オスマン文書館、1億ドルかけイスタンブルのキャウトハーネへ移転
2009年08月08日付 Hurriyet 紙
オスマン文書館は、1億ドルの予算をかけ、イスタンブルのキャウトハーネにひっこす。「オスマン文書館施設Osmanlı Arşiv Sitesi」という名で設立される施設では、全ての文書類が一つのセンターに集められることになる。施設の建設のために、集合住宅局(TOKİ)が昨日行った入札により、事前応募が応札された。キャウトハーネ区のファズル・クルチ区長は、「8万平方メートルの面積をもつプロジェクトのうち、5万平方メートル分は地下に建設される」と述べた。
現在、イスタンブルのスルタン・アフメト地区にあるオスマン文書館は、約5年の年月と1億ドル相当の経費をかけて、キャウトハーネに引っ越す。キャウトハーネ区のファズル・クルチ区長は、「キャウトハーネに建設されるオスマン文書館施設は、非常に現代的で安全な文書館となります。文書類はすべてデジタル化されます。施設は、個性的なつくりで、キャウトハーネの歴史的な成り立ちとも調和するでしょう」と述べた。
オスマン文書館が、スルタン・アフメト地区では、いくつかの異なる建物で業務をしていると語るファズル・クルチ区長は、新しいオスマン文書館施設について、つぎのようにのべた。「全てのオスマン朝文書群が、キャウトハーネのこの施設で、ひとつのセンターのもとに集められます。8万平方メートルの空間をもつこの計画のうち、約5万平方メートル分は地下に作られます。施設には、作業用のオフィスや会議場も含まれます。また、コンフェランスもできるようになるでしょう。施設は、コンフェランス用の部屋や展示場をもつことから、一種の文化センターのようにもなります。これは、約1億ドル相当の開発計画です。このプロジェクトが完成すると、キャウトハーネは、世界的に有名な場所となるでしょう。」
■もともとの計画は我々がつくった
キャウトハーネ区が、ここ5年にわたり文書館の移転に関する計画を練ってきたと語るクルチ区長は、次のように続けた。「オスマン文書館は、国の機関なので、この開発計画は首相府が統括しています。しかし、文書館の移転に関する計画をねり、プロジェクトを準備したのはキャウトハーネ区です。この計画は私たちのものであり、首相府に対し我々の方から提案をしました。首相府も、この施設の建設にとってもっても適切な場所はどこかを検討し、丁寧に調査をしました。キャウトハーネが歴史的な地区であり、また、想定される建設計画が実現可能な場所であることから、(首相府は)キャウトハーネを選びました。」
■キャウトハーネの知名度
ファズル・クルチ区長は、1億点をこえる文書が収められるこの施設が、世界のもっとも重要な文書館のひとつとなる点を強調し、「世界の多くの場所で、「歴史的」といわれる文書の多くは、200年か300年前のものです。オスマン朝のこの文書はというと、何千年も前のものです(注1)。つまり、世界でもっとも重要な文書館がキャウトハーネに位置することになるのです。世界の各地から研究者がやってくるでしょう。これもキャウトハーネの価値を高めるものとなり、知名度もあがるでしょう。この施設は、研究を志す全ての人に開かれたものとなります」と述べた。
■セイランテペのスポーツ施設建設で不適格となったスィヤフ・カレム社も参加
キャウトハーネに建設されるオスマン文書館施設に関し、集合住宅局(TOKİ)は、昨日実施した入札により事前希望を募った。入札には、バイトゥル建設、ヴァルヤプ・ヴァルルバシュラル社のような不動産会社も含め、12社が応札した。応札した企業のなかには、集合住宅局がセイランテペ・スポーツ施設群の入札で、その提案を不適切とみなしたスィヤフ・カレム設計も加わっていることが目をひいた。今後、まず集合住宅局が、事前提案を検討し、資格をみたしているとみなされる企業を選出する。そして事前資格条件で明記されている条件にそって順位づけが行われ、リストに残った上位5社から最終提案が求められる。集合住宅局は、入札を獲得した企業に対し、契約が調印された日から5日以内に、土地を引き渡す。在来型工法(Konvansiyonel kalıp sistemi)で建設されるオスマン文書館施設の引渡し期間は、集合住宅局が土地を引き渡した時点から1100日、と決められている。
■キャウトハーネに、1億ドル価値の「オフィス公園」
イスタンブルのキャウトハーネ区がはじめた都市化計画の枠組みで、Tekfen-OZ 不動産株式会社が、この地区で、1億ドル相当の新しいオフィス群への投資を実現させている。Tekfen-OZ不動産株式会社のオメル・エゲセル社長は、「レヴェント・マスラク・ビジネス地区に近いという理由でキャウトハーネを選びました。この地域は交通の便がよくなり、発展しています。インフラストラクチャーや建物への投資がすすめば、大きな可能性を秘めています」とのべた。このプロジェクトが、革新的な手法により地域初のものとなる、とのべるエゲセル社長は、次のように続けた。「キャウトハーネ・オフィス公園計画においては、ひとつの塔のような高層建築のかわりに、低層の複数のブロックからなる形状を選びました。このプロジェクトへの投資額は1億ドルに達し、2011年12月に完成させます。第一級のオフィス群として計画されたこのプロジェクトでは、380~1500平米のさまざまなサイズのフロアがオフィスとして賃貸にだされます。プロジェクトが実施される土地は、エルテキン家とゲンチソイ家のものです。このため、プロジェクトは共同所有方式により実現されます。」
本プロジェクトを担当した建築家のエムレ・アロラトは、このプロジェクトにより「Architectural Review Future Project Awards 2009」のオフィス部門に入賞(注2)したと述べ、次のように語った。「キャウトハーネには、隠れた魅力があります。この魅力を、(現在のオフィス地区の中心で、高層建築の並ぶ)ビュユクデレ通りのようにすることなく、いかに引き出すかを考えました。本開発計画を如何に地域に定着させ、旧来の町の作りと調和させるかを研究しました。このため、大きな高層建築をつくるかわりに、もっと分割された、低層のブロックを作ることを選択しました」と述べた。
訳者注1 この数字は、区長の勘違いか、記者の聞き間違いだろう。
訳者注2 同賞についてはこちら。
http://akichiatlas.com/en/archives/mipim_future_project09.php
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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:17149 )