AKPのクルド系議員の「解決へのロードマップ」評
2009年07月22日付 Milliyet 紙

オジャランの「問題解決へのロードマップ」について、公正発展党(AKP)のクルド系議員たちは、ダヴトオール大臣と異なる見解をもっている。クルト議員「オジャランと民主市民党を無視してはならない」、アルスラン議員「解決につながる考えは、受け入れるべき」、アルル議員「全ての人は、全ての人の意見を聞かなくてならない」、オズベキ議員「前向きな貢献は大事にしなくてはならない」。

クルド人問題の解決に向け、テロリストのアブドゥッラー・オジャラン容疑者が発表するロードマップを前に、政府に対しても改革といえるレベルで何らかの対策を世論に打ち出すことが求められており、これを受け、AKP内部で動きが活発化している。アフメト・ダヴトオール外相は「オジャランが提案する内容は、解決のための検討対象となるか」との問いに「トルコには独自の解決策がある。議論の基盤となるのも閣議および国家安全保障評議会(MGK)である」と回答している。しかし、AKP内のクルド系議員らは、犠牲となってきた人々を無視した解決策はありえない、としている。クルド系国会議員による発言は、以下のとおり。

■無視はできない

アブドゥッラフマーン・クルト議員(ディヤルバクル県選出):クルド問題の本質を理解するならば、自ずと結論はでてくる。クルド問題は、私を含むAKPのクルド系議員も当事者である問題だ。全てのクルド人に関わる問題のなかには、人口の5分の1、ないしは4分の1の人が、民主市民党(DTP)やクルド労働者党(PKK)の支持者だという問題がある。残りのクルド人たちは暴力に加担することなく、民主化への取り組みを進めており、クルド問題の解決にも望みを抱いている。自分たちの代表がオジャランになることなどは全く考えられない。オジャランは自身を「クルド人のスポークスマン」と言っているが、我々からみればDTPを支持するクルド人のスポークスマンにすぎない。人間的感情の豊かな、民主主義を目指すクルド人のスポークスマンではない。
 しかし同時に、オジャランがクルド問題の暴力的な側面にもつ影響力・重要性を看過することはできない。このため、暴力の停止という一点で、オジャランとDTPを重視せざるをえない。しかし、これはクルド問題の解決のための一方の当事者の代表という位置づけからではない。問題解決のリーダーとなるのは一般の市民団体や知識人たちであるべきだ。憲法から民族を強調する条項を外し、トルコが単独民族国家であるというみえ方を変えるべきだ。憲法における国民の概念はトルコ民族という前提の上に立つものであってはならない。

イフサン・アルスラン議員(ディヤルバクル県選出):外務大臣のコメントはまさにもっともだ。「オジャランと席に着き、交渉をしよう」と言える状況ではない。しかし、それぞれが置かれた立場が何であろうとも、解決プロセスにプラスの貢献をする権利がある。つまり、国益のためにはそれも必要だ。誰のものであれ、それが問題解決につながる有益な考えであれば検討されるべきだ。

ハニフィ・アルル議員(アール県選出):この問題は、あるところまで来た。どちらかといえば、心理的な面が残っているだけだ。そのために戦い、犠牲をはらってきた人々を無視することはできない。全ての人が互いに尊重しあうことが必要だ。全ての人が、他の人の意見を活用すべきだ。この問題のために長年努力を重ねてきた人々、または渦中にいた軍人たちを含め、誰であろうと、関心を払われるべきだ。全ての人が、立つべき場所にたどり着いたところだ。解決策は見えている。問題解決に向けて、人々はすでに正しい立ち位置に立ち、互いに近くにいる。誰もが、解決のための、塩(=貢献するもの)とならなくてはならない。誰がそこにいようとも、それから目をそむけず、それを認めなくてならない。それ以外に解決の方法はない。(ダヴトオール外相の発言に関しては)それは、別の発言だ。

■貢献は大事にすべき

アブドゥルムッターリプ・オズベク議員(ハッキャーリ県選出):トルコは民主的な手段でこの問題を解決しなければならない。我々はこの国で肉と爪のように互いに離れがたい関係である。人々をこれ以上苦しめることなく、問題を解決しなければならい。誰かが、善意で、貢献しているなら、あるいは、貢献しようというなら、それは尊重されるべきだと考える。私たちの政府が政権を担ってからこれまで、クルド問題に対し、改革といえるレベルの施策を打ち出してきた。10年前と今を比べてみれば、民主化の動きが、どこからどこまできたのか、はっきりとわかるだろう。

リュルテム・ゼイダン議員(ハッキャーリ県選出):エルドアン首相は、民主市民党と会うべきだ。皆が、民主市民党を話し合いの相手とし、会話をすることは、とてもいいことだ。この会話が少しでも早く実現することを願っている。この問題の解決策を検討する場所は、議会だ。問題の解決に貢献する人々やグループは、そろそろ、「どうぞ、着席を」といわれるべきだ。

■エルデム議員「オジャランは犯罪者」

 公正発展党のクルッカレ選出国会議員のヴァヒト・エルデムは、同党のクルド系議員の意見に反対だ。エルデム議員は、ダヴトオール外相の「トルコは、自身で解決策をみつける」という発言に賛成だとし、次のように続けた。「アブドゥッラー・オジャランがロードマップを書いている、他のひともロードマップを書いている。しかし、オジャランは犯罪者だ。トルコ共和国が、オジャランの解決策を取り入れたら、それは受け入れられるものとはならない。解決策を生み出すのは、国家としてのトルコ共和国である。矛盾を生み出す解決策は、先でさらに大きな問題を引き起こす。私は、当該地方選出の我が党の国会議員の一部の人々が発言した解決の形態が、長い目で見た場合、クルド系の国民の利益となるとは思わない。」

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( 翻訳者:湯澤芙美 )
( 記事ID:17011 )