■ 大統領、テロ犯の特定に向け治安機関に指令
■ いまだテロへの関与を正式に認めた集団、現れず
■ イスラエルは昨年、モサドによるイラン核専門家暗殺計画を明らかにしていた
我が国の核の専門家で、テヘラン大学教授のマスウード・アリーモハンマディー博士が暗殺される事件が発生した。これを受け、今回のテロの全容解明に向け、特別チームが捜査に当たることが決まった。
マスウード・アリーモハンマディー博士は昨朝8時、テヘラン・ゲイタリーイェ地区にある自宅を出た際、バイクに仕掛けられていた爆弾が爆発し、暗殺された。テヘラン刑事検察庁長官代行によると、捜査の結果、この爆弾は遠隔操作によって、モハンマディー教授のかなり近くで爆発したことが分かったという。
故マスウード・アリーモハンマディー氏は、テヘラン大学物理学部の専任教授で、アカデミックな研究論文も数多く発表している。アリーモハンマディー氏はまた、86年〔2007/8年〕の国際ハーラズミー祭でノミネートされ、基礎研究の分野で2位を獲得している。同氏は大学・大学院で量子力学ならびに素粒子物理学を教えていた。
同氏は「場の理論」や素粒子の分野で多くの論文を残している。同氏の専門は素粒子で、76年から80年〔1997~2001年〕にかけて、素粒子研究所の活動にも関わっていた。
テロ犯は誰か?
テロ発生後の最初の数時間、一部の非公式ニュースサイトは「
イラン王制協会」と呼ばれる集団が今回のテロに関わっていたと報じた。しかしその後、これまでイラン国内でのテロ行為に複数回にわたり関与してきた同集団は、今回のテヘラン大学教授テロ事件への関与を否定する声明を出した。
また一部の通信社は、アリーモハンマディー博士がイランの核の専門家であったとし、モサドや西側スパイ機関のテロ分子が今回の事件に関わった可能性を指摘、しばらく前、イラン核専門家の暗殺がモサドの任務の一つに加えられていることを、シオニスト体制が公表した事実に触れた。
今回のテロ事件の犯人をめぐり、こうしたメディアによる憶測が続く中、昨日夕方、内務省国会対策次官は「今回の事件の動機はいまだ不明」としながらも、「個人的な恨みが動機であった可能性」も排除できないとの見方を示した。
モハンマディー=ファルド次官はまた、今回の爆破事件がテロリストによるものであった可能性について、治安部隊が捜査を開始したとも述べた。
テロ犯をめぐる公式な発表がいまだない中、関係者や専門家らによる憶測が続いた。テヘラン州知事治安担当代行のセフル・アリー・ベラートルー氏は、今回のテロに偽善者集団〔=MKOのこと〕が関わっていた可能性も「一つの可能性」としてあるとしながらも、「現在、確定的なことは何もない。今回の問題について、さらなる調査が行われているところだ」と述べた。
テヘラン検事長も爆破事件の発生から数時間後、「これまで、本件の容疑者はだれも捕まっていない」と語った。
テロ事件の反響
テヘラン大学物理学教授テロ事件を受け、各機関はそれぞれ声明を発表した。イラン原子力庁報道官や外務省報道官、被抑圧者動員(バスィージ)機構などの各機関はアリーモハンマディー博士の経歴に触れながら、今回の事件を非難した。
バスィージの声明には、次のようにある。「革命防衛隊イマーム・ホセイン大学やマーリク・アシュタル〔工科大学〕、テヘラン大学の優れた教授であった殉教者アリーモハンマディーは、科学技術〔の進歩〕のために長年にわたって努力を重ねた末、世界抑圧体制の手先によって殉教を遂げた」。
大統領、テロ犯の特定に向け諜報機関に指令
内閣は声明を発表し、その中でマスウード・アリーモハンマディー氏の殉教という結果を生んだ今回のテロ行為を非難した。
大統領府広報部の発表によると、政府は今回の野蛮な犯罪を強く非難、親愛なるテヘラン大学教授の殉教について、悲しみに暮れる遺族や学界に向けてお悔やみのことばを表明した。その上で政府は、大統領の指令に従い、今回の犯行の犯人を特定・逮捕し、彼らを支える外国の支援者たちを世界中の公衆の前に晒すべく、諜報・治安機関があらゆる手だてを尽くして大がかりな捜査を行っているところであることを明らかにした。
訳注:2010年1月13日付マルドムサーラーリー紙の報道によると、メフマーンパラスト外務省報道官は、モハンマディー氏暗殺は「アメリカに雇われたシオニスト分子」によって実行されたものであると述べた。他方、イラン原子力庁報道官は、モハンマディー氏とイラン原子力庁との間で雇用関係があったとの噂を強く否定し、イラン核開発に同氏は関与していなかったとの見方を示した。
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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:18258 )