イスラエル、パレスチナ人の住居が崩落する危険があると知りながら、エルサレム郊外での発掘作業を続行
2009年10月06日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ イスラエル、アラブ人住居が崩落する危険があると知りながら、スィルワーン地区での発掘作業を実行
【テルアビブ】
イスラエルのハアレツ紙は月曜日、イルアード入植協会がエルサレム旧市街の向かいにあるスィルワーン地区で、アラブ住民の住居を危険にさらし、崩落を引き起こす恐れがあると知っているにもかかわらず、占領当局の援助のもと発掘作業を行っていることを確証するビデオテープの内容をスクープした。
同紙は、1年前のスルワーン地区での見学ツアーの様子を記録したビデオテープに収められた、イルアード入植協会のダビッド・ベイリー会長の以下の発言を報じた。「ある段階で法廷に立たされた私に裁判官が、『あなたは彼ら(パレスチナ人)の住居の下を掘っている』と言ったので、私は『掘っているのはダビデ王で、私たちは清掃しているだけだ』と答えた。裁判官は私に『できるだけきれいにしなさい』と言ったので、それ以来我々は清掃を続けている。我々は清掃しただけで発掘はしていない」。
さらにベイリー氏は発掘方法について、「建物は下から上に建てられるものでしょう? だがここでは我々は上から下に建てている。問題はすべてが空中に浮いていることだ。発掘を続けるにつれ、建物が宙に浮く状態になる」と説明した。
そして「建築作業の監視人は『建物が崩落する危険があるから、すべて埋め戻せ』と言う。私は彼に『気でも狂ったのか?』と言う。その後冬が来ると、地面が動き始めた。上にアラブ人の家をのせたままでね。これは恐ろしいことだ」と続けた。
ハアレツ紙の報道によれば、今年2月末、地区の高台と低地とをつなぐ階段のそばにあった井戸が陥没し、 その3ヵ月後には、イルアード入植協会が集中的に発掘作業を行っていた場所の上にあった中庭が崩落した。その後その地域はフェンスで囲まれ、立ち入り禁止にされているという。
このビデオテープに記録されたイルアード入植協会が企画した視察ツアーに参加した人の話では、ベイリー氏は狭い穴になっている部分から立ち入り禁止地域へ這って入ることが出来ると言い、視察者たちに中へ入ってみるよう呼び掛けたが、みな外からのぞくだけにして、その場を後にした。
ハアレツ紙によれば、イルアード入植協会はエルサレム遺跡当局および市当局と協力して、ここ数年、イスラエル最大規模とされるスィルワーン地区の発掘作業を行っている。また国立公園当局もイルアード入植協会に、パレスチナ人地区にある発掘現場を管理する任務を認めている。
イルアード入植協会とアティルト・コハニーム協会は、スィルワーン地区の民家を買い取り、そこに入植者を住まわせる活動を行っている。またイスラエル当局から月額23シュケル(約6ドル)というきわめて安い賃料で、ある大きな建物を手に入れているが、その建物はあるパレスチナ人家族に所有権があるものの、不在者財産とみなされているものだ。〔訳注:不在者財産とみなされた不動産は国家が収用できるという法律がイスラエルにあり、実際にはパレスチナ人から不動産を収奪するために機能している〕。
イスラエル最高裁は2週間前、パレスチナ人地区の住民たちが提出した発掘作業の関係各方面に対する請願を却下し、その理由として、発掘作業はユダヤ人の土地に対する歴史を明らかにするという公共の利益に則って行われていると述べていた。
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( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:17649 )