詐欺師一家、テヘランで「天国の土地」を前売り
2010年07月21日付 Jam-e Jam 紙

ある家族ぐるみの組織が、災いを遠ざける、家族の罹った不治の病を治療する、さらには天国の土地を販売するなどと称して人々をだます、詐欺事件が発覚した。

 ジャーメ・ジャム紙の報道によると、ある女性が数日前、テヘラン第五地区検察庁予審第八課を訪れ、ある家族を詐欺の容疑で訴えた。

 訴えを起こした女性は事件の詳細を述べるなかで、ゴリープール予審判事に次のように話した。「以前、あるパーティーに招かれ、そこでピールーズという名の男と出会いました。彼は親兄弟ともども、『時のイマーム』のいるお隠れの世界と通じており、人々の祈りをイマームに届けることができる、不治の病も治すことができる、などとと主張していました」。
〔※「時のイマーム」とは、終末のときに救世主として再臨すると信じられている第12代イマームのこと。イスラーム教シーア派(十二イマーム派)では第12代イマームは死んだのではなく、現世から「お隠れ」(ガイバ)の状態にあるとされる〕

 女性は、次のように続けた。「この出会いをきっかけに、私は〔ピールーズの言うことに〕興味を持つようになり、彼らが開く別のパーティーにも出席することにしました。こうして、毎週木曜日の夜に集会に出席して、彼らの話に耳を傾けるようになりました。ピールーズはこうした集会で、祈りの文句を唱えていました。祈りを唱えることで、ジン(精霊・悪魔)もここから退散する、と言っていました」。

■ジンを遠ざけるためにお金を払い‥‥

 被害女性はさらに、次のように述べた。「この家の母親や娘は、ジンを遠ざけるためと称して、私たちからお金を徴収し、それと引きかえに、特別だという板やシャツを私たちに寄越しました。板を部屋につるし、シャツは一週間のうち二日間着用、その上で鏡の中に映った自分を何度か見て、そこに息を吹きかけるよう、私たちに求めてきました」。

 訴えを起こした女性は続けて、次のように述べた。「ピールーズとその家族はさらに、私を含むパーティーの参加者たちを三日間にわたって、イラン北部の田舎町に連れて行き、森の木々の横に座って祈りの文句を反復するよう求めてきました。旅行が終わってテヘランに帰る途中、ピールーズはおもむろに『間もなくテヘランで地震が発生し、多くの人が命を落とす。天国の洞窟や土地を私たちから買えば、九死に一生を得ることができる』などと言ってきました」。

■空想上天国の土地を買う

 被害者はさらに続けた。「彼らは、『私たちが死んで天国に行くまで、天使たちがその場所を守ってくれる〔ので、今のうちに天国の土地を買っておいて損はない〕。もし疑いを口にすれば、近縁の者が病にかかる』などと言ってきました」。

 「その日、家に帰ると、私の子供が病気なっていることに気がつきました。私はとても驚き、狼狽して、ピールーズに助けを求めました。彼は数回に分けて、6100万トマーン〔約600万円〕を私から受け取り、天国にある空想上の土地の所有証明書を私に渡して、『この土地を買ったから、もう大丈夫だ。ご子息の病気は治癒するだろう』などと言ってきました」。

 被害者は続けて、次のように語った。「子供の様子が悪化したので、お医者さんのところに連れて行きました。診察の結果、子供は不治の病などではなく、単に暑気にあたって気分が悪くなっただけだということが分かりました。こうして、ペテン師一家が詐欺行為を働いていたことが分かり、私は彼らの家に行きました。しかしすでに彼ら五人家族は、知らぬ間に行方をくらませていました」。

 訴えを受け、本件はテヘラン情報公安部第2基地の捜査官らの手に委ねられ、詐欺師一味の捜索が始まった。

■同様の訴え、次々と寄せられる

 捜査が続くなか、別のテヘラン市民数名からも、警察署に同様の訴えが寄せられた。捜査官らは捜査を続けるなかで、これらの被害者も同じ詐欺師一家の罠にかかり、自然災害を遠ざける、不治の病を治療するなどの口車に乗せられて、1000万から5000万トマーン〔約100万円から500万円〕を払い込み、天国にある空想上の洞穴や地面を買っていたことが判明した。

 この報告によると、テヘラン情報公安部第2基地の捜査官らによる一味逮捕へ向けた捜索が、すでに開始されているという。

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( 翻訳者:太田歩美 )
( 記事ID:19807 )