占領下ゴラン住民のシリア訪問団に官民挙げての大歓迎
2009年09月25日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ 数百名のゴラン住民、シリアで官民挙げての大歓迎
2009年09月25日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ダマスカス:本紙カーミル・サクル】
イスラエル当局は昨朝、占領しているシリアのゴラン高原住民数百名に対し、クネイトラ市の通行所を通ってシリア領に入国することを許可した。毎年60歳以上を対象に組織されている6日間の訪問をシリア内務省が申請していたのが許可されたのだ。これは宗教的・精神的措置ではあるが、政治とも無縁ではなく、イスラエルがシリア入国を認めなかった何十人もの女性たちがデモを行う一幕もあった。
シリア当局はゴラン高原の住民に教育分野で優遇措置を講じ、大学での教育を無償で提供している。また農作物を買い上げてシリア市場に供給することを通じ、経済的・金銭的支援を行うことでゴラン住民を支え、彼らと祖国シリアとの結びつきを深めようとしている。
シリア国営テレビはクネイトラ市に到着した人々を多大な関心を持って取材し、この訪問の中継に午前中の長時間をあてて、宗教者とのインタビューを行い、政府およびバアス党の高官たちも同席させた。
訪問者たちはマジュダル・シャムスやマスアダ、バクアーサといったゴラン高原の町村からやって来た。1973年10月の戦争〔第4次中東戦争〕でシリア軍とイスラエル軍の激しい戦闘の舞台となった土地だ。
事情通の中には、シリアの図書館に占領下ゴラン高原に関する書籍が乏しいことを批判する人たちもいる。大半の本はゴラン高原の地理や社会の生活様式や、若干の歴史的研究に触れているだけで、シリア国内の他の多くの書籍はゴラン高原をめぐる和平交渉について米国や、時にはイスラエルの見解を満載している。その一方で、シリア側の見解を伝える書籍はほとんどない。
最近になってシリア内外に向けた外交・広報活動が行われるようになり、ゴラン高原問題や、イスラエルの刑務所に収監されているシリア人捕虜の問題に対する熱心な動きが見られるようになった。同時に政府もこの方面への文化的・思想的・社会的活動に関心を向けだした。シリア外務省にこれまでの経緯についてシリア側の見解を反映した白書を発行するよう求める動きも出ている。
1981年1月にイスラエルは公式にシリアのゴラン高原をイスラエル国家に併合する決定を下した。その4日後に国連安保理は決議を採択し、イスラエルに併合の決定を破棄するよう求めると同時にその決定を無効とみなした。そしてゴラン住民は全面的なゼネストを宣言し、イスラエルによる併合の決定に抗議して、157日間にわたりストを継続した。
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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:17528 )