リヴァネリ監督「別離」に歴史家から批判の声
2010年03月03日付 Hurriyet 紙

以前ジャン・デュンダル氏の(ドキュメンタリー映画)「ムスタファ」はそれ自身が原因で、トルコで騒動を引き起こした。さらにこの映画をきっかけに、デュンダル氏が「アタテュルクの品格を下げた」とまで言われている。現在もズルフュ・リヴァネリ氏が脚本を書きメガホンをとった「別離」という映画が話題となっている。映画評論家も歴史家も「別離」について議論を始めた。雑誌『NTV歴史』からアフメト・クヤシュ氏、ネジデト・サカオール氏、デルヤ・トゥルガ氏が映画「別離」を見に行き、映画での間違いを雑誌の3月号に書いた。

アフメト・クヤシュ氏、ネジデト・サカオール氏、デルヤ・トゥルガ氏が確認した間違いは、「その歴史は真実に別れを告げている」というタイトルで、『NTV歴史』で発表された。記事によると、信心深い女性であるズベイデ・ハヌムが外を、スカーフを被らないで歩くことはありえない。これと似たようなことがフィキリイェ・ハヌムのスカーフについても言及されており、次のように述べられている。「ムスタファ・ケマルが、独身の友人らと共に家で食事をしようとしている時、フィキリイェ・ハヌムにスカーフをとるよう求めることや、その後ラクを飲もうと誘い、互いに一緒にラクを飲むことは、シナリオの自由である。しかしその時代にこのようなことは不可能である」

フィキリイェ・ハヌムのシーンに関してはその他の批判もあり、1923年にドイツへ行くときに乗った車のナンバープレートがラテン文字で書かれていたことだ。周知の通り、ラテン文字は1928年に採用された。

■銃剣では戦わなかった

歴史家によると、ムスタファ・ケマルに死刑が求刑されるシーンにも、事実に反する点がある。なぜならムスタファ・ケマルと共に5人に死刑が求刑されたにも関わらず、映画ではムスタファ・ケマルだけが求刑されたように描かれているからだ。ムスタファ・ケマルの辞任後、彼を訪問したキャーズム・カラベキルは「カフカス軍団司令官」として言及されている。しかしその時キャーズム・カラベキルは第15軍団司令官であった。

3人の歴史家によると、最も深刻な間違いはジョンクバユルのシーンにあった。とりわけムスタファ・ケマルが銃剣での攻撃に、最前線で参加したり、銃をとり敵兵を撃つのは不可能だ。

その理由とは?雑誌から抜粋する。「軍司令官ムスタファ・ケマルは1915年8月10日朝に実行した攻撃で、ジョンクバユルのすぐ東にあるボユンという地点のキョルデレ側にある遮蔽された塹壕にいた。彼自身がアルブルヌ報告書で明らかにしたように、攻撃の指示を出していたのだ。強大なアナファルタラル軍の司令官が、奇襲攻撃で最前線前線に置かれるというのも失礼なことだ。さらには有名な「榴散弾事件」も、ムスタファ・ケマルが同じ塹壕にいるときに起こった。ムスタファ・ケマルの胸を狙った破片は、時計に命中し彼を守った。この時計は、事件をドラマチックにしたいと思っている人々により、その後左側に、心臓の上に置かれたのだ。

■リヴァネリ氏から謝罪と感謝の言葉

ズルフュ・リヴァネリ氏は、多くの歴史家が描く半世紀をまとめたこの映画で、間違いがこれだけで済んだことをうれしく思うと述べ感謝し、批評家らに次のように答えた。
「確かにズベイデ・ハヌムはズベイデ・モッラと呼ばれており、過剰なまでに狂信的な女性であること、スカーフを被らないで外に出ることはなかったということを我々も知っています。しかし家の中でスカーフを被らないでいたこと、ブロンドのとても美しい女性で会ったことも知っています。映画では、ズベイデ・ハヌムは家ではスカーフを被らないで、外では被っているという風に描かれています。ファラカ(足裏を打つ拷問)がこのように行われなかったこと、2人が援助したことをもちろん知っています。しかし映画として裏側から描くことを選んだのです。
サムスンからエルズルムへ至る路上にいた村人もまた象徴として、アナトリアの人々が戦争で疲弊したことを強調するために使われたのです。正しいやりとりは「敵は近いうちに畑までやって来る」としなければなりませんでした。すみません。フィキリイェがスカーフを脱ぐという問題も完全に象徴的なものです。最終的にケマル・パシャは女性がスカーフを外すことを激励しなかったでしょうか、いやしました。この状況を映画的にこのように説明することを選びました。自動車のナンバープレートはラテン文字にすべきではなかったかもしれません。映画の美術班もこのことを解決することはできませんでした。申し訳ありません。軍隊がカフカス軍と呼ばれていたことは多くの資料で読みました。必要であればこれらを見つけて送りましょう」

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( 翻訳者:釘田遼香 )
( 記事ID:18598 )