ナブッコ本日(13日)調印式、しかし供給元は未確定
2009年07月13日付 Radikal 紙
カスピ海と中東ガスのガスをトルコを介してヨーロッパへ運ぶナブッコ天然ガスプロジェクトの最も重要な政府間協定が今日アンカラで調印される。パイプを通るガスについては、まだ具体的な展開がないが、参加国や企業はバクー・セイハン間同様に計画途上で改善されると信じられている。
中東とカスピ海の天然ガスをヨーロッパに運ぶ、ヨーロッパを天然ガスにおけるロシアの独占から救い出すナブッコ天然ガスパイプラインプロジェクトの最も重要な一歩を今日アンカラで踏み出す。天然ガスの供給源となりうる国々とともに、ヨーロッパの天然ガスの消費国が同じ卓上で会合する調印式で、グルジアのミへイル・サーカシヴィリ大統領に加え、トルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリアの首相らとともに多数の大臣や高級官僚が立ち会う予定だ。
■ 最大の問題はガス
ヨーロッパ投資銀行、ヨーロッパ再開発・発展銀行とともに、ナブッコ・コンソーシアムが融資を保証するプロジェクトの現在最も重要な問題は、天然ガスの供給源を見つけることだ。
アメリカとEUはアゼルバイジャンとともにトルコメニスタンをロシアの影響から救い、プロジェクトに積極的に参加するよう努めている。
イラク、エジプト、シリアを「潜在的供給源」として見ているプロジェクトでは、イランが最も容易な供給源であるにも関わらず、アメリカの圧迫や核の研究のため除外している。歴史的な調印がされるナブッコの質問と答え、由来は以下の通りである:
■ プロジェクトの内容は何か?
ナブッコは、中東とカスピ海の天然ガス供給側とヨーロッパの消費者を引き合わせることを目標にする天然ガスパイプラインプロジェクトである。パイプラインは、トルコを通りブルガリア、ルーマニア、ハンガリーそしてオーストリアに到達する。パイプラインの長さは合計3300キロメートルになり、天然ガスの供給源(の位置)により約1600~2000キロがトルコを通過する。
■ いつ完成するのか?
パイプラインの建設は2011年に開始されると予定されている。2014年にパイプラインから最初のガスが供給されることが期待されている。
■ どのくらいのガスが運ばれるのか
ナブッコ・パイプラインの第一段階で、80~100億立方メートルの天然ガスが運ばれる。総量は年々増え、最大キャパシティは年間310億立方メートルになる(ブルーストリームのパイプから160億、西パイプから140億立方メートルの天然ガスをえる)
■ プロジェクトを誰が実行するのか?
プロジェクトを実行するため、ナブッコ・コンソーシアムという国際的な企業が設立された。
企業の共同出資者にはトルコからボタシュ、ブルガリアからブルガルガス、ルーマニアからトランスガス、ハンガリーからMOL、オーストリアからOMV、そしてドイツからRWEがある。フランスの天然ガス会社であるガス・ドゥ・フランスのプロジェクトへの参加希望は、トルコの影響によって拒否された。
■ プロジェクトの費用はどのくらいか、どのようにまかなうか
プロジェクトの費用は約80億ユーロになる。費用の30パーセントは企業が自社の資本でまかなう。ヨーロッパ投資銀行は、費用の25パーセント(20億ユーロ)を投資する。ロンドンを本部とする開発発展銀行もプロジェクトを支援すると伝えられる。
■ 調印式には誰が参加するのか
アンカラで行われる政府間の協定の調印式には、トルコに加えブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリアの首相が参加する。
アメリカの議員であるリチャード・ロジャー氏とバラク・オバマ大統領のエネルギー問題における特別代表大使であるリチャード・モーニングスター氏、EU議長のバローゾ氏、グルジアのサーカシヴィリ大統領が式に出席する。調印式では、シリア、アゼルバイジャン、エジプト、トルコメニスタン、カタールから大臣らが、ドイツからはエネルギー省事務次官が出席する。
■ パイプラインを通る天然ガスは見つかったのか
ナブッコ・パイプラインに天然ガスを保証する見込みのある国々は、アゼルバイジャン、トルコメニスタン、イラク、シリア、エジプト、カタールである。短期的に最初の供給源にアゼルバイジャンがなることが期待される。
アメリカの主張は、トルコメニスタン政府を動かした。しかしロシアがアゼルバイジャンとトルコメニスタン(の動向)をマークし、プロジェクトから除外されたイランの不快感が、カスピ海の天然ガスパイプライン通過を妨げうること、またトルコメニスタンが天然ガスのプロジェクトへの参加を遅くらせうる。
トルコは、アゼルバイジャンの天然ガスを優先するとして、イラクからシリアを経由する自国の接続システムにつき、ナブッコにつなぐパイプラインに関して急いでいない。つまり、調印するナブッコを通る1立方メートルの天然ガスすら見つかっていない。
■ 調印の後どうなるのか
政府間の協定の調印には、プロジェクトの支援協定がつづく。ナブッコ・コンソーシアムは、関係国とともに貿易協定に調印する。以前バクー・トビリシ・ジェイハン石油パイプラインで経たプロセスが、ナブッコで繰り返される。またコンソーシアムが国々と調印する協定は、環境問題、安全、所有権、免税を含む。当の支援協定は6ヶ月以内に完了されることを目標とする。
■ イランは現在不在
EUとトルコがナブッコを計画した当初に、天然ガスの供給源としてイランを考えていた。しかし、アメリカ政府はイランが核武装の件について、世界やEUと協力しなかったことを理由にイランのナブッコへの参加をしっぺ返しとした。
ヨーロッパ諸国は当初抵抗したが、アメリカは、アゼルバイジャン、トルコメニスタン、カザフスタン、イラクが天然ガス(供給)の代替(候補)として考えることを望んだ。また、この国々がナブッコに参加するよう活発な努力を行った。
今日の調印式と会議にはイランは参加しない予定だ。イランは短期的に天然ガスの供給源になる可能性も見られない。
■ ロシアの態度は?
今日行われる式典にはロシアも招待された。(トルコの)エネルギー大臣のタネル・ユルドゥズ氏はロシアもプロジェクトに含まれうると述べた。
ロシアが調印式にいかなるレベルで参加するかは最近まで明らかでなかった。世界で最も大規模な天然ガスの販売独占を行うロシアはカスピ海の国々とトルコ系諸共和国で自身の主権的影響力が継続することを望んでいる。トルコに2つ目のブルーストリームパイプライン提案したロシアは、アゼルバイジャンとトルコメニスタンとともに活動し、EUがロシアへの依存から抜け出ないよう出来るだけのことを行っている。
■ トルコは何をえるのか
以前バクー・トビリシ・ジェイハン(BTC)に関しても行われたこの議論の返答は、その際のものと同じだ。建設の間トルコで一万五千人が雇われる。運用の段階で約500人が雇われる予定だ。通行料を取らない国々は、手に入れる収入を分配する。パイプライン(通過)の約3分の2を占めるトルコはその3分の2をとることが期待されている。
■ 15パーセントを諦めた
この数字が年間4億5千ユーロになることが明らかにされる。トルコは、ナブッコを通る年間370億立方メートルの天然ガスの15パーセントがトルコに売却されるよう保証を望んでいた。しかしこの望みが他の参加国に好意的に受け止められず、諦めた。以前BTCのパイプラインで同様の計算を行ったトルコは、経費の高さのため、目的を遂げることができなかった。BTCの収入の全てを支出のために使用し、ボタシュは損害をうけた。
■ なぜヴェルディの「ナブッコ」という名前が与えられたのか
2003年にウィーンで行われたEUエネルギー閣僚会議の議題は、ヨーロッパの天然ガス使用で日々ロシアへの依存が増すことやこれの難点だった。会議ではロシアの独占から免れるため、トルコが自身進め、ギリシャと結びつけることを含む天然ガスプロジェクト(の是非)が議論され、また、トルコ経由でパイプラインが建設されることも話された。大臣らは、緊張の会議のストレスを発散するため向かったオペラでナブッコ・オペラを鑑賞すると、このプロジェクトの名前はナブッコ天然ガスパイプラインになった。聞くところによると、名付け親はボタシュ関係者だそうだ。
■ ナブッコの話とは?
最初に1840年にミラノで公演されたナブッコ・オペラはギュイセッペ・ヴェルディの作品である。バビロニア王のネブカドネザル(ナブッコ)はエルサレムを襲撃する。死んだとされた娘のアビガイルとフェネナはユダヤ人の手にあった。エルサレムの者たちは、フェネナを和平を理由に人質にとった。エルサレムのユダヤ教賢者であるゼケリヤは、ナブッコの襲撃に対し、フェネナを殺すことを求めた。しかしフェネナに恋をしていたエルサレム王の息子であるイスマイルは彼女を自由にし、裏切り者と宣言された。捕虜の一人であるナブッコの一方の娘アビゲイルは、王位をフェネナに取られないため、そしてイスマイルをフェネナから奪うために行動に出た。ナブッコは、娘が解放されるやいなや、ユダヤ人たちを捕らえ、エルサレムを徹底的に破壊した。アビガイルは、フェネナとイスマイルを殺すため、父が自分に権限を与えたと語り、フェネナとすべてのユダヤ人の捕虜を殺すよう命令した。兵士たちがフェネナとユダヤ人捕虜を殺す準備をしている際に、ナブッコ王は行動を起こし、命令の実行を止めた。ユダヤ人たちを家に送り届けたナブッコは、ユダヤ教賢者ゼケリヤによって祝福された。
■ アメリカ:我々は支援を行った、賞賛はトルコに
ナブッコの式典のためにアンカラに来たアメリカ側代表者のユーラシアエネルギー特別代表リチャード・モーニングスター氏は、今日行われる調印が非常に重要であると明らかにした。トルコがヨーロッパのパートナーたちと示した決然とした行為は賞賛に値すると述べたモーニングスター氏は、アメリカとして支援のみを行ったと述べた。モーニングスター氏は、ナブッコに大きな支援を行ったとし、「トルコをヨーロッパにより結びつけるプロジェクトになった今この段階は、支援する国にとっても(さらなる推進を)大いに促すこととなろう。この調印は、プロジェクトが正しい道を進んでいることを示しています」と述べた。また、以下のメッセージを公表した:
ロシアも参加しうる:ロシアは、ガスの確保(に関する行動)については自由です。しかしこの件はナブッコ側が知ることです。ロシアが行いたいと望む南方ルートのパイプラインはナブッコの代わりにはなりません。
現在イランに反対しています:我々の努力に見返りを与えないイランは、今プロジェクトに参加すべきではありません。関係が正常化されれば、問題が解決されれば、参加を促すことになり得ましょう。
アルメニアも参加しうる:トルコとアルメニアの関係正常化とカラバフ問題での進展が達成されれば、アルメニアはエネルギープロジェクトに参加することができる。
イラク国内で意見が一致しなければならない:イラクの天然ガスがナブッコを通じて来ることを求めています。しかしこの件で中央政府と北の地方政府の間で合意が必要です。
カスピ海を通る事は可能なのか:トルコメニスタンで大統領と会見しました。ナブッコへの支援を力強く説明しました。彼らはアゼルバイジャンとともにカスピ海通過問題を解決するため努力しています。このようにしてカスピ海通過をヨーロッパ人が構築できましょう。
ユルドゥズ氏:ロシアも参加しても驚かない
エネルギー大臣のタネル・ユルドゥズ氏は、「協定がアンカラで行われる事はトルコの地政学上の重要性を強調する点から重要なことです」と述べた。ユルドゥズ氏は以下のように続けた:
*冬にガス危機に生じなくなる:トルコの15パーセントの請求は断念した。これに対しナブッコはただ東から西への流れだけでなく、同時にその逆の流れもあるという情報は正しい。このようにして、トルコは冬の期間に(供給上)問題が生じた際、ヨーロッパからガスを得ることができます。
*パイプは満たされる:ガスのに供給に関して問題は生じません。というのは、買手が存在し、ラインが建設され、そしてガスを供給する国々が明らかにされたことによります。供給側と需要側がナブッコで出会うと信じています。
*イランは招待されなかった:国際的な政治は非常に早く変わります。二国の間の心配事は二年内に良くなりえます。ナブッコはこの意味で平和の架け橋のプロジェクトです。例えば、明日ロシアが買い手になっても驚きません。ありえることです。イランがこのプロジェクトの一員になることも可能です。プラハの主要財務に関する会議にはイランは招待されませんでした。しかしイランは重要な供給源です。一部EUの国々が予備協定を結びました。将来イランもこのプロジェクトの一員として目にするでしょう。
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( 翻訳者:白石百合子 )
( 記事ID:16940 )