■ ハマースとファタハ、カルキリヤでの事件への報復措置となるガザ地区での一斉逮捕の後、非難と威嚇の応酬
2009年06月07日付アル=ハヤート紙(イギリス)HPアラブ世界面(東アラブ)
【ガザ、ラーマッラー:本紙ファトヒー・サッバーフ】
カルキリヤでの2回にわたる事件につづき、ハマース軍事部門「カッサーム部隊」の有力幹部であった殉教者ヤヒヤー・アイヤーシュ、通称「技師」の家が急襲された、西岸地区とガザ地区でファタハとハマースの間の緊張が先鋭化している。これに対してガザの解任された[ハマース]政府内務省の管轄下にある域内治安機関は、ガザ地区でファタハ活動家数十人を逮捕することで応じ、ファタハ側はハマースによって行われたこのファタハ活動家に対する措置について激しく非難している。
ファタハ側は、ハマースがガザ地区のファタハ幹部サーミー・ニスマーンを自宅で逮捕しようとした際、その父親のアブドゥッラー・ニスマーンを死なせたと非難している。一方でハマース政府の内務省は、ファタハの活動家たちがパレスチナ自治政府に情報を提供し、それがイスラエルに送られてガザ地区でのハマースに関する「新たな情報バンク」が形成されていると主張している。ある人権団体筋は、ガザ地区各地で逮捕されたファタハ活動家の数は、幹部や活動家など50人ほどではないかと推測する。しかしファタハからは、逮捕に関する情報は公表されていない。
ファタハは本紙に送った声明で、「アブドゥッラー・ニスマーンは、ハマースの武装グループが、ガザ地区のファタハ幹部でパレスチナ情報機関の将校でもある息子のサーミー・ニスマーンを拘束しようとした際に死亡した」と述べた。そして、「サーミ―は家にはおらず、ハマースの武装グループは彼の兄弟を逮捕し(後に釈放)、父親のアブドゥッラーに暴行を加え、彼はその場で殉教するに至った」と付け加えた。
ファタハのファフミー・アル=ザアーリール広報担当は、「ハマースはファタハのメンバーに対する大規模な逮捕作戦を始めており、ハマースの治安機関員らは『指名手配者』リストに載っている者たちを探している」と述べ、「ハマースは大規模な拉致作戦をガザ地区で行っており、ファタハのメンバー数十人がその対象になっている。ハマースは何百人もの名が載ったリストを持ち、ファタハ活動家の家屋を荒らし、家族に暴行を加え、書類やコンピュータ機器や通信機器など多くの家の物品を盗んでいる」と彼は言葉を付け加えた。
またザアーリール氏は、「ファタハの活動家に対して行われている措置の背後にはハマースの内部危機という事情があり、ハマースはこれが『カルキリヤの事件への報復である』ことを売り込もうと懸命である」と続け、ハマースに対して「ハマースはこの行為によって、アメリカ政府およびバラク・オバマ大統領の姿勢表明を受けて広がっている国際社会の占領政府に対する圧力から視線を逸らすことで、まさしくイスラエルの思惑を実現している」と警告する。
(後略)
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( 翻訳者:鈴木啓之 )
( 記事ID:16758 )