損保ジャパン、フィバ保険を買収、トルコで事業展開へ
2010年07月07日付 Hurriyet 紙
日本の損害保険分野で第2位、世界で第4位の保険会社である損保ジャパンが、フィバ保険の全株式を4億8500万トルコリラ(約281億円)で取得する手続きを、2010年10月までに完了し、トルコ市場へと正式に参入を行う予定だ。合意によると損保ジャパンはフィバ保険発行の全株式、もしくはほぼ全株式を取得する一方で、合計取得額である4億8500万トルコリラ(約281億円)は損保ジャパンの現金準備金から支払われる予定である。
日本のNKSJホールディングス株式会社の関連企業である株式会社損保ジャパンと、・グループの関連企業であるフィバ保険の間で行われた株式売買合意の詳細が示された記者会見には、フィバ・ホールディングのヒュスニュ・オズイェイン会長、フィバ保険のレジャイ・ダラシュ社長と株式会社損保ジャパンの大岩武史最高経営責任者が参加した。
フィバ保険のレジャイ・ダラシュ社長は会見で、フィバ保険は2002年に創業し、この7年間で3パーセントの市場シェアに達したと表現し、次のように述べた。
「現在我々は130万件の保険契約と100万人の顧客数に達している。合計保険料(掛け金)は2009年末時点で3億570万トルコリラ(約207億円)となった。我々損害保険業界は困難な1年を経験した。損失は必然的なものである。フィバ保険として我々は4年続けて株主資本において業界1位となっている。業界大手は株主資本においては我々より低い位置にとどまっている。保険損害率においても業界全体平均が74.2パーセントである一方、フィバの損害率は59.5パーセントだった。我々は自動車保険、交通事故保険においても損害率は76.7パーセントと業界平均より10ポイント低い。」
■「フィバ保険は完全なサクセス・ストーリー」
ヒュスニュ・オズイェイン会長は、フィバ保険が完全な意味において一つのサクセス・ストーリーを示していると強調し、「フィバ保険のサクセス・ストーリーは保険業界の歴史に刻まれることになる。7年間という期間で損害率の最も低い保険会社になり、4年連続で株主資本において第1位になる、そして同時に事業拡大にも成功した。この3つのプロセスを同時に行うことは決して容易なことではない。市場シェアを3パーセントに伸ばそうとすると、他の点、例えば損害率の上昇、利益の低下といったマイナス要因が生まれることもあった。しかしフィバはこれらのいかなるマイナス要因も出さず、損害保険業界の株主資本において第1位の企業となった。フィバ保険が創立以来新聞においてもテレビにおいても広告を行わなかったのは興味深い。広告を行わずにこの地点に到達したのだ。最良のサービスは、損害が発生した時に明らかになる。必要な時に完全な保険金の支払いを行い、自身の名を市場へ信用と共に刻み込んだ」と評価した。
オズイェイン会長は、フィバ保険のもう一つの特徴が、管理職や22人の役員が創立以来同社の10パーセントの株式を保有していることであると示し、「この成功において、役員が企業の株主であることも重要な要因であり、この成功は役員の頑張りのおかげで実現した」と話した。
■「我々は損保ジャパンのような世界的企業をトルコに誘致した。誇りに思う」
損保ジャパンが世界においても日本においても非常に重要な地位を占めていると強調したオズイェイン会長は、「私は損保ジャパンがトルコの保険業界に対しても非常に重要な貢献を行うだろうと考えている。品質の高いサービス、企業文化、そして世界規模の顧客をトルコへともたらすだろう。現在トルコにおいて一人当たりの保険料率は100ドル前後だ。日本においては840ドルという水準にある。経済が成長し一人当たりの国民所得が上昇すると一人当たりの保険料率も上昇する。損保ジャパンがこの点においてもトルコに貢献するだろうと私は信じている。損保ジャパンのような日本の、そして世界の大手保険会社の一つをトルコへ誘致したことに、私は幸せであり、誇りに思う」と話した。ヒュスニュ・オズイェイン会長は、フィバ保険に対し他企業からも申し出があったが、この企業の名は明かすことができないと話した。ヒュスニュ・オズイェイン会長は、会見で質問に回答する一方で、フィバ保険の売却で手にする資金をどうするのかという質問に対しては、「フィバ・ホールディングの投資は継続している。我々の最大の投資先はオズイェイン大学だ。新キャンパスの建設である。小売業においてはマークス・アンド・スペンサーやギャップとの国内外投資を継続している。エネルギー業界においては風力発電所計画がある。イスタンブルのクムポルト港における規模拡大も行う予定だ。我々はまずこれらの分野に焦点を当てる予定である。現段階では新たな投資分野へ参入することは考えていない。フィバ・グループとしても損保ジャパンと共に国内外において事業を行うことができる。我々は保険業界へ参入することは考えていない。しかし我々にはロシア、ルーマニアに保険会社を保有している」と回答を行った。
■「我々は市場シェアにではなく、継続可能な利益に焦点を当てている」
株式会社損保ジャパンの大岩武史最高経営責任者は、日本において損害保険、生命保険業界で業務を行っており、トルコを含む29の国々で認可を受け保険業務を行い、主にこれらの国々では損害保険分野を中心に事業を行っていると述べ、「我々の日本における合計保険料は201億ドルである。市場シェアは19パーセントだ。合計従業員数は1万7042人、販売員数は世界で4万9430人に達している」と話した。大岩武史最高経営責任者は、1年半の市場調査ののちトルコ市場への参入を果たしたと述べ、「フィバ保険は市場シェアという観点からではなく、市場における拡大事業とその成果という観点から、成功した企業であると我々は認識した。そしてこの方向は我々にとって魅力的に映った。我々は現在の経営を継続するつもりである。ただ一定期間後に日本人数名を経営へと参加させる。我々は損保ジャパンの組織的能力とノウハウをトルコ市場へと持ち込むつもりだ」と話した。
大岩武史最高経営責任者は、最初の基本目標は市場シェアではないと強調し、「我々の目標は利益を得ること、そして利益を長期間継続させることである。現在の経営陣とも我々はこの点において同じ意見を共有している。我々は5年、10年、20年という期間継続し得る利益を掴むことが、より重要であると考えている」と述べた。
損保ジャパンが世界では主に損害保険分野を専門としていると述べる大岩武史最高経営責任者は、「トルコでも我々は損害保険に焦点を当てる予定である。なぜなら市場を見ると、生命保険分野に比べて損害保険分野において、より大きな可能性が感じられるからだ。これは生命保険や個人年金分野へといかなる形式においても参入しないという意味ではない。しかし現段階では損害保険分野が重要だ。また、他の保険会社を買収するといった予定はない。我々はフィバ保険に焦点を当て市場における存在感を強めることを目標とする予定だ」と話した。
■「なりふり構わぬ競争には加わらない」
フィバ保険のレジャイ・ダラシュ社長も市場における競争状況に関する質問に対し、「市場では厳しい競争が行われている。しかし我々はこのなりふり構わぬ競争には加わらない。こうした競争に加わらずとも市場シェア、利益を上昇させ、維持することが可能であることを我々は示してきた。この点において業界に前例を作り上げるよう努めるつもりだ」と話した。損保ジャパンは現在の顧客資産により、トルコでの営業力を高めることができると述べたレジャイ・ダラシュ社長は、現在の状況においてはフィバ保険の100万人の顧客は、個人、そして中小企業の重要な資産であると話した。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:岩根匡宏 )
( 記事ID:19628 )