イスラエル副首相、入植活動に関して「米国の圧力に屈しないよう」主張
2009年08月21日付 al-Hayat 紙

■ ネタニヤフ政権の副首相が入植活動に関するアメリカの圧力への不服従を呼びかける発言、イスラエル政界に嵐

2009年08月21日付アル=ハヤート紙(イギリス)HPアラブ世界面

【ナザレ:アスアド・タルハミー】

 イスラエルのモシェ・ヤアロン第一副首相の新たな強硬発言が政界に嵐を引き起こした。ヤアロン副首相は、「ユダヤ人が大イスラエルの各地に居住する権利」を強調し、アメリカ人に服従しないよう呼びかけ、イスラエル左派を「ウイルス」だと評した。これに対してベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「政府の立場を代表しない発言に関する説明」を求めるためヤアロン副首相を呼び出すことを余儀なくされた。野党カディマの幹部らは「この発言は実際、ネタニヤフ首相と彼が率いるリクードの真の立場を反映するものである」と述べた。

 ネタニヤフ首相の官房は、「ネタニヤフ首相は家族との休暇後、ヤアロン副首相と個別会談を求める」との声明を発表した。また、「ヤアロン副首相の発言は内容の点でも方法の点でも首相にとって容認できるものではなく、政府の立場を代表するものでもない」、「イスラエルが将来への重大で決定的な課題に直面している今だからこそ、首相は多元性を認める体制の中で、相互の尊重と国民の統一を守るべきだと考えている」と述べた。

 マアリブ紙によると、ネタニヤフ首相に近い関係者やリクードの他の幹部らは、「リクードと政府を同様に混乱させた」ヤアロン副首相の最近の発言に対する不快感を示した。また同紙は、「ネタニヤフ首相は、以前よりリクードから除名しようとしている党内の過激派ユダヤ教指導者モーシェ・ファイクリンを公認したことについて、ヤアロン副首相を厳しく非難するだろう」と伝えた。

 ファイクリンは数年前、リクードを極右化する目的で、自らの運動体のメンバー数百人と共にリクード党内に入り込むことに成功した。ファイクリンは民主主義体制を否定し、問題解決のため暴力に訴えることの正当性を信じる宗教国家の樹立を呼びかけている。ファイクリン氏は現在のクネセト選挙にあたってリクードの比例順位で20位を獲得したが、ネタニヤフ首相は議席が保証されない順位に変更させることに成功した。

 諸政党の事情に詳しいアナリストらは、「ヤアロン副首相は、任期満了ないしネタニヤフ政権の崩壊によるリクードの次期党首選に備えて、極右に傾いている。或いは、リクードで目的を果たせなかった場合には『民族主義右翼』陣営のリーダーとなることを目論んでいる」との見方を示している。

 ヘブライ語メディアは、ファイクリンが先週の日曜日に自らの率いる運動体の活動家数十人の出席の下で開催した集会での、ヤアロン副首相の発言を録音したテープを公開した。この発言には、先週の月曜日にヤアロン副首相が、ヨルダン川西岸地区にある違法植民地を視察した際の談話で強調した過激な政治的立場が含まれている。このときヤアロン副首相は、「これらの入植地は合法である」と宣言し、ヨルダン川西岸地区北部にある4つの入植地の1つであるホメシュ入植地の再建の可能性を検討するよう政府に求めた。これらの4つの植民地は、ガザ地区からの一方的撤退計画の一環として4年前にイスラエルが住民を退去させたものである。ヤアロン副首相は、この措置は誤りであったとの見解を示している。

(後略)

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( 翻訳者:青山沙枝 )
( 記事ID:17284 )