イスラエル軍艦艇がスエズ運河を通航、エジプト外相は「無害通航権」を指摘
2009年07月15日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ アブルゲイト外相:「コンスタンティノープル条約によれば、イスラエル軍艦艇にはスエズ運河を『無害に』通航する権利がある」

2009年07月15日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【カイロ:フサーム・アブー・ターリブ(本紙)】

 エジプトのアフマド・アブルゲイト外相は昨日、「イスラエル軍艦艇には、コンスタンティノープル条約[※スエズ運河の自由航行に関する条約]に基づいてスエズ運河を通航する権利がある」と述べた。

 アブルゲイト外相は、非同盟諸国首脳会議が行われている紅海沿岸の都市シャルム・シェイフで行われた記者会見で、艦隊のスエズ運河通航は1888年のコンスタンティノープル条約によって管理されていると述べた。

 ここ数日にわたり、イスラエル艦隊がスエズ運河を通航したと伝えられていることに関して、「コンスタンティノープル条約によれば、所謂『無害通航権』の要件を満たしている限りは、民間船および軍艦のスエズ運河通航は許可される」と述べた。

 また、軍艦の通航の場合、「運河の所有国すなわちエジプトに対して攻撃的な姿勢がない限り」スエズ運河を無害通航する権利があることを指摘した。エジプト治安当局者によると、イスラエルの軍艦2隻が昨日、地中海から紅海方面に向かってスエズ運河を通航している。

 このエジプト治安当局者は匿名を条件に、イスラエル軍艦「ハニート」と「エイラート」の2隻がスエズ運河の水路を通航したと述べた。また、「エジプト当局はスエズ運河の水路に対する警備措置をとり、運河両岸の道路を確保した」と続けた。

 またこの治安当局者は、この2隻の軍艦の通航による影響は少ないと述べ、「国際条約により、イスラエルの商業船および軍艦には運河を通航する権利があり、1979年の両国の平和条約締結以降、数多くのイスラエル船舶が運河を通航してきた」と強調した。

 テルアビブでは、イスラエル軍報道官はイスラエル軍艦2隻の通航の情報に関するコメントを拒否し、UPI通信社に対して、「我々はそのような報道には対応しない」と述べた。イスラエルはエジプト側に情報を獲得されることを恐れ、自国の艦艇のスエズ運河通航を回避していたと考えられる。

 報道によると、イスラエル軍のドルフィン級潜水艦が先月、スエズ運河を通航したと伝えられている。

 イスラエルは紅海における軍事的なプレゼンスを強化しており、これはガザ地区を支配しているハマースによる武器密輸を阻止する試みであると考えられる。またイスラエルとアメリカは今年1月に、ガザ地区への武器密輸を阻止するための協定を締結している。

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( 翻訳者:梶田知子 )
( 記事ID:17009 )