8件連続復讐殺人事件で新たな証言:本当に「復讐劇」だったのか?
2009年11月08日付 Iran 紙
私が知る限り、モルタザーとその兄弟たちは様々な犯罪行為に手を染めていました。多くのケースで、兄弟たちは犯罪で協力し合っていました。
最近でも、今回の事件で最後の犠牲者となったハーシェム・カールギャルをはじめ、地元の住民は道に外れた行為はやめるよう、彼らに諭していました。けれども、残念なことにこうした忠告は効果がありませんでした。というのも、彼ら兄弟は違法な行為を働くことでどんな願いも叶えられると考えていたからです。
彼らは人さらいや窃盗など、数々の犯罪に手を染め、大金を手に入れていました。そのお金で、彼らは家や車、ケナーレ・タフテ郡やその他の町にある地所などを大量に取得・購入していました。彼らはこうした財産を手放すまいと、登記簿などを友人名義に付け替えたりしていました。こうした行為は、最初の犯罪が犯される85年〔2006年〕まで続けられていました。
容疑者は父親が殺されたことを理由に、最初の被害者〔=マーシャッラー〕を殺害したようですが、被害者家族から聞いたところでは、こうした理由はまったく不当だとのことです。というのも、これまでのところモルタザーの父親の遺体は見つかっておらず、彼が本当に殺されたのか、確たることはまったく言えないからです。
容疑者らの母親は、二番目の犠牲者となったハサンの死の数日前、ハサンに会いに行き、夫がかつて預けていた10頭の羊と武器1丁を返すよう要求しました。ところが、ハサンはそんなものは預かっていないと突っぱね、悪態をついたそうです。モルタザーとその兄弟たちがハサンに復讐しようと考えたのは、こうした背景があったからです。その後、モルタザーは夜中にハサンの自宅に行き、彼に銃弾を浴びせることになりました。
モルタザーはシェハーブとダーヴードが自分を殺そうとしているとの情報を、情報屋からの密告で知り、彼のことばを借りれば、先手を打つ形で彼らを殺し、遺体をチャーレ・キャフタリーと呼ばれる場所に埋めました。その後、ダーヴードの兄弟であるシャリーフのもとを訪れ、彼も殺しました。
シャリーフは時に悪事を働くことがあり、最近のケースでは3年間刑務所に入れられていました。刑期を終えて釈放されると、シャリーフは複数回にわたって、兄弟のダーヴードをどこに埋めたのか教えろと、モルタザーに迫ったようです。モルタザーは犯罪の露見を恐れて、シャリーフも銃殺してしまいました。
レザーはケナーレ・タフテ郡の周辺にある、ある村の住民でした。人々の話によれば、何年も前からモルタザーの家族はこの村に通い、同一家の息子の嫁にと、この村のとある娘さんのところに求婚に行っていたそうです。しかしこの村の名士だったレザーは、この娘の父親に、モルタザー一家とは付き合わない方がよいと忠告していました。
ところが娘さんの父親はたいそう単純な人で、モルタザーとその兄弟に、レザーの忠告を話してしまいました。こうしたことが、レザーに対する容疑者たちの深い恨みに繋がっていったのです。結局、レザーはある椰子園で、手榴弾を投げ込まれて殺されてしまいました。
ハーシェムも、地元の名士でした。いつもモルタザー一家に資金的な援助をしてきました。ところが残念なことに、モルタザーの母親はいつも「夫はハーシェムに殺されたのよ。自分の罪を覆い隠すために、私たちに資金援助なんかしているのよ」などと、大っぴらに触れ回っていました。こうしたことが、この母親の子供たちの心に復讐の種を蒔くことになったのです。
住民の話では、事件の前にも、モルタザーとその兄弟たちはハーシェムを強請ろうとしていたそうです。しかしそれがかなわなかったために、結局ハーシェムはモルタザーの手にかかって殺されてしまいました。
モルタザーは通っていた男子校で、成績はトップクラスのとても頭の良い子供でした。しかし大きくなるにつれて、怨嗟と憎しみの感情が彼の中で強くなっていきました。彼は退学すると、悪事に手を出すようになりました。彼は自分の目的を成し遂げるために、少なくとも30人もの情報屋・密告者を雇っていました。
こうしたことから、犯罪発生後、それがモルタザーとその兄弟の仕業であることを、住民だれもが分かっていました。しかし〔警察に密告すれば〕それがどんな結果を生むのか、怖くて誰も話せませんでした。司法当局の前ですら、〔真実を〕話そうとはしませんでした。
( 翻訳者:斉藤正道 )
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