イラクで深刻な水不足、近隣諸国との水資源配分に議会が危機感
2009年10月14日付 al-Sabah al-Jadid 紙
■ イラク中部と南部で旱魃被害
■ 北部で10万人の避難民が生じる危険
■ 議会:「トルコとの合意の前に水問題を」
2009年10月14日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面
【パリ、バクダード:本紙】
イラクの議員たちがヌーリー・アル=マーリキー首相に対し、イラクへの水資源の配分が保証されるまで、トルコとのいかなる協定にも調印しないよう要請した。そんな折、現在までに10万人のイラク人が、水不足が原因でイラク北部からの移住を迫られているとの報告書をユネスコが発表した。
この報告書によれば、イラク北部での水不足は旱魃と地下水の枯渇、河川を通じた旧式の給水システムの劣化に起因し、10万人以上の国民が移住を迫られているのと共に、イラク中部と南部は水量の減少のために悲劇的な状況に置かれている。
ユネスコは一昨日の火曜日に配布されたこの報告書で、「旱魃と井戸からの水の過剰な汲み上げとが、地下水の古い給水網の水量を減少させた」と説明した。
専門家によれば、4年前からこの地域で旱魃が始まって以来、イラク北部の地下貯水池の70パーセントが枯渇し、8月には683箇所のうち、利用可能なのは16箇所のみになった。
住民は数世紀にわたり、何千年も前に設計された水の貯蔵・給水網に依存し、乾燥地域の気候に適応してきた。このシステムは長年、イラク人に飲用と灌漑用の水を提供してきたのである。ユネスコの発表によれば、水の貯蔵・給水網は、一つあたり9000人分の飲料水と200ヘクタールの土地を灌漑するだけの水を提供するのに十分であったという。しかしこの給水網は政治や治安の危機的状況のためにメンテナンスを受けられず、さらには近代的な井戸で旱魃期に地下水を過剰に汲み上げたことによってダメージを受けたとユネスコは指摘し、「地下水源の急速な劣化が、社会全体を新たな水源を求めての移住へと追い立てている」と報告している。
旱魃の影響を最も受けている地域では、2005年以来、人口が70パーセントも減少しており、状況が早急に改善されなければ、さらに3万6千人が家を捨てることになるだろうという。また、こうした地域の住民は、遠距離をコンテナで運ばれてくる水の貯蔵タンクや、さらに深く掘った井戸から汲み上げた水に依存するようになってきているが、住民の多くはこうした方法で水を手に入れるための代金を支払うことができずにいるという。
そんな中、マーリキー首相は今日、かねてからイラク訪問を発表していたトルコのエルドアン首相を迎える。それに先駆けてイスラーム美徳党は昨日水曜日、エルドアン首相と調印される可能性のある経済・通商協定に、チグリス川とユーフラテス川の水資源の配分をイラクに保証する条項を含めるよう、マーリキー首相に要請した。
「イラクの声」通信社の報道によれば、同党のカリーム・アル=ヤアクービー議員は国会議事堂で開かれた記者会見で、「マーリキー首相はトルコ側との合意文書に、チグリス・ユーフラテス川の水資源のイラクへの配分を保障する条項を入れなければならない」と発言した。
ヤアクービー議員は、「そうした条項なしに調印されたいかなる協定をも議会は承認しない」と述べ、「イラクの水資源配分を保障する条項を含まないシリア・イラン・トルコとの協定には調印しないとの決議を議会は採択している。だがイラクにはこれらの諸国から水資源の配分を確保するための法的な保証措置を持っていない」と指摘した。
一方でアリー・ダッバーグ政府報道官は、ハイレベル代表団を率いてイラクを訪問するエルドアン首相は、イラク大統領および首相と会見し、複数の相互理解のための覚書に調印するだろうと述べた。
昨日の記者会見でダッバーグ報道官は、1日の日程のこの訪問では二国間の拡大協議が行われ、「両国間の協力関係を前進させるための複数の相互理解の覚書や協定が調印されることで、両国の戦略的な協力関係が進展するであろう」と述べて、エルドアン首相は国会議長と副大統領にも会見すると指摘した。
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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:17673 )