「呪いを解く鍵」のお値段、なんと600万トマーン:女詐欺占い師、現在逃亡中
2010年04月04日付 Jam-e Jam 紙
家庭の問題を解決すると謳って、《幸運の処方箋》を書き、テヘラン市民に詐欺行為を働いていた女占い師が、警察の捜索を受けている。
《ジャーメ・ジャム》紙の報告によると、しばらく前のこと、ある男性が、テヘラン在住の女性にプロポーズをしようと、彼女とその家族に会いに行った。初めての面会が終わり、女性の家族はこの若い男性の身辺調査を経てから結論を出すということになった。
こうして、花嫁側の家族は、求婚してきた青年が花婿として適切な人物かどうかを明らかにするための調査を始めた。するとその一ヵ月後、その若い男性は麻薬常習者で、前科もあるということが判明した。この事実を突き止めた女性の家族は、再び彼と面会した際、結婚は難しいとの答えを彼に告げ、これ以上娘に付きまとわぬよう要求した。
しかしその青年は、女性との結婚が許されるまでちょっかいをやめないと脅し始めた。そんな折、昨年のオルディーベヘシュト月初旬〔西暦2009年4月下旬〕のこと、当の若い女性が、テヘランのとあるショッピングセンターで買い物をしていると、女性や若い娘たちにカードを配りながら、《幸運の処方箋》を書くことができる、身の回りの迷惑者を追い払うことも得意であると吹聴する、ある女(33歳)の存在を知ったのであった。
若い女性、女占い師の罠に
若い女性は女占い師の名刺を見て、しつこく求婚してくる男性を追い払うための《処方箋》を書いてもらうために、その占い師のところに行ってみることにした。こうして彼女は占い師のもとを訪れ、面会の約束を取りつけた。そして家族の同意を得た上で、家族と一緒に女占い師の自宅を訪ねることになった。
後日その女性は父親と共に、テヘラン西部の団地にある、占い師の自宅へと向かった。そこには他にも多くの男女が順番待ちをしており、1時間ほど自分の番を待つことになったのであった。
「呪いを解く鍵」に600万トマーン〔約60万円〕
彼女は自分の問題を打ち明け、また5年もの間、郊外にある家族所有の土地を売ることが出来ずに困っているという父親の悩みも相談した上で、占い師に助けを求めた。
占い師の女は、彼らの訴えを聞くと、「あなた方2人には呪いがかけられている。私はその呪いを解くための鍵を持っているが、それを買うには600万トマーン〔約60万円〕を支払ってもらわなければならない」などと述べた。これを聞いた父娘は、問題から解放されたい一心で、占い師の要求する金額を支払うことを決意する。
こうして二人は、後日前金として300万トマーン〔約30万円〕を持参し、占い師の家を訪れた。金額を受け取った占い師は父親に、ティール月6日〔西暦6月27日〕に、幸運と厄除けをこめた《処方箋》5通を受け取りに来るようにいい、二人はそれに同意した。
ティール月、父娘は占い師の家を訪ね、残りの240万トマーン〔約24万円〕を支払った。7ヵ月後、厄払いの《処方箋》を使い切った後に再び占い師のもとを訪れ、残金を支払って、最後の《処方箋》を受け取るという約束だった。
父娘は処方箋を受け取ると、女占い師の指示に従って、そのうちの1通を中庭で燃やし、また別の1通を水で溶かして、それらを売却の進んでいない土地の周辺にばら撒いた。そして残りは身につけて保管し、呪いが解けるのを待った。
ところが占い師の言ったとおりのことを実行してからも、彼らの生活状況は悪くなる一方であった。しかし占い師との約束では、〔効果が現れるまで〕7ヶ月間じっと待たねばならず、そうしなければ〔祈祷が〕書かれた《処方箋》は、問題を解決する効力を発揮しないというのであった。
こうして7ヶ月間待ち続けた。しかしそれが過ぎても、彼らの問題は一向に解決しなかった。そこで、父娘は女占い師の家へと向かった。ところがそこで二人が目にしたのは、占い師の自宅前に集まり、詐欺行為を訴える多くの人々の姿であった。しかし当の女占い師は、自らの家族と共に、すでに行方をくらましていたのであった。
この父娘をはじめ、被害者らがテヘラン第五地区検察庁捜査六課に訴えを起こしたことを受け、司法による事件の捜査が決まった。すでに、女占い師と共犯者の逮捕に向けた警察による捜索が開始されている。
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( 翻訳者:水谷陣也 )
( 記事ID:18850 )