トプカプ宮殿敷地内の軍施設立ち退き、依然実現せず
2009年11月28日付 Milliyet 紙


トプカプ宮殿敷地内にあった、一般の高校と病院は昨年一年の間に撤退した。(しかし)立ち退きが待たれている、軍の国内補給司令部により使用されている建物については、進展は見られていない。

トプカプ宮殿総敷地「救済」プロジェクトにより、博物館以外の目的及び他の団体によって使用されている宮殿付属の多くの建物が撤退させられた。しかし、軍の倉庫はまだ撤退していない・・・

「イスタンブル2010年欧州文化首都」プロジェクトの最も重要な柱のひとつであるトプカプ宮殿の修復工事が、昨年一年間で大部分終了したが、国防省国内補給司令部の使用している倉庫については、何も進歩が見られない。

トプカプ宮殿の750,000平方メートルの敷地内にあって異なる目的で使用されていた多くの建物は撤退した。ただし、衣類、ブーツ、毛布のようなものが置かれている倉庫については、未だ撤退されていない。「イスタンブル2010年欧州文化首都」計画実施協会前会長のヌーリー・チョラクオール氏は、ちょうど1年前に、トプカプ宮殿が修復工事の最中だと述べていた。チョラクオール氏は、宮殿敷地内の性病病院、印刷職業高校、テレコムのビル、それに国内補給司令部の倉庫の撤退が予定されていると言っていた。これらの撤退の後、当該の歴史的建造物は、本来の姿に近い形で保存されるみこみだった。

昨年一年の間に、ヨーロッパ最大の規模を誇る750,000平方メートルのトプカプ宮殿敷地内にあった印刷職業高校は撤退し、性病病院も保健省から返還された。

実施協会は、病院の撤退作業がまだ続いている中、テレコムのビルについても、その民営化後に申し合わせを行い、敷地内から立ち退かせた。しかし、撤退が待たれている国防省国内補給司令部が使用する建物については、何の進展も見られなかった。文化観光省のエルトゥールル・ギュナイ大臣はこれら建物に関する最近の発言の中で、国防省の態度を批判し、「これほど重要な場所にある歴史的な建物を、国内補給司令部のブーツや毛布の倉庫として使用するなどということは、どのような思考、理解、良識をもってしても説明できることではない」と述べた。

「2010年欧州文化首都」計画実行協会会長シェキブ・アヴダギチ氏も、以下のように話した。

「宮殿の本来の機能に反する要素を、ある明確な計画の下に排除することが、私たちの予定することです。宮殿の敷地内に残った建物に、果たすべき機能をどうやって果たさせるかについても、やはり戦略的な見通し計画にもとづき、関係各位の歩み寄りにより決めていきます。トプカプ宮殿に関するプロジェクトを、宮殿が博物館になって100年目に当たる2024年に完成させることを目的としています。これらの立ち退きにより、トプカプ宮殿は外的な要素を一掃することになります。遊歩道も利用も含め、トプカプ宮殿への入場者を、現在の訪問者数200万人よりさらにふやさなくてはいけませんし、建物の数もふやさないといけません。」
アヴダギチ氏は、倉庫がどうなるかについても、「国防省も、敷地が本来の姿に適した形で保護されることについて、協力をおしまないだろうと確信しています」と述べた。

■「一番の問題は造幣所」

トプカプ宮殿博物館長のイルベル・オルタイル氏は、明け渡された建物を、図書館、会議場、外から来る博物館関係者の宿舎、売り場、又は教育施設として使用する予定だと強調し、これらの建物には貴重な展示物は置かない予定だとのべた。オルタイル氏は発言の中で、造幣局に言及した。「最初に取り組むべき場所は、(トプカプ宮殿敷地内にある)造幣所です。造幣所には、さんざんな目にあいました。造幣所を14年間無駄に保持したのです。しかし、この建物は、実際には宮殿にとって本当に必要な場所です。工房兼展示場にする予定です。なぜなら場所も適当だからです。」

■「原則では理解し合えたが、進展はなかった」

2009年4月21日、文化観光省エルトゥールル・ギュナイ大臣は、「スルタンの城」として知られる、トプカプ宮殿、ギュルハーネ公園それにスィルケジ駅を含む旧市街の1地区で行われる取り組みについて、ミッリエト紙記者のオメル・エルビルに説明し、宮殿周辺の建物に関して以下のように発言していた。
「印刷所、高校、性病病院、旧ギュルハーネ病院、トルコ軍の所有する倉庫はトプカプ宮殿の新たな所有地となります。これらの建物は、倉庫及び展示場として使われます。印刷所の建物は空き家になりました。一部は美術工芸修復管理局として使われ、一部は皇帝の馬車が展示される予定です。」

ギュナイ大臣はミッリト紙に寄せたコメントの中で、印刷高校が今年末に撤退する予定であること、ギュルハーネ病院が飲食場所として又は、博物館倉庫として使われることを明言し、陸軍が所有している海側の倉庫についても言及し、参謀総長と会見をしたと述べていた。

ギュナイ大臣は、これらの建物が歴史的なものであること、宮殿全体にとって必要な規模の大きさの倉庫になることを強調し、これについては参謀総長も原則的に承諾したと語っていた。しかし、この7ヶ月間で、軍が使用する建物について、何も進歩は見られなかった。エルトゥールル・ギュナイ大臣はとうとう、11月19日にトプカプ宮殿で行われたある行事で、国防省国内補給司令部がトプカプ宮殿敷地内で歴史的な4つの建物を衣類、毛布などの倉庫として使っていることを明らかにし、「国防省に、この建物を譲るよう頼みました。これまで進歩が見られていないのは国防省だけです。これほど重要な場所にある歴史的な建物を国内補給司令部のブーツ、毛布などの倉庫として使うなど、どのような思考、理解、良識をもって説明できるのでしょうか?」と述べた。

ギュナイ大臣は、倉庫を接収することは決定ずみと言い、以下のように続けた。
「否定的な答えは受け入れられません。そうでなければ、歴史的な財産がなくなる危険性がありました。トプカプ宮殿所有の4つの歴史的建物があります。他の団体がこの建物を使用する権利はありません。国民教育省から学校を返還してもらいました。保健省からも病院を返還してもらいました。この4つの(国防省が使用する)倉庫を返還してもらえれば、トプカプ宮殿として安心できます。国内補給司令部の倉庫には衣類、下着、毛布のようなものがありますが、この倉庫を空にしますし、これを期限を設けて行います。」

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( 翻訳者:津久井優 )
( 記事ID:17966 )