トルコ改革運動(TDH)リーダーで、シシュリのムスタファ・サルギュル市長が、政党発足を断念した。ケマル・クルチダルオール氏にチャンスを与えるべきだとして、共和人民党(CHP)への支持を明らかにした。これに対しクルチダルオール氏は「大変うれしい」と述べた。
リュトゥフィ・クルダル・コンベンションセンターで記者会見を行ったサルギュル氏は、(テロでの)犠牲者たちの冥福を祈ったあとに話を始めた。トルコは厳しい状況の中にあり、時代の転換期、分岐点にいると話し、政府が約束したことを実現できていないと批判した。「政府はもはや疲弊している。トルコを困窮させてしまった。実行したことは間違っていたし、主張したことはなにもできなかった」
‐CHPへチャンスを与える
トルコのかじ取りは重要な仕事であり、トルコは試験台ではないと強調するサルギュル氏は、もはや変革は避けられないものであり、トルコは日々失われる若者の命に対しこれ以上傍観者であってはならないと主張した。TDHはこの信念のもとに長い間闘ってきており、国家のために歴史的な役割を担ってきたと訴えるサルギュル氏は、下記のように述べた。
「我々の国に対する責任感から、トルコが今日陥っている状況を懸念し、流れる血を止めるため、わが国の政治の手助けをするため、政治の変革の風潮にチャンスを与えるため、今や自己を捨て、献身すべき時である。今日我々に与えられた使命は、トルコとトルコの未来を抱きかかえることである。ケマル・クルチダルオール氏がリーダーを務めるCHPが、幸せなトルコを求める国民たちの希望の風を生み出すと考えている。国民はCHPの改革にチャンスを与えるのを望んでいる。我々もまた、これまでと同様に国民の声に耳を傾けており、社会のこうした風にチャンスを与える必要性を感じている。このような状況で、人々の良心の声に耳を傾け、トルコ変革党の発足は見送ることとした」
‐非常に困難な選択だった
サルギュル氏はまた、TDHの考えや理念が国民の心に生き続けることや、TDHが新しい政治コンセプトをもたらし、そのコンセプトがトルコの政治において常に存在感を示すことになると主張した。TDHが政党にはならなくても、国に貢献し続けると言い、「非常に難しい決断だったと認識している。社会のニーズやトルコの将来を考えたうえの決断だった」と話した。また一方で、一部のメンバーと考えの食い違いがあったことを明らかにしたが、「しかし、国民は、今日のこの歴史的な決断をトルコにとって必要なものだったと理解してくれると信じている。国家と国民が幸せになることを祈る」と説明した。
会合のあと記者団の質問に答えたサルギュル氏は、CHP党首のケマル・クルチダルオール氏が新しい希望の風を起こしていると言い、そのために議席ではなくトルコのことを考えて今回の決断に至ったと繰り返した。先入観や個人的利益を排除して決断を下したというサルギュル氏は、「決心までに何日も考えた。最大限の注意を払って行動した。トルコの内外に平安をもたらすために決断した」と明かした。
‐クルチダルオール氏との相談はなし
セルギュル氏は、記者からの「今回の決断はCHPに戻るという決断なのか」という問いに対し、「この決断が『CHPへ加わるのか』という形で理解されるのではなく、我々の決意や自己犠牲精神を見てもらえればと思う。我々にとって大切なのはトルコである。この決断をする際に参考にしたのは、エルダル・イノニュ氏だ。彼の引き際が私に影響を与えた」と述べた。
今回の件でクルチダルオール氏との会談が行われたのかについては、「クルチダルオール氏とは一切話をしていない。CHP党首就任の際にお祝いの電話は入れたが、それ以外は全く連絡をとらなかった」と回答。TDHを発足させなかったことで、この活動は終息に、または別の方向へ向かっていくのかどうかとの問いでは、「今回の決定で我々の思想がなくなったということにはならない。政治の中で、TDHは常に役割を担っていく。9月12日に選挙が前倒しされて行われるという情報があるが、我々はトルコの未来を開くために行動を起こした」と説明した。
‐クルチダルオール氏は喜びを表現
CHP党首のクルチダルオール氏は、THDリーダーのサルギュル氏がCHP支持を表明したあとに、記者団の質問に答えた。
「CHPは現在、トルコを行き詰まり状態から救い出せる政党であり、現政権に代わり政権を担いうる最も可能性の高い政党である。サルギュル氏がこれを認め、CHPを支持してくれるのは歓迎である」。これはかつての駆け引きと同じなのではという問いには、「過去は過去。我々は未来に目を向けている。素晴らしいトルコを見据えている。人々に希望を与え、人々が安心して将来を考えられることを望んでいる。過去の議論を今持ち出すことが、メリットのあることだとは思えない」と返した。
‐CHP復帰は様子を見て
サルギュル氏がCHPへ戻る見込みがあるかどうかについて、クルチダルオール氏は「今はまだそのような希望について話をする時期ではない。我々が見解を出すのにはふさわしくない段階だと思う。まあ様子を見て」と控えめに語った。
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( 翻訳者:湯澤芙美 )
( 記事ID:19491 )