ビン・ラーディンが最新メッセージ、米国民に政府への圧力を呼びかけ
2009年09月15日付 Al-Nahar 紙


■ ウサーマ・ビン・ラーディン:「オバマは戦争を止めることもできない哀れな男」

2009年09月15日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【AFP、ロイター、MENA、AP】

 「アル=カーイダ」の指導者ウサーマ・ビン・ラーディンは、バラク・オバマ米大統領を「哀れで、アフガニスタンでの戦争を止めることもできない男だ」と評し、アフガンでゲリラ戦を展開すると警告した。またアメリカ国民に対して、アフガンとイラクでの戦争を終結させるよう米政権に圧力をかけることを呼びかけ、戦争終結と引き換えに原理主義組織アル=カーイダも攻撃を止めると述べた。

 テロ関連の調査を専門とする米国の「インテル・センター」によれば、アル=カーイダの広報機関「アル=サハーブ」のウェブサイトで公開された11分間に及ぶ「米国民への(音声)メッセージ」の中で、ビン・ラーディンは、「もし米国が戦争を止めなければ、我々は全戦線で消耗戦を続けざるを得ない」と警告した。

 このメッセージは、9.11事件8周年の2日後に公開された。アル=カーイダが実行声明を発表した9.11事件では約3,000人が犠牲となった。ビン・ラーディンは毎年9月11日にメッセージを出しているが、今回初めて、攻撃を実行した19人を讃えなかった。

 ビン・ラーディンは、これまでのメッセージに見られた威圧的な調子とはうってかわって、9.11攻撃を正当化しようと「我々と諸君の対立の理由は、諸君がパレスチナの地を占領する同盟国イスラエルを援助してきたことや、その他の諸々の不正な行為にある」と述べ、米政権のイスラエル援助に反対の意思表示をするよう、米国民に呼びかけた。また、イラクとアフガニスタンでの戦争を開始したのは、ホワイトハウス内でイスラエルを支持する「ロビー団体」や大企業の利益を守る者たちであり、イスラーム主義者ではないと指摘した上で、米国民に向けて「今こそ、ネオコンやユダヤ・ロビーに植え付けられた恐怖感や思想的なテロから、自由になるべき時である。自問してほしい。果たして、諸君の安全や諸君の血が大切なのか、それともイスラエルの安全の方が大切なのか。…ホワイトハウスはこれらの圧力グループに占拠されている。諸君が自分たちの安全と停戦を選んだ暁には、我々はその選択に応える用意がある」と語った。

 またビン・ラーディンは、オバマ氏は「哀れな男」であり、二つの戦争を止めることは出来ないだろうと述べ、ロバート・ゲーツ国防長官らジョージ・ブッシュ前政権の高官らを留任させたのはオバマ氏の弱さの証拠であると述べた。また、「米国民は、ホワイトハウスの表面を変えただけであって、未だにネオコンの亡霊が居座っていることにやがて気付くであろう」と述べ、「オバマ氏がネオコンの政策と違う政策を行おうものなら、1963年に暗殺された故ジョン・F・ケネディー大統領と同じ運命を辿ることになるだろう」との見方を示し、「私の提案に応じない場合には、我々は全ての戦線で、消耗戦を続けざるを得ない。我々が10年間ソヴィエト連邦を消耗させたように」と締めくくった。

 なおビデオテープは、ビン・ラーディンの静止画像と音声記録から構成されている。

 ビン・ラーディンの前回の録音メッセージは去る6月3日に公開され、その中でビン・ラーディンは、オバマ大統領のイスラーム世界への開放姿勢を拒否して、オバマ氏は前任者の共和党員ジョージ・ブッシュのようにイスラーム教徒への敵対的な政策を続けていると非難していた。

■ 米国の反応

 米政府のテロ対策担当の高官は、ビン・ラーディンの最新の音声メッセージには、近いうちに攻撃を行う準備をしている可能性を示すサインはなかったとの見方を示し、「このメッセージには、直接の脅威はないように思う。近いうちに攻撃を行うとのサインは含まれていないようだ」と発言した。

 また専門家らによると、最新メッセージの中でのビン・ラーディンは、追跡されて弱々しく疲れ果てた男のようで、出口と救命具を探しているように聞こえるという。

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