トルコ経済社会研究財団、クルド問題解決へ「17+1」提案
2010年07月19日付 Radikal 紙
トルコ経済社会研究財団(TESEV)は、クルド問題の「永久的」で「民主的な方法」による解決のために作成した報告書で、17の法律と憲法におけるいくつかの抜本的な改正を提案した。
トルコ経済社会研究財団が作成した報告書では、クルド問題の永久的・民主的解決のためには憲法とその他17の法律にいくつかの抜本的な改正が必要だとされた。報告書では、憲法とその他の法律がトルコの多民族構造に即して改正されるべきと強調され、「社会生活の様々な分野を規定する多くの法律は、トルコ人の民族的アイデンティティを推奨・強調する内容を含んでいる。この状況はトルコ社会の多民族構造とは相容れず、トルコ人の民族的アイデンティティを持たないクルド人やその他の国民を除外している」と指摘された。トルコ経済社会研究財団が17人の法律の専門家の協力のもと作成した「『クルド問題』の解決へ向けた憲法と法律に関する提案」という報告書の各章の冒頭は以下の通りだ。
■憲法は改正されるべき
憲法では序文を含めた全体で、トルコ人の民族的アイデンティティが強調されている。この強調は、本文中でしばしば繰り返される『トルコの祖国と民族、崇高なトルコ国家、トルコ民族・トルコ語、トルコ文化、トルコの歴史』といった表現に表れている。この言葉は、様々な民族的起源を持つ人々から成るトルコ社会の多民族構造にはそぐわない。
このため新しい憲法では、いかなる民族的アイデンティティにもこのような言及がなされてはならない。憲法の中の多くの条項にも、様々な法律にも表れる『トルコ民族』という表現は、トルコ共和国の国民という表現に変えられなければならない。
■政党法
政党法は、民主主義の法治国家の原理にそぐわず、このためその全てに変更が必要な法である。一方クルド問題の解決の観点から、この法律の第43,81,82,10,103条の改正にはすぐに、何よりも最初に取りかかる必要がある。
■公職選挙法
全ての政党に適用されるが、10%の最低得票数のラインは、クルド問題の解決を推進するために擁立された政党の候補者たちが国会議員となることへの、事実上の障害となっている。
■トルコ刑法
トルコにおいて表現の自由を基本的な障害として、トルコ刑法の第301条に目が向けられているが、法律には他にもクルド人から見て問題である条項がたくさんある。クルド問題の平和的解決のための要求や提案を主張し、国家の諸政策を批判し、クルド人の基本的な権利や自由を主張する政治家たちや地方の統治者たちは、トルコ刑法の第216,220,222,314,318条に基づき、収監、または未収監の形で裁判にかけられ、重い禁固刑の判決を受けている。
■テロ対策法
今日の状況で、テロ対策法(TMK)は、人々の自由や安全よりも国家の安全のためのものであり、基本的な権利や自由は厳しく制限されている。
■国民教育法
トルコの教育法の全体を、法律、社会的平和、人権、平等の原理に基づき、多民族主義を前提とした、多様性に配慮した形で改正しなければならない。国民教育法の「教育の目的」に関する条項は、教育を国家のイデオロギー的・単民族主義的にみている。
■県行政法
多くの町や場所の名称が変更された。1949年に発布された県行政法が、この名称変更の法的根拠となっている。
■名字法
トルコのクルド系国民を、異なる人種、民族として扱ってはいないものの、実際には、裁判所が、人々のクルド語の名字を選ぶことを、名字法の第3条を理由に妨害することが可能となっている。
■文字法
東部および南東部では、文字法に反したとして多くの人が裁かれている。
■その他
報告書ではさらに、ラジオやテレビなどの設立・放送に関する法や、トルコ・ラジオ・テレビ法、経済機構におけるトルコ語使用義務に関する法、村法、テロとテロとの戦いによる被害に関する法、選挙の基本的正当性と選挙人名簿に関する法、緊急事態法、外国語教育法の改正も提案された。
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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:19723 )