G15テヘラン会議に視線集中:ブラジル大統領、燃料交換をめぐりイラン当局と協議へ
2010年05月16日付 Jam-e Jam 紙

【アッバース・モハンマドネジャード:外交部主筆】G15メンバー各国の首脳が参加する月曜日の会議を前に、各国の外相は昨日、首脳会議の公式声明文の準備・決定を目的に、イラン外務省の政治国際問題研究所で一堂に会した。しかしながら、世界中の注目をこの会議にひきつけているものは、首脳会議の内容だけでなく、むしろそれとは別に行われる個別会談の方である——そしてその主役を務めるのは、イランとブラジル両国の大統領に他ならない。

 ブラジルのルイース・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は昨夜、貿易や商業をはじめとする民間経済部門の関係者ら300名からなる随行団を率いて、自身初となるテヘラン訪問を果たした。ルーラ大統領に随行した関係者の数が極めて多いことからも、イランとの関係拡大へ向けた同大統領の力の入れようが分かる。今回の大訪問団は、政治・経済・貿易の各分野における両国の協力強化にとって、その先駆けとなりうるものである。

 しかしながら、今回のブラジル大統領のテヘラン訪問をより重要なものにしているのは、テヘラン原子炉の燃料交換に関して取り沙汰されている〔新たな〕提案の存在だ。この新たな提案を提示したのは、明らかにブラジル大統領であり、これに対してアフマディーネジャード大統領も数日前、原則的に同意する旨を発表している。

 ブラジル大統領の提案の詳細について、現在までどの情報筋も明らかにしていないが、一部非公式筋は以前、新たな提案は第三国で燃料を交換することをその骨子としていると指摘していた。

 一部情報筋は、ブラジルがイランのもつ濃縮度3.5%の燃料を他国の20%の燃料と交換するときの場所を提供することになるだろうと述べているが、その一方で、ブラジル紙『グロボ』は、トルコが燃料の交換地になるだろうと推測している。

 同紙によると、ブラジルのルーラ大統領は今回の訪問中に、核燃料交換に関して何かしらの合意文書の締結にこぎ着けたいとの意向を持っており、多くの専門家らは、同大統領ならばイランと西洋諸国の間で生じている核をめぐる論争を、話し合いに基づいて解決する方策を見出すことができるのではないか、と考えているという。

 こうした中、ブラジル大統領は昨日同国外相に対し、自身のカタール訪問に同行する代わりに、先にイランを訪問し、燃料交換問題に関して二国間で原則合意をあらかじめ取り付けておくよう指示した。

 日程によれば、ルーラ大統領は今日ハーメネイー最高指導者、及びアフマディーネジャード大統領と会談し、明日開催されるテヘランでのG15首脳会議に参加する予定だ。

 燃料交換問題は、昨年のメフル月9日〔2009年10月1日〕に行われた、イランと5+1グループ〔=国連安保理常任理事国+ドイツ〕の協議の最新ラウンドにさかのぼる。当時そこで提示された提案とは、・イランは自身が濃縮したウランをロシアに送る、・そこで同ウランを精製する〔=20%にまで濃縮度を上げる〕、・そこからフランスに送って核燃料棒にする、・そこからロシア経由で再度イランに送り戻す、という内容のものだった。

 イラン当局者たちは、西洋諸国の約束を信用していなかった(それは今も変わらない)ため、イラン領土内で交換を行うという条件で、燃料の交換及び購入に同意すると発表した。いつものようにイランへの追加制裁のための口実を待ち望んでいる西洋諸国は、イランの出した合理的な条件に対し、再び対イラン制裁強化を声高に叫ぶようになった。

 現在、イランの当局者たちは、燃料交換の提案に再び関心を示す構えを見せているように思われる。しかし、ロシアよりも信用に足る国がこの交換の中継地点になることが、その条件となろう。例えば、貧困層出身の大統領がいるブラジルのような国だ。

〔後略〕

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( 翻訳者:小野大器 )
( 記事ID:19190 )