騎馬劇団ジンガロのバルタバスの馬、一日を祈りとともに開始
2009年08月09日付 Zaman 紙
世界初にして唯一の騎馬劇団ジンガロの創設者であり、有名な馬の調教師でもあるバルタバス氏は、ネイ(縦笛の一種)奏者クドゥスィ・エルギュネル氏、神秘主義音樂の大家の一人であるネズィフ・ウゼル氏と、パリの人々に特別な「日の出」を見させている。
午前5時、「光りの都」パリはまだ眠りにある。新しい日が始まるのを待っている。日中、都市の最も混雑する場所の一つであるコンコルド広場には、(この時間帯には)人っ子一人見当たらない。少し先にあるエッフェル塔は、まるで隠遁しているかのように僅かな光に包まれている。
世界で最も活動的な首都の一つであるパリを、これ程までの静寂と暗闇の中で見ることは奇妙に感じられる。
朝のこの時間に起きて表に出る4人は、コンコルド門を抜けながら、ルーブル美術館のチュイルリー庭園に建てられた仮設劇場へ向かう。公園では電灯がついていないため、全てが真っ暗である。誰が誰だかわからない。四方を木々で囲まれた「劇場では」暗さがより色濃い。
(劇が始まり、)全員、よく注意して中央で回る馬を目で追う。すると、修道着に似た衣裳を身にまとったバルタバス氏が、神秘的な様子で舞台に入る。静寂が壊される。歴史的なチュイルリー庭園から空へ向かって、聖歌とネイの演奏が高まる。
バルバタス氏、馬のル・カラヴァッジョ、クドゥスィ・エルギュネル氏、ネズィフ・ウゼル氏は、「日の出」という題の劇のため、7月31日から今日(8月9日)まで同じ時間帯に、パリの様々な歴史的庭園で舞台へ上がる。パリ自治体の「夏期」催し企画で実現させられた劇は、金曜日の朝、フランスで二度目の「トルコの季節」企画において、チュイルリー庭園で建てられたカフェ・トルコで行われた。上から下まで黒い衣裳を身に着けたバルタバス氏は、ル・カラヴァッジョに静かに乗っている。暗い中で、まるで人々の恐怖心を引き起こしているようだ。ル・カラヴァッジョは、広場の中央で円を描きながら回っている。時折止まっては、エルギュネル氏とウゼル氏に注意を払う。彼ら(の演奏)を聴いているのだ。そして、再び回り始める。デルヴィーシュ(神秘主義の修道者)のように。クドゥスィ師のネイでいろいろな音階が互いに混ざり合うと、ユヌス・エムレからタシュルジャル・ヤフヤ・ベイ、アズィズ・マフムート・ヒュダーイー、ピール・スルタン・アブダル、ベズジザーデ・ムヒッディーンの曲を詠唱する、ウゼル氏のトルコ語の聖歌がネイの演奏に融合する。
少しずつ白み始める。ル・カラヴァッジョはただもう回っているだけではなく、恍惚状態でダンスをしているような素晴らしい様子を観客たちに見せている。時々、タンブール(打楽器の一種)とネイのリズムに合わせて速くなる、遅くなる、飛び跳ねる、斜めに歩く、今度は美しいスペイン風の歩調で行進する…。日の出によって、全てをよりはっきりと見えるようになった観客たちは、劇から人と馬の間の特別な関係を観察する。
エルギュネル氏は、「日の出」上演後にカフェ・トルコで、どんな見せ物の前でも何の準備もしておらず、全てが即興であると述べる。全てが馬と3人の芸術家の、その瞬間の感情によって形作られているという。ル・カラヴァッジョのパフォーマンスついて賞賛を込めて語るウゼル氏は、「完全に即興で、ある時は私たちが馬に合わせます。またある時は馬が私たちに」と説明する。
バルタバス氏は、パリで暮らすクドゥスィ・エルギュネル氏と出会う前、ネズィフ・ウゼル氏と伴に製作した聖歌とネイのCDを、暁ごとに馬に聴かせていたという。二人は2006年、フランスの夢の祭りにおいて「日の出」企画を行った。一方で、「日の出」に加えクドゥスィ・エルギュネル氏による「トルコの季節」企画でトラキヤ・ボヘミアンとともに実現させた催しは、フランスの報道で大きな関心を集めた。「日の出」の最終公演は、今朝(9日)パリのラテン地区(カルティエ・ラタン)で、ローマ時代から残っている有名なアレヌ・ドゥ・ルテキア円形闘技場で行われた。
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( 翻訳者:西山愛実 )
( 記事ID:17150 )