預言者ムハンマドの「聖上衣」、ラマザン月に非公開の真相
2009年08月18日付 Hurriyet 紙

毎年ラマザン月に公開されてきた「聖上衣」が焼けてしまった、という疑惑が浮上し、話題をさらっている。この疑惑が持ち上がると、人々の目はイスタンブル宗務局をはじめとする関係者に注がれた。しかし聖上衣は焼けてはおらず、しかし保存状態が悪く、折り目から裂けてしまったことがわかった。聖上衣を57代にわたって管理してきた一家は、この状況に困惑している。以前にも行われた支援への要請を再び繰り返し、政府からの支援を求めた。

今年はラマザン月に公開しないと発表された聖上衣は、実は「アイロンをかけて焼けてしまったのだ」という疑惑がもちあがったのをうけ、イスタンブル・ムフティー(宗務長官)のムスタファ・チャーウルジュ氏と関係者が記者会見を開いた。会見には聖上衣の現在の相続人のうち、ギュライ・キョプルル氏も出席した。

チャーウルジュ氏は、預言者ムハンマドによってウヴァイス・アル=カルニー(トルコ語発音:ヴェイセル・カラーニー、652年没)へ遺言されたといわれ、ウヴェイス家の57代目当主であるメフメト・ハシーム・キョプルル氏の死去に伴い相続人に受け継がれた聖上衣は、スルタン・アブデュルメジトが建設したファーティフ地区の、フルカ・イ・シェリーフ(聖上衣)モスクの一室に保存されていると説明し、神聖な委託品とそれを保存する部屋を修復する活動が予定されていると語った。

■過去の修繕は一度だけ

チャーウルジュ氏は、聖上衣が千年以上の時間のあいだに擦り切れ、この間の修復は、オスマン朝時代の小さな修繕1回だけだと明らかにした。さらに同氏は以下のように話した。「『聖上衣』の相続人であり、唯一の権益者であるキョプルル家は、『聖上衣』が擦り切れたのでは、と考え、イスタンブル県特別文化局(İstanbul İl Özel İdaresi)に申し出をしました。同家は科学的な支援と大きな財源が必要であると明らかにしています。このため、2008年11月4日に提出された一家からの申し出は関係各所で検討されました。県特別文化局とワクフ総局イスタンブル局が必要な話し合いをし、保存に関する専門家を探しました。トルコ国内にはこの修復を実現できる専門家を見つけられないため、国外の博物館に連絡をしました。世で最も有名な3つの保存修復センターと話合いが行われ、(専門家が)トルコに招かれました。この人々の報告書を考慮しつつ、作業が行われます。我々の目標は、来年新しい形で聖上衣を展示することです。今年については、国民の理解を期待しています。」

■アイロンがけされたという憶測は否定

チャーウルジュ氏は、「聖上衣はアイロンがけされたせいで駄目になった」という疑惑について問われると、次のように答えた。「聖上衣の鍵は、所有者であるキョプルル家が持っています。今までどんな作業がされてきたかは知りません。我々は一家に聞き取り調査を行い、アイロンがけしたことはないという情報を得ています。たまに箱を開けて少しだけ掃除したそうです。しかし、アイロンがけをしたということは絶対にあり得ません。聖上衣は、折り目のところで、被害がおおきくなっています。我々はこの聖上衣を手厚く管理し、必要な処置は全てとるつもりです。」

■温度、光、湿度から守られる

チャーウルジュ氏は、「聖上位」のために、県特別文化局は、いかなる出費もいとわない、と述べた。県特別文化局のサブリ・カヤ事務局長も、、「聖上位」が折った状態で展示されてきたことが傷む原因となったとのべ、「今後は、広げて、45度傾けてガラスのケースにいれて展示されます。このほか、温度、光、湿度のような条件にも配慮されます。ここに、他の展示品もならべて、必要なら博物間のようにすることも考えています」と述べた。サブリ・カヤ事務局長は、今年のラマザン月に「聖上位」の保存されている部屋は訪問者に開放され、10分ほどのフィルム上映が行われことを発表した。

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( 翻訳者:牧史織 )
( 記事ID:17222 )