イラク首相、対イラン軍事行動がもたらす結果を警告
2009年08月11日付 Al-Nahar 紙

■ マーリキー首相、対イラン攻撃の影響に警告
■ 「報復行為は『論理の一線』を逸脱したものとなるかも知れない」

2009年08月11日付アル=ナハール紙(レバノン)HPアラブ国際面

【ロイター】

 イラクのヌーリー・アル=マーリキー首相は、あらゆる対イラン軍事行動の結末を警告し、「そのような行動は『道理の一線』を逸脱している。収拾のつかぬ戦争にこの地域が巻き込まれるだろう」と述べた。

 イランは現在、地域からも国際社会からも厳しい圧力にさらされている。エスカレートする核開発活動を停止するように求めた国連決議に、イランが従わなかったためである。

 イラクには現在、米軍兵士およそ1万3千人が、全土にある軍事基地数十ヶ所に展開している。したがって、もしイランが何かしら攻撃を受けた場合には、その米軍兵士らがイランの報復行為の標的にされるかも知れないということだ。

 一方イスラエルは、イランの核施設に軍事攻撃を加えると数度にわたり示唆している。逆にイランも、国内の核施設を目標とした軍事行動には、応戦すると明言している。

 イランが軍事行動を受けて「報復」行為をする可能性に備えて、イラクは何か予防的措置を取っているかという質問に対してマーリキー首相は、「イラクがイランの報復の標的にされるとは我々は考えていない。我々は対イラン攻撃やイスラエルの威嚇行為に対して反対の立場をとっているからだ」と答えた。

 政府広報機関が使用しているインターネットのサイトでは、マーリキー首相は普段から国民からの質問に直接応答しており、その中で同首相は「このような攻撃に対してイランが行うかも知れない報復行為は、『道理の一線』に止まるようなものではないかも知れない。この地域が戦争に巻き込まれたり、戦争の雰囲気に悪影響を被り、この地域の人間でない者たちが入り込んでくるかも知れない」と語った。。

 イラク政府とイラン政府は、イラン政府がイラク駐留米軍などから非難されているにも拘わらず、良好な関係で結ばれている。米軍の非難は、イランが多くの民兵組織を支援し、治安上の不安定化に関与しているというものである。なお、これについてイランは一貫して否定している。

 マーリキー首相は、イラク国内の米軍駐屯地が報復行為にさらされる可能性は低いとの見方を示しつつも、湾岸諸国の米軍駐留地が攻撃を受ける可能性を否定せず、「湾岸諸国の米軍駐屯地などの施設が標的として危険にさらされる可能性がある。これによって問題は複雑し、それを押さえ込むことは、地域諸国ばかりか米国、国連、安保理の能力にも余るだろう」と語った。

 またマーリキー首相は、イランに対するイスラエルの威嚇を非難して「世界は、世界中を巻き込む危険を冒しているイスラエルにお仕置きをすべきだ。今回はイスラエルも大きな代償を払うことになるだろう」と述べた。

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