「キャッルービーの提出した資料はでっち上げ」:司法三人委員会が結論
2009年09月13日付 Jam-e Jam 紙
【政治部】選挙後の騒乱をめぐる問題を調査している司法三人委員会は、独自の調査、及びメフディー・キャッルービー氏との面談の結果を、アーヤトッラー・アーモリー=ラーリージャーニー司法権長官に提出した。
司法権広報局の発表によると、今回提出された三人委員会による報告書は、キャッルービー氏が主張するような性的暴行を裏付けるような証拠資料は見つからず、同氏の主張は証拠に基づかない虚偽であり、そればかりか、同氏の示した主張や資料は一般世論を逸脱させるために作られた、完全なでっち上げであると結論づけている。
〔中略〕
司法権長官の同意と三人委員会の提案にもとづき、同報告書の内容を国民一般に以下の通り公開する。〔‥‥〕
キャッルービー氏の書状受理後、同氏は三人委員会に対して自らの主張の詳細を述べ、証拠資料を提示するために、ただちに全国検察庁に召喚された。
キャッルービー氏は指定された時間に、全国検察庁に設置された委員会に出席した。〔‥‥〕「あなたはどのような証拠に基づいて、先の騒乱で逮捕された一部の人々に対して性的暴行があったとの主張を行っているのか」との質問に、同氏は次のように答えた。「私はこの件に関する内容を聞き、精神的な不快感を覚えた。そこでハーシェミー=ラフサンジャーニー氏に手紙を書き、その10日後、ウェブサイトにそれを掲載し、公開した」。
「あなたが指摘している〔暴行の被害にあった〕人々とは具体的に誰のことか。あなたはそれをどのようにして知ったのか」との質問には、同氏は次のように回答した。
1.タラーネ・ムーサヴィー:私は、タラーネ・ムーサヴィーや彼女の家族に会ったことはなく、ミール・ホセイン・ムーサヴィー氏の関係者や、私やムーサヴィー氏が立ち上げた委員会のメンバーらを通じて、〔彼女が逮捕された後、強姦され殺害されたとされる内容について〕聞き及んだにすぎない。私自身、〔彼女が本当に強姦され殺害されたのかどうかについて〕確信はなく、〔私の指摘は〕純粋に伝聞にもとづくものであり、この件について確たる証拠は持ち合わせていない。
2.A・SH:最初、私の仲間、つまり国民信頼党の関係者たちを通じて、この人物が次のような証言をしているとの話を聞いた。それによると、彼は3人の人物によって〔テヘランの〕ジョルダン通りで車で拉致された。連れ去られた先には、連れ去った人物とは別の複数の人物が待ちかまえていた。彼自身は目隠しをされていたため、誰の顔も見なかった。彼は繰り返し殴打され、さらに手を縛られ、地に足が付くかどうかの状態で宙づりにされ、性的暴行を受けたとのことだった。私自身の求めによって、〔この人物から直接〕話を聞き、その後国民信頼党の党員の一人が彼の証言をCDに記録した。〔‥‥〕
キャッルービー氏に対し、A・SH氏はいつ、またどの暴動に参加し拘束されたのか尋ねた。この質問に対し、キャッルービー氏は「そのことについては質問をしなかったので、分からない。ただ、デモや〔当局との〕衝突には参加していなかったようだ。ジョルダン通りに独りでいる時に、3人の人物によって車で拉致されたとのことだった」と答えた。
3.三番目の人物については、性的暴行の事実を訴えているわけではなく、また私自身もこの人物と面会したことはない。この人物については、国民信頼党やミール・ホセイン・ムーサヴィー氏の関係者から、話を聞いただけである。また、この人物もデモや衝突に参加したわけでもない。この人物によると、数名によって拘束され、激しく殴打されて、頭部や顔面、その他体の多くの場所に怪我を負ったという。この人物の家族は、〔負傷した〕体の場所すべてを写真に撮っている〔‥‥〕。
4.M・Aさん(女性):この女性は、国民信頼党の関係者から私に紹介のあった人物で、彼女とは〔直接〕話をした。彼女は性的暴行について訴えているわけではないが、逮捕初日に捜査課に連れて行かれ、そこで殴打されたと述べている。抵抗すると、服をつかんで殴られたと訴えている。
5.S・P:この女性は〔イラン・イラク戦争などで体制のために戦い亡くなった〕殉教者の娘で、家族の人たちの中にも殉教者が数名いる。彼女はムーサヴィー氏の支持者で、毎晩〔屋上で〕「神は偉大なり」を叫んでいた〔※不正選挙に抗議するために、ムーサヴィー支持者らが行った示威行為〕。〔そんなある夜、治安当局が〕自宅にやってきて彼女を逮捕、その後彼女に暴行を加え、数日後彼女の遺体は人知れずひっそりと埋葬された。彼女の下半身の一部には、酸で焼けただれた痕があった。ミール・ホセイン・ムーサヴィー氏の関係者が彼女の自宅を訪れ、その後ムーサヴィー氏自身が葬式に参列したと聞いた。〔‥‥〕
キャッルービー氏に対し、これら数名の人物が本当に選挙後の暴動に参加して逮捕され、その後殴打され、ときに性的暴行を受けたと確信を持って言えるかと訊いたところ、同氏は次のように答えた。「確信はない。これらは私が伝え聞いた内容である。ただ、私は選挙に対して抗議しており、〔そのような事実があったのではないかと〕考えている。それゆえ、訴えがあれば、どんな人物のところにも行き、あるいは彼らを私の所に呼んで、彼らから話を聞くようにしてきた」。
〔中略〕
キャッルービー氏に、「私利私欲にまみれた便乗主義者が、選挙後に実際に起きたこととは無関係なことを吹聴することで、世論を逸脱させようとしているのではないか、体制やその関係者たちに対する人々の信頼を失墜させようとしているのではないかとは考えなかったのか」と問うたところ、同氏は「もしこのような事実はなかったということが本当に証明されるならば、私は人々に対し、間違いを犯したことを勇気をもって正直に申し上げる」と述べた。
〔中略〕
細部にわたる調査はいまだ継続されているが、しかし簡潔に言うならば、これまでのところ、A・SH氏は路上での当局との衝突で逮捕されたことはなく、どの治安機関にも逮捕・拘束されたとの記録は残っておらず、〔キャッルービー氏から提出されたA・SH氏の証言〕CDも政治的な意図によって(しかも極めて下手くそに)作られたものであり、A・SHのCDでの証言も多くの疑問点・矛盾点が存在することが明らかとなっている。この人物がすぐさま身を隠し、国民信頼党〔の関係者〕と密かに交信している(同党の関係者は行方不明になったと主張しているが)のは、恐らくこのためであろう。
調査の結果、さらに以下のことが明らかとなった。
1.キャッルービー氏の主張は、自身、ないしはミール・ホセイン・ムーサヴィー氏の支持者からの伝聞であって、〔確たる証拠に〕もとづくものではなく、真実であるとは言えない。
2.キャッルービー氏はS・P女史について、〔イラクによる〕化学兵器の犠牲者の娘であり、毎晩母親とともに「神は偉大なり」を叫んで逮捕され、その後暴行されて、数日後に遺体となって密かに埋葬された、彼女の遺体には酸によって焼けただれていたと主張している。
このS・Pなる人物について、ミール・ホセイン・ムーサヴィー及びキャッルービー両氏に属する複数のニュースサイト、ならびに各種反革命メディア(彼らはこれらのニュースサイトをコピーする形で報じている)は体制に敵対的な言論を弄している。〔‥‥〕
〔例えば、〕この種のニュースサイトは88年6月8日〔2009年8月30日〕付の報道として、次のように伝えている。
ベヘシュテ・ザフラー墓地302区画に人知れず埋葬された殉教者の名前・身元が明らかとなった。《私服》による犯罪の犠牲者であるS・P(このサイトには、彼女の名前が完全な形で公表されている)は〔‥‥〕、殉教者’A・Pの一人娘で、クーデター後のある晩、自宅屋上で「神は偉大なり」を叫んでいたところ、私服バスィージによって逮捕され、20日後、テヘラン南部の遺体安置所で遺体となって発見、母親が彼女の身元を確認した。なお、S・Pの密葬はシャフリーヴァル月7日〔8月29日〕土曜日ガルハク・モスクで行われ、「緑の運動」の代表者らも参列、彼女の家族と痛みを共有した。
S・Pなる女性について調査をしたところ、次の事実が判明した。
1.この女性の父親は殉教者ではなく、亡くなったのは数年前のことだった。S・Pは一人娘ではなく、殉教者の娘でもない。
2.この女性は、母親との折り合いが悪く、86年〔2007年〕からこれまで6回にわたり家出を繰り返し、そのたびに母親は彼女を捜し出すために、警察を訪れていた。この女性自ら、数日後に自宅に戻ったこともあれば、警察官によって複数の男女とともにいたところを逮捕され、留置所に収監されたり、母親の元に引き渡されたりすることもあった。
〔中略〕
3.情報によると、この女性は数日前に連絡を寄こし、数日後に家に帰ると述べたという。
4.彼女の母親は、キャッルービー氏や、ミール・ホセイン・ムーサヴィー氏の関係者たち、及び関係サイトが述べたり書いたりしていることについて、何も知らないと述べており、娘が逮捕されたのか、それともこれまでのように家出をしているだけなのか、彼女がいまどのような状態にあるのか何も分からないと話している。
5.現在はっきりしているのは、S・Pがこれまでと同様に家を飛び出し、行方不明となっていること、そしてキャッルービー氏や、ミール・ホセイン・ムーサヴィー氏の関係者らが指摘しているようなことは、まったく正確ではないということである。
〔中略〕
包括的なフィールド調査、キャッルービー氏からの聞き取り、同氏から提出されたCDの正確な調査、何度も行われた中身の濃い会議、その他諸々の措置によって、〔‥‥〕委員会は次のような結論に達した。キャッルービー氏が指摘するような性的暴行を裏付けるような証拠は全く存在せず、同氏の主張は証拠に基づかない虚偽である。そればかりか、同氏の示した主張・資料はまったくのでっち上げであり、世論を逸脱させるために作られたものである。司法・治安当局を通じて、この問題の原因究明が現在行われており、最終的な結論が出次第、国民一般に公表されることになるだろう。
三人委員会一同
1.エブラーヒーム・ライースィー(司法権第一副長官)
2.ゴラーム・ホセイン・モフセニー=エジェイー(検事総長)
3.アリー・ハラフィー(司法権長官事務所長)
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( 翻訳者:斎藤正道 )
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