コラム:ビン・ラーディンの最新メッセージについて
2010年01月25日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ 「ウサーマとオバマ」対決は続く
■ クドゥスの見方
2010年01月25日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPコラム面
昨日公表されたシェイク・ウサーマ・ビン・ラーディンの最新音声テープは、ナイジェリア人学生ウマル・アル=ファールーク・アブドゥルムッタリブによる米機爆破未遂について述べており、内容と共にそのタイミングに多大な関心が寄せられている。
第一に、「ウサーマからオバマへ」との表題であるが、発話者(ウサーマ)と相手(オバマ)が同等であるという印象を与えるこのような表現で、アル=カーイダが米大統領に直接呼び掛けるのは初めてである。
第二として、デルタ航空機爆破についてアル=カーイダの関与が明言された。彼らがこのナイジェリア人学生をリクルートしこのミッションのために訓練したということは、将来、欧米人一般は同様の、否より危険な作戦にさらされる可能性があるということだ。アル=カーイダ首領は述べる。「パレスチナで我々が安全を得るまで、米国人にも、それ(安全)は供給されないだろう。」
第三点として、米機に対する攻撃作戦が、イスラエルとエジプト政府による封鎖のため恥ずべき事態に陥っているガザとリンクさせられている。このことは、イスラエルによる封鎖故にアラブ全体で生じている巨大なフラストレーションを活用しようとするアル=カーイダの意図を示している。ロケット弾発射が半永久的に止んだかに見えるガザでは、イデオロギーと戦闘様式の点でアル=カーイダに近いジハード系組織が力を伸ばしている。
最後に、テープがメディアに渡されたタイミングは、その他の進展に合わせ細かく計算されている。まず、アラブ・イスラエル闘争調停につき、米特使ミッチェル上院議員は膠着した現状を打開することに失敗した。一方、ロンドン会議の期日が迫っている。イエメン(1月28日)とアフガニスタン(1月29日)につき、如何にしてアル=カーイダ並びにターリバーンに対処するかを検討する会議である。
ロンドンの二つの会議には、英国とイエメンから首相が、その他のアラブ並びに外国からは外相たちが出席する。クリントン米国務長官、ミルバンド英外相、アブルゲイト・エジプト外相、サウード・アル=ファイサル・サウジ外相といった人々である。彼らに対し、アル=カーイダ首領はアピールしようとしている。911以来9年間、同様の会議は多数行われたが、アル=カーイダは依然として勢力の絶頂にあり世界各地、特に欧米で、恐怖と混乱をもたらす大きな事件を起こすことが可能であると。つまり、アル=カーイダとその首領は、何十億も費やした欧米の厳重な治安措置に対抗する大規模作戦を実施する「能力と意思」を有していることを明白にしている。
しかし、考察すべきより重要な点は、欧米とアラブのメディアを共に席巻するアル=カーイダとその首領の能力であろう。デトロイト上空での米デルタ社系列航空機爆破未遂に始まったクリスマス休暇からシェイク・ビン・ラーディンの最新テープ公表に至るまで、アル=カーイダの名とその首領の写真はメジャー紙の第一面、ニュース番組のトップに現れてきた。これは広報的に大きな成功と言える。この広報的効果が、過激なテロ組織にとっては活性剤となるのである。一方オバマは、カイロ演説の内容を実現し得なかったため、米国内と同様イスラム世界でも急速に支持率を下げ、イラクとアフガニスタンで敗北を続けている。そのような時期にあるオバマという標的に向かって、アル=カーイダ首領は矢を射たのである。
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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:18334 )