ヨルダンのヌール王妃、「名誉殺人」の根絶を呼び掛け
2009年09月08日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ ヌール王妃、ヨルダンでの「名誉殺人」の根絶を呼び掛け

2009年09月08日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPコラム面

【アンマン】

 ヨルダンのフセイン・ビン・タラール故国王の妃であるヌール王妃は月曜日、自身が会長を務めるキング・フセイン財団は、家族の名誉の保護を口実とした、王国内で行われている女性に対する犯罪を根絶するために尽力していくと明言した。

 ヌール王妃はAFP通信とのインタビューの中で、キング・フセイン財団の目的の一つはいわゆる「名誉殺人」や女性への暴力、家庭内暴力を根絶することだと語った。

 続けて王妃は、多くの犠牲者が出ていることや、姉妹を殺す義務を果たすべきだと兄弟を説得するために家族が様々な策を用いるといったことは、一言で言えば衝撃的な問題であり、しかも〔自分の姉あるいは妹を殺害した〕兄弟は厳しく罰せられる必要がないとの判決が出ることは、まったく驚きであると語った。

 そして王妃は、この犯罪は「名誉殺人」ではなく「不名誉殺人」だ、と指摘した。

 彼女の財団はこの問題について経済的、社会的、政治的なあらゆる面から根本的な要因を調査し、女性のエンパワーメントと経済・家庭状況の改善のために活動すると説明した。
 
 また財団は、地方に司法制度をいきわたらせ、社会のあらゆる階層にまで必要な情報を提供する活動も行うという。ヌール王妃の説明によれば、財団はシリアやイエメン、湾岸諸国やイラクなどの国々と、地方社会の開発における知識と経験を交換してきた。

 ヨルダンでは年間15~20人の女性が「名誉殺人」で殺害されている。「名誉殺人」の実行者への減刑を義務付けている刑法340条をめぐっては、人権組織が罰則を強化すべきだと圧力をかけているにもかからわず、ヨルダン議会は法改正を2度も拒否している。

 刑法340条では、妻や直系・傍系の家族、姉妹が姦通罪が疑われる状況にある、あるいは結婚していない相手と性行為をしているところに行き合わせた男性が、その場で男女のどちらか、あるいは二人ともを殺した場合、あるいは襲い掛かった結果、相手を死亡に至らしめたか、負傷や後遺症を負わせた場合には、減刑理由が適用される。

 妻にも同様の減刑理由が認められるが、妻の場合には現場が夫婦の居宅である場合に限られる。

公安当局が法医学局との協力の下、2000年から2003年の期間に起きた女性の殺害事件を調査したところ、実行犯の97%が犠牲者の親族であり、そのうち50%は兄弟で、26%は道徳的な疑惑が動機となっていた。

キング・フセイン財団は1999年に、故国王の遺志によって設立された。同財団は社会、教育、保健衛生、女性と子どもの人権の研究と保護、貧困撲滅の分野で事業を行っている。

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( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:17422 )