ハマース幹部暗殺で使われたドイツ・パスポートは本物、ハマース内部から情報が漏えいした疑惑も
2010年02月22日付 al-Quds al-Arabi 紙
■独デア・シュピーゲル紙:「使用されたドイツのパスポートは本物」
■ネタニヤフ首相がモサドの部隊と会い、マブフーフ暗殺の決定に署名
■ドバイ当局、ハマース幹部のひとりが暗殺に関与したと明言、ハマースはこれを否定
2010年02月22日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ドバイ、ロンドン、ベルリン:本紙記者】
先月発生したハマース幹部のマフムード・アル=マブフーフ暗殺事件について、昨日も各方面からの情報が飛び交った。ドバイ警察のダーヒー・ハルファーン署長 はドバイでのマブフーフ暗殺に関与した者のうち数人は外交官パスポートを使用していたと述べ、一方で英紙は暗殺計画の実行を前に暗殺者たちがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と面会していた事を明らかにした。
ハルファーン署長は日曜に発表された声明で、マブフーフ殺害の容疑者グループのメンバーが所有するパスポートの発行国との連携に最大限の力を注いでいる事を明らかにした。またハルファーン署長は同声明で、「ドバイ警察としてはまだ公表したくない情報がある。特に、数人の暗殺犯がドバイ入国の際に使用した外交官パスポートに関する情報だ」と述べた。
ハルファーン署長はこれについてさらなる詳細には言及しなかったものの、「ドバイでマフムード・アル=マブフーフを暗殺した犯人のうち数名は、約1年も前に、今回の入国に使われたパスポートと同じパスポートでドバイに入国していた」と話した。
ハルファーン署長はこれ以前に、「マブフーフの移動とドバイ到着の日程に関する情報は、マブフーフに極めて近い、狭い範囲内にいる人物から暗殺グループへと伝えられた」と明言していた。署長はこの人物を暗殺の決め手となった存在と見て、マブフーフの移動に関するこれ程まで正確な情報を暗殺グループに流した人物に関して、内部調査を行うよう、ハマースに求めていた。
これに対しハマースは日曜、ドバイ警察署長の声明に述べられた組織内部から治安情報が漏洩したとの疑惑は受け入れがたいと発表しつつ、捜査の進展におけるハマースとドバイ警察間の協力関係の有効性を強調した。ハマースの幹部は声明で次のように述べている。「我々はドバイ警察署長が声明中で伝えた疑惑を受け入れない。モサドとその手先が殉教した同胞とパレスチナの指導者らへの追跡を行っていることは、一般的に漏洩と見なされないと断言できる」。
一方、月曜発行のドイツのデア・シュピーゲル誌は、マブフーフ暗殺にグループが使用したドイツのパスポートは、イスラエルのパスポートを所持していた人物に渡された合法文書であったと報じた。同誌によると、このパスポートは2009年6月18日にケルンでミハエル・ブドゥンハイミルという男性に発行された。男性は2008年末に発行されたイスラエルのパスポートを提出し、ケルンに在住していることを確認したうえで、ナチス時代に迫害された両親の婚姻証明書を提出し、ドイツのパスポートを取得した。同誌によると、ケルン検察は身分詐称の可能性を考慮に入れ、捜査を命じたという。
日曜日にUAEの外務省はEU諸国の大使を招集し、マブフーフ暗殺を受けて、ヨーロッパ人がビザなしで入国できる特権を悪用することへの懸念を表明した。
一方、英国のサンデー・タイムズ紙は日曜、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がマブフーフを暗殺したグループのメンバーと、作戦実行のためドバイに向かう直前、モサド本部で面会していたと報じた。同紙は、モサド事情に詳しい匿名の関係者筋から得た情報として、モサドのメイル・ダガン長官が本部にネタニヤフ首相を迎え、マブフーフ暗殺計画について知らせたと伝えている。同紙はイスラエル首相が「危険とも複雑とも思われないこの任務 」を承認したと指摘した。さらに同紙 は以下のように報じている。「このような状況において首相は大抵こう言うものだ。『イスラエル国民は君たちを信頼している。幸運を祈る』」。
(後略)
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( 翻訳者:川上誠一 )
( 記事ID:18615 )