ベルリン・エジプト博物館にあるハトシェプスト像は高価な偽者?
2009年07月21日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ ドイツの大学、ベルリン・エジプト博物館にあるハトシェプスト像の調査を行ったことを否定
2009年07月21日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPコラム面
【ベルリン】
ドイツの大学が、ベルリン・エジプト博物館 にあるハトシェプスト女王の半身像の分析を行った、あるいはこの像は偽物でオリジナルではないと発言したとされている件について、これを否定した。
女王の半身像は、首都ベルリンにあるエジプト博物館の主要展示品の一つであり、20年前に100万マルク(51万ドルあるいは71万5000ユーロに相当)の対価で購入されたものだ。
ベルリン工科大学の研究者たちが調査を行った結果、像が偽者であることがわかったとのニュース が月曜日に報じられたが、大学側は像の真偽を確かめるような調査はそもそも行っていないと発表した。
大学側の声明によれば、研究者達が2007年12月に行ったのは、像の表面で見つかったいくつかの石の薄片の分析であり、調査の結果、その薄片がマグネサイト(酸化マグネシウム)とシデライト(酸化鉄)を豊富に含む岩石から作られていることがわかったが、この薄片の出所は断定できなかったという。
ハトシェプストは紀元前1458年に亡くなるまで22年間にわたりエジプトを統治した。御影石から切り出された高さ16.5cmのハトシェプスト半身像は、石灰岩製のネフェルティティ妃の魅力的な胸像と並んで、同博物館の主要な展示品の一つである。
ドイツのシュピーゲル誌の記事は、ベルリン・エジプト博物館にあるハトシェプスト女王の半身像は偽物で、オリジナルではない可能性があるとしており、ベルリン工科大学の教授たちによって行われた調査によって偽物であることがわかったと断言していた。
最近退職した博物館の前館長であるディートリッヒ・ヴィルドンク氏は、ドイツの通信社への談話で、その雑誌の記事を前に驚愕していると説明した。
その雑誌は、像の材質を調査したところ、像が切り出された岩石には高い割合でマグネサイト(酸化マグネシウム)とシデライト(酸化鉄)が含まれていることが明らかになったが、このような成分はナイル川周辺 地域の半身像では使われていないものである、と報じていた。高さ16.5cmのこのハトシェプスト像の頭部が、茶色がかった御影石で作られていることはよく知られている。
また記事では、この像は偽物だとのベルリン工科大学の教授たちが行きついた調査結果が証明されれば、間違いなく博物館の購入した最も高価な偽物となるであろうと指摘されていた。1986年に同博物館は、イギリス人のロビン・シームス氏から100万マルクでこの像を購入したためだ。
ヴィルドンク前館長は、像の材質の分析を行ったかどうかについては何も知らないと語った。そして博物館が論争の的となったこの像を獲得した代金について、いかなる詳細も語ることを拒否し、「この像の購入は私が館長をしていた期間よりもずっと前のことだ」と言うにとどめた 。
ヴィルドンク氏は1989年からベルリン・エジプト博物館の館長をつとめ、二週間前に退職した。同氏はシュピーゲル誌がこのような「悪意と秘密主義」からなる記事を、担当部署に事実関係を照会することもなく掲載したことは理解できないとの見解を示した。
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( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:17075 )