サウジアラビアの人権委員会、12歳少女と80歳の夫の離婚を要求
2010年02月09日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ サウジアラビアの人権委員会、12歳少女の80歳男性からの離婚を要求

2010年02月09日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ジッダ:アスマー・シャリーフ】

 スルターン・ビン・ザーヒム弁護士は、12歳の少女を80歳の夫から離婚させる業務をサウジアラビア人権委員会に依頼されたと語った。活動家たちはこれが子どもの結婚禁止への一歩となるよう期待している。

 サウジアラビアには結婚最低年齢の制限はなく、父親が後見人として娘の結婚相手や結婚時期を決定する権利を持っている。

 ビン・ザーヒム弁護士によると、この少女はリヤド近郊の保守的な町ブライダの出身で、昨年末、年老いた父親のいとこと結婚した。父親のいとこが支払った婚資(マフル)の額は8万5000リヤル(2万2670ドル)。

 活動家たちは、世界最大の石油生産国でありながら最も貧しい部族地域で子どもの結婚が盛んなサウジアラビアにおいて、この少女の離婚が結婚最低年齢制定への道筋をつける試みになるのでは、と見ている。

 弁護士によれば、少女の母親が以前、娘に代わって離婚訴訟を起こしたが、今月上旬に行われた二度目の口頭弁論 のあと、理由を述べることなく訴えを取り下げていた。そこで政府所属の人権委員会がこの訴訟をひきつぎ、再度少女に代わって離婚請求の訴訟を起こしたのだ。

 ビン・ザーヒム弁護士は、「人権委員会は私に、公権[基本的人権]に関わるケースとしてこの訴訟を審議するよう依頼した。母親が訴訟を取り下げても公権は失効しない」と述べた。

 これはサウジアラビアで人権委員会が少女の結婚に関わる 訴訟に介入する初めてのケースである。というのは、このような訴訟はかつては「家庭内の問題」とみなされ、人権委員会の管轄外とされていたからだ。

 サウジアラビアは、18歳以下の者 を子どもとみなす、子どもの権利条約に調印している。

 サウジアラビアの人権活動家であるワジーハ・フワイダル氏は、「この訴訟は、法律制定のための投資にあたる。我々は世論に影響を与える必要があり、サウジは近いうちに子どもの結婚を禁止する法律を制定するだろうと考えている」と語った。

 サウジアラビア諮問評議会のズヘイル・ハーリスィー議員は、「政府委員会が、一定年齢以下での結婚を禁止する草案を検討している」と言うが、人権擁護者たちは法の制定までに時間がかかることを懸念している。国民 人権協会のムフリフ・カフターニー議長は、「法の制定までには時間がかかるだろう。なぜなら、社会的、宗教的、文化的要因があるからだ」と言う。

 さらにハールスィー議員は、「この問題を早急に解決するには、政府が結婚公証人(マアズーン)に対して、18歳以下の少女の婚姻契約を禁止させることだ。これは法的ではなく行政レベルでの介入になる」と続けた。

 ビン・ザーヒム弁護士は、この訴訟を審議している裁判官は近いうちに判決を出すだろうと述べ、「数日のうちに裁判官は、結婚に同意していないという弁護側の主張を受け入れて、婚姻を無効とすると期待している。さもなければ我々は上級審に上告することになるだろう」と語った。(ロイター)

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( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:18536 )