー・アリージャーニー、その他参加戦線中央評議会委員やイスラーム革命聖戦士機構中央評議会委員、「国民=宗教派」関係者らの名前が逮捕者として挙がっている。
この報道は公式筋からは確認されていないが、ミールダーマーディー、ベフザード・ナバヴィー、モハンマド・アトリヤーンファル、レザー・ハータミー、ザフラー・モジャッラディー、その後ややあってタギー・ラフマーニー、レザー・アリージャーニー、ハディー・サーベルらが釈放されたとの報道も伝えられており、これらの拘束は一時的なものであったことが明らかとなっている。
ムーサヴィー陣営にとって最も重要なニュースは、「キャラメイェ・サブズ」(緑のことば)紙が発行を禁じられたことだ。同紙はミール・ホセイン・ムーサヴィーが発行責任者・発行権所有者を務める日刊紙。同紙の発行制限は、司法権以外の筋からの命令によるものである模様だ。
他方、マフムード・アフマディーネジャードの主要な機関メディアであるファールス通信は、「X委員会」なる委員会が結成され、「参加戦線党、国民派〔=モサッデグの国民戦線に連なる人たち〕、イスラーム革命聖戦士機構の急進分子らによる座り込み運動が計画されている」と報じている。
金曜日夜、投票終了から数時間も経たぬうちにアフマディーネジャードの勝利を報じたファールス通信は、路上集会について次のように書いている。「テヘランのごろつきどもによる路上での騒乱に続き、候補者の中の一人〔=ムーサヴィー〕が当選しなかったことへの抗議のためと称して、参加戦線党、国民派、聖戦士機構などの急進分子らによってX委員会なるものが組織され、新たな対策が提案された」。
この報道によると、X委員会は新たな対策として座り込みの抗議運動を提案し、社会一般の雰囲気を煽り、騒擾の裾野を広げることを目的として、イマーム・ホメイニー廟やジャマーラーン〔※ホメイニーが革命後居を構えたテヘラン北部の地区〕で座り込みを実施することを計画しているという。
ファールス通信はまた、別の報道のなかで「〔路上の抗議集会は〕治安部隊や警官との衝突、市民の公共・私有財産の破壊を伴った」と伝え、「騒乱を組織したミール・ホセイン支持者たちの計画したプランに沿って、〔テヘランを南北に縦断する幹線道路の〕ヴァリー・アスル通りやヘジャーブ通り、〔テヘラン中心部の〕革命広場など、人通りの多い市内数カ所で抗議集会を開いた騒擾者たちは、いまや民兵組織化して、公共財産や警察の車両に放火したり、公共・私有の建物のガラスを割ったりしている。彼らはそうすることで、市民らの間に恐怖に満ちた雰囲気を作り出そうとしている」。
市内の様子を伝えるその他の報道によると、諜報部員らはミール・ホセイン・ムーサヴィーの過激な声明が書かれたビラ数十万枚をばらまこうとしていたバン型のタクシーの検挙に成功したという。
他方、一台のバスが放火されたため、市民数名が大けがをしたとの情報も伝えられている。
その一方で、ヴァリー・アスル通りにあるミール・ホセイン・ムーサヴィー選挙事務所は騒乱の中心地と化しており、警察によって取り囲まれた状態が続いている。そのような中、治安維持軍は法的許可なく集会を開き、「カーニバル」を行わぬよう市民に警告する声明を発表している。
治安維持軍公共安全警察の声明には、次のようにある。「選挙法に従い、治安維持軍総司令官代行の会見での発言にもとづき、法的許可のない集会、デモ行進、お祭り騒ぎなどはいかなるものであれ禁止する。治安維持軍は自ら本来の職責にもとづき、あらゆる種類の違法行為を厳しく取り締まる」。
治安維持軍はさらに、集会の違法性について強調した上で、「〔今回の集会によって〕引き起こされた結果の責任は、大統領選の各候補者ならびに各選挙事務所の責任者にある」と明言している。
抗議集会を行う計画はない
過去数日間にわたり、市内では不穏な状況が続いているが、その一方で候補者らは声明を発表し、支持者らに受けて平静を保つよう呼びかけている。
メフディー・キャッルービーは支持者らに平静と自制を呼びかけ、ミール・ホセイン・ムーサヴィーも声明を発表して、支持者らに自らを危険に晒さぬよう、また平静と自制を失わぬよう求めている。
ムーサヴィーは声明の中で次のように記している。「いかなる状況にあっても理性を保ち、暴力的な行動から身を遠ざけるよう、すべての人に求める。また、治安維持軍にも、理性を保ち、市民を自らの同胞だと考え、現在の彼らの感情を理解していただくよう期待する」。
他方、ムーサヴィー選挙本部のある責任者は、ムーサヴィー選挙本部によって抗議集会が組織化されたとの指摘を否定した上で、「様々な問題について声を上げる際には、法に基づき、自制心を保つよう注意しなければならない。騒乱・違法行為の罠に絡め取られることのないよう、人々に呼びかける」と述べた。
同氏はまた、「言うまでもなく、われわれは、公共財産の破壊は誤っていると考えている。騒乱は人々にとって好ましいものではないと確信する」と付け加えた。
〔中略〕
同氏はまた、ムーサヴィー氏が軟禁状態に置かれているとする一部の噂を強く否定、噂に耳を貸すことなく、ムーサヴィー氏の公式サイトを通じて同氏についての正確な情報を得るよう、人々に呼びかけた。
他方、昨日テヘラン大学バスィージはムーサヴィーに向けて強い調子のメッセージを発した。このメッセージは、ムーサヴィーを「妄想にとらわれている」として非難、ムーサヴィーとアフマディーネジャードが獲得した票数の違いを指摘して、次のように強調する内容となっている。
ムーサヴィー氏よ、あなたはあろうことか、このような〔妄想にとらわれた〕ことばを使っているが、それが意味するのは、騒乱・騒擾を引き起こそうと考えているか、ないしは選挙というもののがいかなるものかを知らないか、そのいずれかである。このような人物が大統領候補として、行政府の長を担おうと考えていたとは、嘆かわしい限りである。
あなたは一部のメッセージの中で、我が国にはこのような選挙結果は相応しくないなどと暗に指摘しておられるが、〔アフマディーネジャードを選んだ〕2400万人のイラン人の見識を侮辱する権利など、どこにあるというのか。これは法の無視というものではないのか。あなたは他人〔=アフマディーネジャード〕を、法を無視しているといって非難したが、あなた自身法を無視しているのではないのか。
バスィージたちはこの声明の中で、さらにムーサヴィーに対して次のように述べて、「最後通牒」を行っている。
あなたに最後通牒を行わねばならない。残念なことにあなたは声明の中で、最高指導者の見解に反したことを述べ、あなたの一部支持者たちが国の財産に深刻な被害をもたらす行動を起こす原因を作ってしまった。われわれテヘラン州の諸大学に所属するバスィージ大学生は、騒乱を引き起こし、体制に傷を付け、外国メディアの格好の餌食となるような声明をあなたが続けていることに対して警告するとともに、人民の票を守るためならばあらゆる方法も辞さないこと、いかなる人物に対しても容赦はしないことを、ここに宣言する」。
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( 翻訳者:斉藤正道 )
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