「1億5千万もの人口について語る代わりに失業問題を解決せよ」:大統領発言に対する有識者たちの反応(下)
2010年04月15日付 Mardomsalari 紙
大統領は、「『子供は二人で十分』とのスローガンを受け入れることはできない」とした上で、「私は『子供は二人で十分』という考えには反対である。これには科学的な根拠もある。いまや、一家族あたりの子供の数の平均が2人を下回るようになっている。これは、西洋諸国が採用した誤った政策でしかない。彼らはいまや、自らの文化とアイデンティティを守るために、多額の補助金を支払っている。そうである以上、なぜわれわれが〔西洋の歩んだのと同じ〕この道を踏襲しなければならないのか」と述べた。
大統領は、「国民とは自らの存在の持続が重要なのであり、途中で途切れてしまってはならないものだ」と強調した上で、次のように語った。「なかには、われわれ〔=政府〕が国民の生活の糧を〔人々に〕提供してやらねばならない、などと考える者もいる。確かにわれわれには、国を運営する義務があり、衛生や教育の確保に努力しなければならないのは事実であるが、しかしこのような考え方は大きな間違いである」。
同氏は、「貧困を理由に子供を殺してはならない」とする預言者の伝承に言及した上で、このこと〔=人口抑制策〕についてウラマー(宗教学者)たちが沈黙していることを批判し、「なぜウラマーたちはこのことについて沈黙しているのか、私はとても驚いている」と述べ、さらに次のように続けた。「彼らがわれわれに示しているのは、一体全体どのような生活なのだろうか?われわれも追随している人口抑制策によって、西洋諸国が幸せになったとでも言うのか?」
大統領はさらに、「私たちの父親には、子供が5〜6人いたものだ。貧困も広く存在した。しかし、それは〔外国によって〕強要されたものであった。これに対し、われわれは今〔パフラヴィー体制の時代とは対称的に〕独立している。1359年〔西暦1980年〕の時と比べて、人口はいまや2倍になった。にもかかわらず、われわれの置かれている状況は、当時よりもはるかに良くなっているではないか」と続けた。
アフマディーネジャード大統領のこうした発言は、さまざまな反響を引き起こしている。改革派政権〔=ハータミー政権〕の時代に保健相を務めたマスウード・ペゼシュキヤーン博士は、次のように指摘している。「国会は可及的速やかに、人口増加についてアフマディーネジャードが提起した議論、及びこの件に関して彼が発表した奨励策について、検討を始めるべきだ。そうしなければ、このような誤った決定を阻止するのに、手遅れとなる可能性がある」。
同氏はあるインタビューのなかで、大統領の人口増加論と、それとの関連で発表された奨励策について、「アフマディーネジャードのこうした発言は、科学的なものとはとても言えない」と論じた。
「これほど多くの失業中の若者を国内に抱え、教育や衛生に関わる諸問題が山積しているような時に、どうして人口の増加について考えることなどできるのだろうか」。
国会の〔少数派・改革派の党派である〕「イマーム路線派」に属する同氏はこのように述べ、さらに「政府は、社会にかなりの割合で存在する失業者たちの問題を、まずは解決すべきだ〔‥‥〕」と強調した。
ペゼシュキヤーン氏はその上で、「国会はこの問題の検討を始めるべきだ。人口増加と、それをめぐる〔アフマディーネジャード政権の〕非科学的な政策に遭遇するようなことのないよう、可能な限り〔五カ年?〕計画法を改正すべきだ」と述べた。
国会の保健医療委員会の委員でもある同氏は、その上で「国会は手遅れになる前に、対策を考えるべきだ」と指摘した。
また、イラン家庭に少子化を奨励する政府の政策に対して、ウラマーたちが沈黙していることは驚くべきことだとした、大統領のイラン国営放送での発言に対して、国会の「宗教指導者派」に属するある議員は、「アフマディーネジャード氏はウラマーの後見人ではない。こうした問題について、マルジャ〔=シーア派の宗教的権威〕たちに指図する資格は、彼にはない」と述べている。
〔後略〕
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:18933 )