仏首相がレバノン訪問、シリアとの対話の必要性を強調
2009年09月29日付 al-Hayat 紙

■ 仏首相「シリア無しで中東の問題が解決出来ると思うのは幻想だ」

2009年09月29日付アル=ハヤート紙(イギリス)HP1面

【ベイルート:ランダ・タキーッディーン】

 フランソワ・フィヨン仏首相はベイルートで、フランスがレバノンとその安定を支援すると改めて強調し、レバノンでの組閣が「出来るだけ早く行われ、改革の実施へレバノンの全政党が集結すること」をフランスは望んでいるとし、「最大限の前進を実現出来るよう、全勢力の話し合いの精神が保たれることを願う」と述べた。同首相は昨日、レバノンのミシェル・スライマーン大統領を訪問し、「あらゆるレベルで極めて良好である相互関係や、レバノン国内情勢」について協議した。レバノン大統領府広報部が出した声明によると、仏首相は「治安面、経済面、政治面でレバノン情勢について満足している。レバノン人が一刻も早く、新内閣の組閣が出来るよう願う」と発言したという。また同声明は会談について、「地域情勢および国際情勢に焦点を当てたものであった。フィヨン仏首相は国際社会でフランスがレバノンを支援すると改めて発言し、こうした立場は仏外交政策における不変の原則だと述べた」とした。

 この後レバノン側と、仏首相に随行する代表団との間で拡大会合が行われ、レバノン・フランス間の各分野で現在結ばれている合意のフォローアップなどが協議された。

 スライマーン大統領は、モナコ大公アルベール2世と会談した。モナコ大公はフィヨン首相とともに、一昨日の夜に開かれたフランス語圏競技大会レバノン大会の開会式に参加した。同大公は、公国におけるレバノンの抜きん出た位置付けや、多数のレバノン人と公国の間を結ぶ経済・投資関係について指摘した。またスライマーン大統領は、フランコフォニー世界機構事務総長でセネガル前大統領のアブドゥ・ディウフ氏とも会談した。

 フィヨン仏首相は、レバノンのナビーフ・ビッリー国会議長を訪問した。両氏の会談には、マフムード・ビッリー氏や「アマル運動」の外交担当タラール・アル=サーヒリー元農業相らも出席した。レバノンや中東、レバノン・仏関係の現状などについて話し合われた。なおフィヨン仏首相は、会談後にも何のコメントもしていない。ビッリー議長は会合を「良好だった」と評するにとどめた。

(中略)

 仏情報筋によると、国連総会の際や、サウジアラビアのアブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ国王とシリアのバッシャール・アル=アサド大統領の会談の際に行われた協議を受けて、レバノンの多数派勢力筋は、国際社会の雰囲気が非常に良くなったとの印象を受けているという。また、野党も以前に比べて協力姿勢を示し、組閣への協議も現在進行中であり、水曜日[30日]にはより深い個別の協議も行われるという。

 また同筋は、「挙国一致内閣の組閣作業の際には、全ての勢力が何らかの犠牲を払わなければならない。議会選挙で多数派勢力が勝った場合には、その勝利は、挙国一致内閣の中であっても具象化されねばならない」とし、サルコジ大統領が、レバノンとシリアの大使交換のためにシリアに働きかけ、きわめて重要な役割を果たした上、現在もこの役割を果たし続いていると述べた。

 レバノンの多数派勢力筋は、「バラク・オバマ米大統領は平和の実現に尽力しているが、イスラエルが協力姿勢を見せない」とした上で、もし中東紛争の公平な解決方法があったなら、レバノン問題もこのように悪化しなかっただろう」と見の見方を示した。

(中略)

■ シリアとの関係

 シリアに対するフランスの融和政策とそのレバノンへの影響についてフィヨン仏首相は、「フランスは、全勢力と話し合っている。私は、レバノンのあらゆる勢力、あらゆる集団、あらゆる宗派に向けて同じメッセージを携えて来た。フランスは全員と対話をする。シリアやその他の影響力をもち、レバノンおよび地域の問題解決に寄与できるあらゆる勢力と話し合うことなくして地域の問題を解決できると思うのは幻想だ。全勢力との対話というこの新戦略をフランスが打ち出して以来、事態は大きく改善した。ベイルートにシリア大使館が建つこと、ダマスカスにレバノン大使館が建つことを想像できたものは、数年前には一人としていなかっただろう。対話は始まったのであり、今も続いている。それは率直な対話であり、妥協を許さないものであり、しかも必要なものである。これがフランスの中東政策の基本だ。我々は我々の価値観を守る。我々には友がいる。我々には同志がいる。解決は全員と話しあったときにのみ可能なのだ」と述べた。

■ イランとの断固たる外交関係

 イラン大統領がフランスや米国、英国に向けた暗黙裡の警告について、またフランス・イラン関係の将来や核問題、その核施設を攻撃する可能性の有無について、本紙からフィヨン仏首相に質問したところ、同首相は「国際的なルールがあり、イランの調印した合意もある。それらをイランは尊重せねばならない。イランが2005年の始めからウラン濃縮施設を建設していることを我々は知った。これは非常に重大な事件である。何故ならそれはイランが国際約束に違反したということだからだ。5つの安保理決議と9つの国際原子力機関(IAEA)理事会決議がある。それらは全て、ウラン濃縮を始めとする慎重を要する核開発活動について、イランに停止を求めるものである。イランで起きたのは、事実の隠蔽だ。イランはこのように振舞っているが、我々は、この先イランが核施設の存在を認め、IAEAの査察団派遣を受け入れ、国際約束の遵守するよう望んでいる。フランスは中東和平の実現に寄与したい。我々の外交は断固としてルールや国際法を尊重する。しかし同時に我々は対話の手を差し伸べる。現在我々の主導する外交が失敗に終わるのは、最悪の事態だと思う」と述べた。

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