レバノンとイラク…共通する問題
2009年10月26日付 al-Sabah al-Jadid 紙
■ レバノンとイラク…共通する問題
2009年10月26日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面
【本紙編集部:サーディク・バーハーン】
外部勢力が送り込む風によって内部対立の炎が煽られているためにレバノンを覆っている政治状況は、ある面でイラクで起きていることに類似しているように思える。レバノンの諸勢力が再び「同胞と敵」という問題を繰り返し、レバノン内戦を経てもなお寛容のイロハを学んでいない事は明らかだ。ベイルートを亡霊が住む町へと変貌させたレバノン内戦の責任はカターイブ(ファランジスト)、ジュンブラート派、共産主義者、パレスチナ人、みなが一様に負っている。古き良き時代を思ってファイルーズは歌った。「ベイルートの愛、ベイルートの日々 ベイルートよ戻ってきて そうすればかつての日々も戻るでしょう」。
だが政治屋たちと一国一城の主たちは、ベイルートを焦土にした。ロシアの作家イリヤ・エレンブルグが『パリ陥落』で描いたパリの惨状と同じように。古き良き日々は戻らない。ベイルートがかつて、圧制から逃れた詩人や芸術家たちの安全な避難場所であったあの日々。レバノン杉の森が木陰なす憩いの場であった日々はすでに風と共に去り、レバノンは再び闘牛場と化した。レバノンの現状に目をやれば、レバノンの統一と自由を脅かす舞台が繰り広げられている。首相に指名されたサアド・ハリーリーが4ヶ月たってもまだ組閣できないとは、どう説明がつくだろう?
その原因は、欧米や一部のアラブ諸国に支援された多数派と、イランとシリアに支援された少数派との対立が複雑化しているためだといわれる。そんな混乱の中、フランスのクシュネル首相のベイルート訪問が行われ、組閣の遅れに対するフランスの懸念と、地域に存在する危機がレバノンの治安と統一と自由に影響を及ぼすことへの危惧を表明したのだった。(中略)
実際、この地域の状況は脆く、バランスに欠けている。この要因ゆえにクシュネル首相は、レバノンはあらゆる勢力・宗派を代表する政府を必要としていると呼びかけたのだ。同時に彼は、レバノン新政府組閣のための明確な提案を運んできたわけではないとも言った。だが彼は、フランスはレバノンにあらゆる方面での支援をする用意があるとの可能性を退けなかった。
いったいいつまでレバノンは「ゴドー」を待ち続けるのだろうか。ゴドーはけっして来ないこと、救いはレバノン人の手によってしかもたらされないことを我々は知っている。そのためには、レバノンを自分たちの危機を輸出する場にしようとする外国の手から自由になる努力が必要だ。それはイラクも同様である。ただしイラクが直面している危機はより深刻であり、予定されている議会選挙を失敗させようとする複数の戦線に対峙している。流血の日曜日に起きた事件〔=10月26日にバクダードの主要官庁を狙って起きた大規模なテロ事件〕は、近隣諸国と、それらの国々が目的を果たすために安全な隠れ家を与えている連中の目論見の明々白々たる証拠にほかならない。このように、レバノンとイラクの問題は共通しているのである。
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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:17748 )