ガザ・エジプト境界線の密輸トンネル崩壊で死傷者
2009年09月13日付 al-Hayat 紙

■ トンネル2ヶ所崩壊でパレスチナ人2人が死亡、3人が負傷

2009年09月13日付アル=ハヤート紙(イギリス)HPアラブ世界面(東アラブ)

【ガザ、ラファハ:(本紙)】

 ガザ地区とエジプトを隔てる境界線の下にある密輸用トンネル2ヶ所の崩壊によって昨日、密輸に従事していたパレスチナ人2人が死亡、3人が負傷した。

 ガザ地区のムアーウィヤ・ハサナイン救急・非常事態対策局長は、「最初のトンネルの崩壊は昨日の朝、ラファハ氏南東部のブラジル地区で発生し、これによってムハンマド・ジャマール・アル=ズライイー青年(18歳)が死亡し、その他3人が負傷した。2つ目のトンネルは同じくブラジル地区で昼頃に崩壊し、ムハンマド・ザアラブ青年(20歳)が死亡した」と述べた 。

 ハサナイン氏は、トンネルの崩壊が増加している原因について、「様々の商品や、電化製品、燃料、車のガソリン、木材、ガラスなどに加え、ラマダーン月明けの祭日に備えて食料品や子どものおもちゃなどの密輸が加速しているためだ」と述べる 。

 ガザとエジプトの境界では、密輸用トンネルの崩壊事故で2008年初め以降、パレスチナ人およそ110人が命を落としており、特にこの数ヶ月間、トンネルの崩壊事故は目に見えて増加していた。

 一方、治安当局筋は、「エジプト当局は3日前に、メッカ小巡礼に出かけていたパレスチナ人がガザに帰ってきたところ、元々兄弟のものである偽造パスポートを所持していたため逮捕した。警官の一人が、本人とパスポートの顔写真が異なることに気付いたためである。また、逮捕された人物は、トンネルを経由しての密入国によりエジプト治安機関に指名手配され、ガザからエジプトへの渡航禁止者リストに登録されていたことが明らかになった。

 エジプトの治安当局筋によれば、逮捕されたのはパレスチナ側の有力なトンネル密入業者の1人であり、自分がエジプト治安当局に指名手配されていることを知っており、そのため姿のよく似ている兄弟のパスポートによって規制をかいくぐろうと企んだのだという。ラファハ通行所では火曜日から3日間に渡って出入国者の通行を許可する予定である。

 これと関連して、エジプト治安当局筋は、「警察はシナイ半島北部において麻薬や殺人、トンネルを経由した密輸などで指名手配になっている16人を、ラファハ市とシャイフ・ズワイド市の指名手配者を拘束するため2日間にわたって行われた大規模作戦で逮捕した」と発表し、「逮捕者の中には、境界のトンネルを通して物品を密輸していた罪で禁錮刑を求めてられている指名手配者2人がいた」と述べた。

 同筋は、「ラファハのサラーフッディーン・ゲートとカシュタ地区で、エジプトとガザの間での物品密輸に使用されているトンネル2ヶ所が閉鎖された。この措置は木曜日の夜にとられたものだが、トンネルの取り調べ中に密輸業者の逮捕や物品の押収などはなされなかった」と指摘し、「再び密輸に使用されることのないよう今年になって閉鎖されたトンネルの数は約400ヶ所に上る」と述べた。

 一方、イスラエルは3日前にイスラエルに侵入した際に殺害された密輸業者と見られる2人の遺体をエジプトに返還した。消息筋は、殺害された2人は「ムハンマド・スライマーン・ウワイミル(31歳)とドゥハイミシュ・サラーマ(18歳)であり、シナイ中部の長老たちに遺体の身元確認を行ったところ、アザーズィマ部族の長老が確認した」と指摘している。

 アザーズィマ部族の人口の半分はシナイ半島の国境近くに位置するジャーイファ村に住み、残りの半分はイスラエル側のネゲヴ砂漠に住んでいる。彼らはエジプト国籍を持たないが、身元証明カードを所持している。

 一方、(エジプトの)治安機関はシナイ半島を経由してのイスラエルへの麻薬密輸計画を阻止した。治安当局筋は「シナイ半島中部のワーディー・アル=アザーリク地区で警察が密輸業者たちと銃撃を交え、彼らの逃亡した後には精製ハシーシ(大麻)150kgが残されていた」と述べ、「密輸業者との銃撃戦で人的損害はなかった。警察が現在追跡中だ」と確認した。

 また、ラファハ通行所では一昨日の夜、カイロ空港経由でサウジアラビアから小巡礼を終えて帰ってきたパレスチナ人9人の通行を許可し、エジプトやその他のアラブ諸国あるいは諸外国の病院で治療を受けた患者16人と付き添いの人々の帰還を認めている。

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( 翻訳者:鈴木啓之 )
( 記事ID:17509 )