イスラエルのアラブ系議員たちに強まる逆風、自由船団に乗船していたズアビー議員は議員特権を一部剥奪
2010年06月10日付 al-Quds al-Arabi 紙
■社説:アラブ系議員に殺害の脅迫
2010年06月09日付『クドゥス・アラビー』紙(イギリス)HP1面
イスラエル国会のアラブ系議員たちが、一人の例外もなく、ファシスト的右派議員たちによる悪辣なテロ・キャンペーンに晒されている。
平和と平等のための民主戦線所属のムハンマド・バラカ議員は、ヨルダン川西岸地区のニイリーン村で、[イスラエルによる分離壁の建設に反対する]村民と連帯していた際に、イスラエル兵に暴行したとの容疑で起訴され、禁錮刑が言いわたされる可能性がある。また、国民民主同盟所属のハニーン・ズアビー議員は、自由船団に参加していたことを他の議員たちから攻撃され、議員特権の一部を剥奪された。また、変革のためのアラブ・ブロック代表のアフマド・アッ=ティービー議員は、『プルサ・デ・ヌラ機構』と名乗るニューヨークのシオニスト組織から脅迫状を受け取った。プルサ・デ・ヌラとは儀式や祈り、礼拝などから成り、名指しされた人物の命を奪うユダヤ教の死の呪いである。
こうした殺害の脅迫はひじょうに危険だ。また自ら犯した2度の虐殺のために、イスラエルが現在、孤立と憎悪の中に置かれていることからくる動揺が、ユダヤ強硬派の間に広がっていることを示してもいる。一度目の虐殺は先のガザ攻撃の最中に行われ、二度目の虐殺はガザ地区への封鎖を解こうとした自由船団にイスラエルのコマンド部隊が突入した際に行われた。
ティービー議員が受け取った殺害脅迫状の狙いは明確だ。イスラエルへの敵対とシオニズムに反対する見解への罰として、180日の猶予を与えた後、むごい死を迎えることになるから遺言状を書けというのである。
我々はまた、[イスラエル国内の]イスラーム運動の指導者で、エルサレムのアル=アクサーモスクのユダヤ化に立ち向かう勇猛な闘士、ラーイド・サラーフ師が直面している事態も忘れるわけにはいかない。刑務所の中で人生の半分以上を過ごしたこの偉大な人物は、自由船団に乗っていた仲間たちと共に拘束され、拷問と屈辱に晒されたのだ。師は新たな容疑でイスラエルの法廷に立たされる覚悟をしているが、再び刑務所に戻る結果にもなりかねない。
1948年占領地[=イスラエル国内]でのアラブ系議員や活動家に対する攻撃は今に始まったことではないし、占領がはじまってこのかた60年、決して止むことはなかった。だが、その攻撃は今や恐ろしいまでにエスカレートしてきており、このことはイスラエル議会の外に脅迫や嫌がらせや攻撃が存在しているだけでなく、議会の中にも殺害と血に飢えたメンタリティが一部の右派議員にあることを示している。
不逮捕特権を享受している選出議員たちですらこうした脅迫や罵詈雑言、言葉による攻撃や身体的攻撃にしばしば晒されているのであるから(ティービー議員は議会の壇上から力づくで引きずりおろされた)、イスラエルのこうした人種主義的で怪物的なメンタリティの前で一般のアラブ系市民がどのような状況に置かれているかは言うまでもない。
こうした殺害の脅迫は真剣に受け止める必要がある。なぜならユダヤの過激派はこうした脅迫を実行に移すことをためらわないからだ。彼らはイスラエルのイツハク・ラビン元首相・軍司令官の暗殺をためらうことなく実行した。彼はイスラエルに奉仕し、1967年の[第3次中東戦争で]イスラエルに勝利をもたらした将軍であったというのに。
イスラエル国会のアラブ系議員は有権者たちのナショナルな感情を表現し、イスラエルの人種主義と傲慢とに抗い、イスラエルの民主主義の偽りの素顔を暴くことに大きく貢献している。それゆえ彼らは占領下に置かれた祖国の内外にいる全ての同胞からの支援と助力に値する。
我々、クドゥス・アラビー紙のスタッフは、これらすべての勇気ある議員たちの味方につくことを一瞬たりとも躊躇せず、彼らの苦難の大きさを伝え、アラブ諸国及び国際社会のあらゆる場における彼らの闘いに光をあて、アラブの同胞たちがあらゆる手段で彼らを支援するよう呼びかけていく。彼らはみな命を捧げる覚悟で、暴虐で恥知らずな占領の前に断固として立ち塞がっているのだ。
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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:19372 )