映画「ムスタファ」への告訴、再審議へ
2009年12月16日付 Milliyet 紙

ドキュメンタリー映画「ムスタファ」が原因で、ジャン・デュンダル氏に関して不起訴処分が出されていた。しかし、スィンジャン第二重罪刑事裁判所によって、その決定は覆された。

アンカラ共和国検察局は、新聞記者のジャン・デュンダル氏に関して、ドキュメンタリー映画「ムスタファ」を理由に捜査を実施し、「不起訴」判断を下していた。しかし、この判断をスィンジャン第二重罪刑事裁判所が撤回した。

アンカラ共和国検察局は、裁判所の判決の無効を求めて、法務省に申請した。

「ムスタファ」はジャン・デュンダル氏がシナリオを書き、監督をしたドキュメンタリー映画であるが、この映画は第5651号法「反アタテュルクの形で働かれる罪に関する法律」と第4207号法「タバコ製品被害への阻止と管理に関する法」に違反しているとされた。その罪状の線でアンカラ共和国検察局は捜査を実施し、「訴追は不適切である」という判断を下した。この経緯が、スィンジャン第二重罪刑事裁判所の「不起訴」と関わる判決でも触れられた。

(スィンジャン第二重罪刑事裁判所の)判決では、アリ・ベルハム・シャフブダク氏がアンカラ共和国検察局の判断に異議を唱えていることが言及され、捜査ファイルが再審理のためスィンジャン共和国検察局に渡されたことが述べられた。

その判決文では,スィンジャン共和国検察局の意向についても言及している。つまり,アンカラ共和国検察局が、裁判所の判断に委ねられるべき犯罪の意図に関し独自の判断を下して、「訴追が不適切である」という判断を下したとし、その手法は(法的)手順と法律に反しており、不起訴判断に対する異議を承認する意向であることが述べられているのである。

また判決文では、次のように述べられている。アンカラ共和国検察局は当事件に関連して専門家に報告書を作成させ、その報告書は科学的性質を帯びていた。報告書では、容疑者がアタテュルクについて間違った、対立の意見を持ち、説明も不足していることが確定されていた。それに対し、容疑者の行動の位置づけと意図の判断という点で、また第5816号法の条文に則って裁判所よる法的判断を問うためにねつ造を理由に審理の必要があったが、(アンカラ共和国検察局が)「訴追が不適切である」とする判断を下し、そのことをスィンジャン第二重罪刑事裁判所は無根拠とし、異議申し立てを受け入れる理由とした。

上記理由により、アンカラ共和国検察局が「訴追が不適切である」として以前に判断を下したが、今回それを撤回する判決が出されたとされた。

アリ・ベルハム・シャフブダク氏は、判断の妥当性に関する告訴人であり、民主主義全体機構同盟綱領の総長でもあるが、「スィンジャン第二重罪刑事裁判所の判決がアタテュルク主義者としての彼自身をとても満足させている」と語った。

シャフブダク氏は、「一人の偉人を説明する時、あんなにも簡単な表現で世論に説明は出来ないということを、裁判所が出した判決によって立証してみせた。この訴訟は個人的なものではない。トルコ共和国の設立者ムスタファ・ケマル・アタテュルクへの攻撃を防ぐために大切だったのだ」と話した。

■判決無効を請求

アンカラ共和国検察局は、スィンジャン第二重罪刑事裁判所の判決無効を求めて、法務省に申請した。

申請書では、「アタテュルクの道徳的(側面の)人格を侮辱した罪は、(その問題の)捜査や訴追に関する不平を扱う罪状ではなく、国民の名のもとに起訴を必要とする罪状と関わるものである」と明らかにした。その上で、「「不起訴」判決には、この犯罪の被害を受けた人物及び関係者だけが異議を唱えることができ、当捜査で告発及び異議を唱えた人物は犯罪によって直接的な被害にあった訳ではなく、これに関連して下された判断に異議を唱える権利はない」とされた。

「アリ・ベルハム・シャフブダク氏は異議を唱えているが、彼は被害者ではない。その為、異議を唱える権利はなく、棄却判決が下される必要があったが、スィンジャン第二重罪刑事裁判所は彼の異議を認めたのだ」と明らかにした。

申請書では、裁判所の当判決が無効とされるよう請求された。

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( 翻訳者:智原幸穂 )
( 記事ID:18088 )