コプト正教会、人事を巡る不和が原因で中東教会評議会から脱退へ
2010年05月11日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ シュヌーダ総主教、エルサレム総主教がコプト正教会の「背任」を非難したことを受けて、中東教会評議会から脱退へ

2010年05月11日付『クドゥス・アラビー』(イギリス)HP1面

【カイロ:本紙:フサーム・アブーターリブ】

 昨日カイロ中心部に位置する大聖堂[=コプト正教会の総主教座]から、アレキサンドリア主教ならびに聖マルコ大主教管区総主教であるシュヌーダ三世総主教[=エジプトのコプト正教会のトップ]が中東教会評議会(Middle East Council of Churches)から脱退するというニュースがもたらされ、コプト教徒たちに衝撃を与えた。その原因は、4月19日にヨルダンで開かれた会議において、正教会のエルサレム総主教がコプト正教会の「背任」を非難したことにあった。[訳注:この会議でセオフィロス3世・エルサレム総主教は、コプト教会から選出された評議会の現事務局長、ギルギス氏の働きぶりが評議会のためになっていないとの考えから同氏の辞任を要求したが、コプト側はこれを拒否した。]

 教会の情報筋によれば、シュヌーダ総主教はビショイ主教その他の顧問たちにエルサレム総主教への反論を認めず、同様に一部の総主教や宗派の長たちによる2週間に及ぶ仲裁も拒絶し、評議会からの脱退を決意するにいたったという。

 また、レバノンの司祭数名がカイロを訪れ、関係断絶を撤回し再び評議会と協力するよう、シュヌーダ総主教の説得に当たる決意だとの報道も伝えられている。

 同じ情報筋はこう語る。「中東教会評議会は、その他の世界エキュメニカル評議会の中にあって、中東地域のキリスト教徒の状況を代弁する存在であり、彼らの代表団が嘆願のため訪れる先でもあった。コプト正教会とその主教たち、中でも教会の社会的活動の発展に重要な役割を果たした奉仕活動担当の主教たちには、数百万ドルという膨大な資金が流れ込んでいた」。

 また、ショブラ・ヘイマ地区のある教会の高位の司祭は、「30年以上の間、中東の諸教会が出会い、高位聖職者たちが交流し、中東のキリスト教徒たちが抱える諸問題について意見交換する広範な場であった中東教会評議会の内部崩壊の情報が、ここ二カ月、一部の聖職者たちの耳に届いていた」と述べた。

 これについて別の教会指導者はこう語った。「エジプトのコプト正教会に初めて評議会の事務局長の地位が回ってきて、シュヌーダ総主教にもビショイ主教にも極めて近い立場にあるギルギス・サーリフがその地位に就いたことで、評議会の組織にほころびが生じ、その活動や職員にも影響が出始めた。コプト以外の諸教会は評議会の沈没を回避する努力を尽くしたのだが、それらの努力は常に、多面的に物事を見ることができず、個人的利益しか考えない、進歩のないメンタリティと衝突した。教会指導者の中には、ギルギス事務局長の運営が続く場合への懸念を口にする者もいたが、それも功を奏せず、行きつく先は誰の目にも明らかだった」。

 またこの情報筋によると、信仰の問題においてもコプト教会と他の教会との関係は悪く、他の教会同士の関係も悪かったという。

 これに関して数名の修道士は今回のシュヌーダ総主教の決定を歓迎し、「これは何の罪もないのに『背任』の非難を受けたコプト正教会にとっての報復だ」との認識を示した。

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( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:19130 )