エルゲネコン捜査で裁判官・検察官高等委員会、法務省を批判
2009年07月28日付 Hurriyet 紙

法務省は、エルゲネコン捜査担当の判事や検事に関する批判38項のうち10項について調査が開始されたと明らかにした。

裁判官・検察官高等委員会(HSYK)は、「(法務省に)質問したが返答がなく、要求した書類も送って来なかった」と報告。エルギン法相の反対により、HSYKの決定は法務省としての決定にはならなかった。HSYKの5人の正規委員と5人の予備委員は昨夜「エルゲネコン捜査担当の裁判官について、我々はいかなる指名も推薦も行わなかった 」との報告を発表した。

HSYKは、エルゲネコン捜査での人権侵害を防ぐために任務に当たり、法務省からの「誤った」の決定が最高裁に送られることを望んだと明らかにした。サドゥッラー・エルギン法相とアフメト・カフラマン法務参事官が反対したため、2対5票でちょうど2ヵ月前に採択されたHSYKの決定は法務省としての決定にはならなかった 。

法務省は、エルゲネコン捜査における手続上の誤りを「法の有効性を苛む」という方向で最高裁へ送るための期限を定めていない。

■委員会は書類を法務省に提出

HSYKは、容疑者たちにより自身らに向けられた批判要望書に付され提出されたエルゲネコン捜査上での批判点、判事の判断なしの盗聴、身柄拘束、書類提供拒否、住居およびオフィス捜索といった決定を分析した。

最高裁判所主席検事サビフ・カナドオール氏の家宅捜索の例のように、欧州人権条約、共和国憲法ならびに刑事裁判所法(CMK)に違反した手続上の誤りとしたものを書類にまとめ、「法の有効性を苛むことを意図するもの」として法務省へ送った。同委員会は、この決定を人権侵害およびエルゲネコン裁判初期に起きたような事前捜査のミスが繰り返されることを防ぐために採った。

■ エルギン法相に情報漏洩の非難

HSYKのカーディル・オズベキ委員長補と判事出身の委員合わせて9名の名前で行われた発表では厳しい警告が発せられ、エルギン法相に情報漏洩の非難が向けられた。発表では選ばれたメンバーが守秘義務を従っていることが強調され、「しかし何とも残念なことに、隠されているべき、漏洩罪をなし具体的事実とも適合しない情報が無責任にメディアに提供され、情報撹乱の原因となった」と述べられた。

■ 委員会から首相へ返答

「エルゲネコン捜査の裁判官は私だ」と発言したタイイプ・エルドアン首相に対しては、「全ての裁判の主は、トルコ国民と彼らの名において司法権を行使する裁判組織だ。この件は他の一切の議論と切り離して扱われる必要がある」との返答がなされた。

■ 検事たちの書類を送らなかった

法務省が27日、「エルゲネコン捜査担当裁判官ならびに検事に対する批判について調査を開始した」と発表したのを受け、HSYKは「我々が質問したにも関わらず、エルゲネコン捜査担当裁判官ならびに検事に対する捜査に関して法務省からは返答すらなかった。分析のため書類を請求したが、送ってこなかった」と述べた。

エルゲネコン捜査担当の裁判官および検事に対して行われた報道により「圧迫的状況」が醸成されたと強調する委員会側の発表を要約すると以下のようになる。

■ 常に法的態度を見せる

「HSYKは、司法の独立性や司法への干渉に対する否定的な見方や行動に対して現在までと同様この先も必要な感受性と法的態度を示す。これらは、高等委員会の憲法上の任務である。HSYKは続行中の(エルゲネコン)裁判に関して司法の独立性を守るために最大限の配慮を示した。裁判を運営する法廷の責任者やメンバーに関する委員会側のいかなる考え、提案、措置は始めから存在しなかった。概略的なあらゆる提案をする権利は委員会にある。委員が提案をするのは合法であり、任務上の必要だ。」

■ 基本的権利の侵害がないように

「HSYKの選ばれたメンバーは、捜査が基本的権利や自由を侵害せずに終了することを待ち望んでいる。これは人権や公正な被裁判権、司法の尊厳を守るために最も重要なことである。しかしエルゲネコン捜査のあらゆる段階で、報道陣や一部の政治家が、過度に司法に影響するような形で身を置く機会が与えられてきた。」

■ 圧迫的状況が形成された

「守秘義務のルールに則らず、特に捜査方法が人権を侵害し、決定を下す立場にある判事たちに影響を与え、圧迫的状況を醸成する形で報道がおこなわれてきた。この状態が明るみに出たことがきっかけで、2人目の主席検事補が任命されたのだ。」

■ 報告に不明な点も

法務省関係者はHSYKの報告に不明な点がいくつか見受けられると述べ、以下のように話した。「報告において、裁判を行う判事と検事について要求がないと強調されているのは前向きな進歩だ。ただし、任命要求の中には他の検事たちの名前があった。(裁判を進める)法廷のメンバーに関する要求は目下の問題ではない。しかし逮捕決定を下した判事たちと弾劾裁判所である第14重大犯罪裁判所のメンバーに関する要求はあった。」

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( 翻訳者:川原田喜子 )
( 記事ID:17060 )