バクー・ジェイハン原油パイプライン、フル稼働に達せず損害
2010年04月14日付 Zaman 紙

世紀のプロジェクトと銘打たれたバクー―トビリシ・ジェイハン(BTC)原油パイプラインの主要運営企業であるBTC社とトルコ側の操業を行うBIL社(ボタシュ・インターナショナル株式会社)間でおこった訴訟問題の原因が明らかとなった。

 昨年国際刑事裁判所へと告訴を行ったBIL社は、訴状において「BTC社がパイプラインの操業に失敗し、それにより2008年末以来2億800万ドルの損害を与えた」との理由を提示した。BIL社は、BTC社が損害を補償するよう要求している。

 エネルギー省から得られた情報によると、損害は年末以来3億ドルを超える見込みだ。パイプラインにおけるトルコの収支報告をラインの最大稼働能力に基づき行ったとする関係者は、「しかし、ラインが最大能力まで稼働されなかったり、契約変更(燃料の石油から天然ガスへの移行)で、BIL社が損害を被った。損害は継続して大きくなっている」との情報を提供した。首相府高等監査委員会が作成した報告でも、パイプラインの稼働において条件が現在のまま進めば、トルコが2012年以降パイプラインから完全に損害を受け始めるだろうと強調した。

 ラインが最大稼働能力で稼働すればトルコは年間に1億7000万ドルのパイプライン通過料を得るはずである。しかしラインは2007年に57パーセント、2008年に67パーセント、昨年には79パーセントの稼働率でしか稼働しなかった。トルコは3年間低い稼働率でのライン稼働により、得るべき金額は1億6500万ドルとなった。国際契約に定められた「Take Put」条項がBTC契約では定められなかったことで、トルコは損失を受け、そのため共同運営企業との問題を抱えることになった。2006年に調印された契約の初期の内容では、ラインにそって設置された圧縮ステーションにおいて、燃料として石油が使用される決定がなされた。パイプラインにおいて使用される石油価格は1バレル当たり最高18ドルに制限されるだろうと予定されていた。しかし建設の際ボタシュ社が承認して、燃料として天然ガスへ移行されることが計画された。天然ガスの価格に関してはいかなる制限も加えられなかった。2007年以降ガスや石油価格の高騰がボタシュ社の操業費を増加させた。昨年燃料費は当初1000万ドルであったが、結局ボタシュ社は3200万ドルを支出した。燃料としての天然ガスの使用により、トルコのコストは3年半で7000万ドルとなった。BIL社は、調停へと提出した訴状において、この点を問題とした。訴状において、「我々は契約変更のため、燃料に法外な料金を支払わざるを得なくなった。今日まで我々はこの過失の代償を多く支払ってきた。契約条項は訂正されるべきである」という要求を述べた。BTCパイプラインは2006年7月にジェイハンにおいて一隻目のタンカーの積荷が行われ、正式に操業が開始された。プロジェクトの建設と操業活動のためBTC社が設立される一方、ラインのトルコ国内部分の操業はボタシュ社の子会社BIL社に委ねられた。

 全長1768キロメートルで、1072キロメートルがトルコを通過するラインの通過税、そして操業の見返りとして、稼働能力に基づき、1―16年目には年間約1億4000万~2億ドル、17-40年目には約2億~3億ドルの収入が問題となっている。さらに、プロジェクトの共同操業者であるTPAO社も生産活動から収入を得ている。

■密輸を防ぐため燃料タンカーが衛星から追跡される予定
 政府は、「違法経済活動との闘争計画」の枠組みにおいて、燃料密輸を防ぐ新対策を適用する。エネルギー市場調整機構(EPDK)と国税局の協力により、燃料を輸送するタンカーに1つずつチップが設置され、船舶が(GPS、GPRSなど)インターネット衛星から追跡されることが可能となる。新システムによりタンカーが燃料を積み、下ろした地点が即座に追跡される。新対策の枠組みにおいてさらに、7月1日以降燃料業界で流通業者管理システムが適用されるようになる。また燃料ステーションでの燃料売買の状況を即座に把握するため、自動操作システムが用いられる予定だ。システムにより、ポンプにより売られる燃料は即時に把握され、燃料を購入せずに領収書が発行されたり、少量の燃料に対して多額の領収書を得るという違法行為が防がれる。エネルギー高等委員会と国税局は流通業者管理システムを、年末までに、領収書と請求書の流れとともに金銭の流れをも追跡する形で、拡大することを計画している。このため、必要なシステムの基礎は2つの組織により作り上げられる。システムによりこの業界の全ての金銭の動きが銀行を通して確実に行われるようになる。

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( 翻訳者:岩根匡宏 )
( 記事ID:18884 )