トルコを訪れる観光客の数は年々増加する一方で、観光客が旅先で使う金額が減少している。観光客一人が現地で使う金額が最近5年間で750ドルから590ドルに落ち込んでいることもこれを裏付けているようだ。
アンタリヤはトルコを訪れる観光客の半数近くを受け入れているが、アンタリヤにある各ホテルの「すべてが揃った」営業形態が観光客らが都市の歴史や自然のすばらしさを見ずに帰国してしまうことの理由になっているのである。しかしこの悪循環を断ち切ることに成功した新たな見どころが登場した。昨年2500万ユーロ相当をかけて建設されたアンタリヤのタフタル・ロープウェイだ。スイスのガラヴェンタ社が株式の83パーセントを保有する、リゾート開発企業Fajos社は、標高2365メートルのタフタル山を魅力的な観光スポットに作り変えた。タフタル山は地中海沿岸では最高の海抜を誇り、トルコの観光産業を潤わせている上にトルコに外貨をもたらしているのだ。アンタリヤを訪れる観光客らは山頂からの景色を眺めるためにとヨーロッパでもっとも長いこのロープウェイに我先にと駆け込んでいる。
ロープウェイは今日までに約20万人を山頂に運んだと教えてくれたのはタフタル・ロープウェイのハイダル・ギュムルックチュ主任だ。彼はロープウェイが観光の選択肢という点で、大きな間隙を埋めているのだと話す。氏は、これまで観光客らはもっぱら海水浴のためにアンタリヤへやってきていたのだと強調し、「しかしながら歴史的な遺跡のそばには美しいものがあるものです。その筆頭が自然の素晴らしさを備えた山々なのです。ヨーロッパの多くの場所でこのような山はありません。ケメルは海のそばで山のレジャーをも提供できる滅多にない場所のひとつです。観光客らが海岸で海水浴を楽しんだ後、今度は山頂で絶景を眺めながら食事を楽しむ。素晴らしいではありませんか。」と述べている。
1日あたり平均約1000人が訪れるというタフタル・ロープウェイは、またたく間に観光客らがもっともよく訪れる観光スポットのひとつになった。ツアーコーディネーターの大半もパックツアーにタフタル山を組み込んでいるほどだ。都市見学ツアーに参加した外国人旅行者は、まずアスペンドスを訪れ、その後にロープウェイにやってくる。タフタル・ロープウェイが旅行者をホテルから引っ張り出したと話すギュムクチュ主任はまた、「わたしたちはホテルへやってくるお客様のポケットにある余ったお金を使っていただいているのです。実際に落とすお金は増えていますし。彼らを引きつけただけお金を使ってもらえます。」と語った。
山頂と海岸では15度という気温差があるが、主任は次のように話した。「2365メートルという高さにある山頂にはロープウェイで10分ほどです。海岸でビーチの雰囲気に満足した人たちは、時間をおかずに今度は雪を冠ったあるいは雲上に登ることができるのです。雲がなければアンタリヤのほとんどすべてのビーチ、山々、そして果てしなく広がる地中海の海岸線を見渡すこともできます。」
彼の話によれば、ロープウェイには冒険好きといわれるロシア人がもっとも強く興味を示すという。山頂に登ったロシア人観光客はそこからの眺めを見るために旅行期間中に何度か訪れるそうだ。
山頂に登る人々の半数はロシア人だが、ドイツ人もまたロープウェイの雰囲気を非常に好む観光客である。またトルコ市民には特定の日や祝日に50パーセントの割引価格で提供しているという。「世界中で最も長いロープウェイは南アメリカにある鉱山で荷を運んでいる。わたしたちはヨーロッパで1番、世界では2番目です。」と話す主任は、ロープウェイはすべて外国資本でまかなわれていることも付け加えた。
■ 森の監視役
タフタル・ロープウェイの果たす役割として、観光客を呼び寄せるのと同じくらい重要なものが山火事の監視塔という役目である。標高2365メートルからはアンタリヤの東から西まですべての地域が監視できるからだ。どこで煙があがってもすぐさま山頂の管理人が「117番」へ通報できるようになっている。主任によれば、昨年は7件の山火事を通報したとし、これによって環境・森林省がタフタル・ロープウェイを模範的投資例として指摘しているという。アンタリヤ森林地区管理課は山火事通報を確認するためにたびたび問い合わせて来ているとし、「このほかにも山裾に通した7キロの山道は散水車の火事への対応を容易にしました。」という。主任はこれは環境に優しい投資例であるとし、さらには自然にまったく被害を及ぼしていないことも付け加えた。
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（ 翻訳者:原田星来 ）
（ 記事ID:17731 )