高等軍会議は4日間の緊迫した話し合いの後、終了した。ウースズの陸軍総司令官への就任が否決されたため、トルコ国軍(TSK)の高等司令官の後任者も決定されなかった。
軍高等会議が続いている間、エルゲネコン捜査を担当したイスタンブル特別共和国検察事ゼケリヤ・オズが、「インターネット情報」に関する捜査で「疑わしい」と表したハサン・ウースズ大将は、アブドゥッラー・ギュル大統領、タイイプ・エルドアン首相が阻んだことにより、陸軍総司令官には任命されなかった。それに対し参謀本部は新しい名前を提示せず、陸軍総司令官にウースズ以外の人物が任命されることも無かった。陸軍総司令官の人事が決定されなかったため、参謀総長への就任が期待されたウシュク・コシャネルの任命も延期となった。軍高等会議の結果、トルコ国軍の15人の大将の任命に関して確定したことは、バシュブーの退官と、中将のヤルチュン・アタマンとセルヴェト・ヨリュクの大将への昇格である。
■サルドゥライ・ベルクはアンカラへ
バルヨズ・クーデター計画事件の容疑者である11人の士官の昇進に関する決定は2011年に延びた一方、エルズルムでのエルゲネコン捜査の第1容疑者であった第3軍司令官サルドゥライ・ベルクは陸軍教育・訓練司令官となった。
陸軍総司令官とバルヨズ容疑者将官たちにより危機的な状況に陥った高等軍会議は4日間続き、参謀総長と陸軍総司令官の人事が決定されないまま終了した。陸軍総司令官の後任が決定されなかったため、陸軍総司令官ウシュク・コシャネルもイルケル・バシュブーの後任として参謀総長に指名されることはなかった。
参謀本部司令官と軍司令官の任命は4つの決定文書でもって完了されるため、コシャネルと新しい陸軍総司令官の登用は高等軍会議から独立して行われる。政府によるこの2つの階級への任命は、8月30日までの期間に行われる。
大将の階級においては2人の昇進のみが決定され、高等軍会議終了後、新たに昇進することのなかった2人の大将が退官する。退官する大将のうち確認されているのはイルケル・バシュブーである。もう一人の大将は、高等軍会議が始まる前までは、軍警察総司令官アティラ・ウシュクであると予想されていた。しかし、政府はウースズを陸軍総司令官に任命しなかったため、退官する2番目の人物がウースズとなる可能性が強まった。8月30日までにウシュクが陸軍総司令官の地位に登用されれば、ウースズは現在の無官の状態から退官へと追いやられることになる。
第2軍司令官ネジデト・オゼルはウシュクの後任として軍警察総司令官に任命された。オゼルは1年間任務に就いた後、2011年に陸軍司令部に入ることが予想されている。
大将に昇格した2人の中将のうちの一人であるセルヴェト・ヨリュクは、ネジデト・オゼルの後任として第2軍司令官に任命された。ヤルチュン・アタマンはサルドゥライ・ベルク大将の後任となる第3軍司令官に登用された。
エルズルムでのエルゲネコン裁判第1容疑者であったサルドゥライ・ベルクはエルダル・ジェイランオールの後任として陸軍教育・訓練司令官に任命された。ジェイランオールはウースズの後任として第1軍司令官に任命された。
バルヨズ裁判に関係して逮捕命令を出された11人の将官は、今年の高等軍会議において昇進が期待されていたが、政府から異議がでたため昇進とはならなかった。
参謀本部法律顧問官フフズ・チュブクル准将は最近、インターネットに流された自身に関する録音記録によって話題となっていた。チュブクルはこのところ、ウースズと共に「インターネットの情報」と呼ばれた記録に関し、説明を求められていた。
■「反動との闘争」クーデター計画の容疑者が昇進
昇進した他の注目すべき人物たちはというと、2年前、参謀本部広報局長に就任したメティン・ギュラク准将と、2年間参謀総長のバシュブーの官房長として任務を行っていたウウル・タルチュン准将である。
「反動との闘争行動計画」の文書に署名があったと噂された最上級海軍大佐ドゥルスン・チチェキと共に、疑わしいとして説明を求められていた人物の一人であり、アクサズ海軍基地司令部で任務に就いていた海軍司令部大佐シャファク・ユレクリも准将に昇進した。
会議での決定で8月30日以降、海軍少将に昇進するエルデム・ジャネル・ベネル海軍准将もバルヨズ捜査に関し、供述を行ったと言われている。しかしながら、ベネルはバルヨズ裁判の告訴状の中では容疑者として記載されていなかった。
■本日以降の司令官職
「本日(5日)以降」トルコ国軍の役職は以下の通りとなる:
参謀総長:イルケル・バシュブー大将(ウシュク・コシャネルがその後任として予想される)、陸軍総司令官:ウシュク・コシャネル大将(この地位は空席となる)、海軍総司令官:エシュレフ・ウウル・イィト海軍大将、空軍総司令官:ハサン・アクサイ空軍大将、軍警察総司令官:ネジデト・オゼル大将(新任)、第1軍司令官:エルダル・ジェイランオール大将(新任)、第2軍司令官:セルヴェト・ヨリュク大将(新任)、第3軍司令官:ヤルチュン・アタマン大将(新任)、エーゲ軍司令官:ハイリ・クヴルクオール大将、陸軍教育・訓練司令官:サルドゥライ・ベルク大将(新任)、参謀副総長:アルスラン・ギュネル大将、陸軍総司令官:ベキル・カラヨンジュ大将、艦隊総司令官:エミン・ムラト・ビルゲル海軍大将、軍学校総司令官:ヒュセイン・ヌスレト・タシュデレル大将、参謀副総長補佐官:ビルギン・バランル大将
■高等軍会議の内容
高等軍会議の3日目、危機的状況は突然生じた。レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は4日の朝、参謀司令本部へ承認の署名のための訪問を行わず、軍会議がエルドアン首相抜きで行われるという新たなボイコットが起こった。そのため参謀指令本部および首相府では朝から晩まで、目が回るような折衝のやりとりが行われた。
参謀司令本部の側に取材拠点を置いた記者らは、首相が署名を行うため司令本部を訪れるのを待った。しかしながら、高等軍会議史上初めてエルドアン首相が会議を欠席するという事態が生じた。そのため、承認が達成されず、組織委員たちは4日目も話し合いをを続けるため集合した。高等軍会議は昨日(4日)、以下のように行われた:
09:30. 高等軍会議の危機的状況を脱するため、通常、決定の開示が必要な4日目にも会議が続けられた。エルドアン首相は会議に出席しなかった。
10:45. エルドアン首相は司令官寄宿舎から出て、首相公邸へと向かった。
11:00. サドゥッラー・エルギン法務相は首相公邸へ向かった。
12:20. 高等軍会議、「非常に長引いた」4日目の会議の午前の部が終了した。
12:30. エルドアン首相と1時間半面会したエルギン大臣は公邸を後にした。エルギンがその後、異なる入り口から再び公邸へ入ったことが知られたが、どのくらいの時間、滞在したかは明らかにされなかった。
14:00. 高等軍会議、「非常に長引いた」4日目の会議の第2部が始められた。エルドアン首相は第2部にも参加しなかった一方、ギョヌル国防相の出席が確認された。
14:00. エルドアン首相がラレ・マンスルと同行の代表団と面会している間、公正発展党ベキル・ボズダー党首が公邸を訪れ、面会終了後、15:30までエルドアン首相と会談した。
15:50. 高等軍会議4日目の会合の終了が明らかになった。司令官たちは参謀司令部を後にした。
16:55. ベシル・アタライ内相が首相公邸へ向かった。
17:05. ギョヌル国防相も首相公邸へと向かった。首相府筋により、ギョヌルが高等軍会議を開くために公邸を訪れたことが伝えられた。
17:10. 参謀人事部長ライフ・アクバシュ中将が首相公邸へ入った。
17:20. 首相府事務次官エフカン・アラが首相公邸へ入った。
18:45. アクバシュ中将の乗った車が首相公邸を後にした。
18:55. アタライ内相が首相公邸を後にした。
18:57. アクバシュ中将が再び首相公邸を訪れたことが目撃された。
19:15. アラ長官は首相公邸を去り、首相府に向かった。
19:25. ギョヌル大臣も公邸を後にし、首相府に向かった。
19:50. 参謀総長バシュブー大将は同行のライフ・アクバシュ人事部長と共に大統領府へ向かった。
19:55. 国防省ギョヌル大臣も大統領府へと向かった。
20:40. 大統領府での面会が終了した。
22:00. 参謀総人事の結果が発表された。
■どの軍人がどの役職に就いたか
2010年8月30日に実現される、階位が一つ上がった将官・士官、大佐のリストは以下の通り:
<陸軍総司令部>
*大将に昇格した中将:ヤルチュン・アタマン、セルヴェト・ヨリュク
*中将に昇格した少将:アブドゥッラー・レジェプ、カミル・バシュオール、ヒュセイン・ケナン・ヒュスニュオール、オルハン・アクバシュ
*少将に昇格した准将:イブラヒム・ソルマズ、シェノル・アルプアルスラン、ユルマズ・ウヤル、ウウル・タルチュン、タイフン・オズデン、メフメト・ファルク・シェンギュン、イスマイル・メディン・テメル、シェレフ・オンガイ、サドゥク・チェリキョルス、メティン・ギュラク、サリフ・ウルソイ、フフズ・チュブクル
*准将に昇格した大佐:ムハッレム・メティン・オズベク、ムザッフェル・ソンメズ、メフメト・アイユレキ、ムスタファ・ウズン、オメル・シェヴキ・ゲンチチュルク、ヒュセイン・ハムディ・エルギュン、メフメト・オズオール、アティッラ・シリン、メムドゥフ・ハクビレン、ヤブズ・セリム・ケフヴェジ、ハリル・イブラヒム・エルギン、スィナン・ヤイラ、ムスタファ・アイサン、ハカン・アトゥンチ、カフラマン・ギュネシ、レフェト・セヴィンチ・シャシュマズ、メティン・アッカヤ、アブドゥッラフ・バイサル、メフメト・ハルク・ユルドゥズダン、ヴェリ・タラクチュ、レヴェント・キョセ、ケマル・コルクマズ、エルカン・アタライ、ルザー・チャアタイ・エルドアン
<海軍総司令部>
*海軍中将に昇格した海軍少将:デニズ・ジョラ
*海軍少将に昇格した海軍准将:エルデン・ジャネル・ベネル、アフメト・スィナン・エルトゥールル
*海軍准将に昇格した大佐:オメル・ファルク・ハルマンジュク、スィナン・アズミ・トスン、シャファク・ユレクリ、ファフリ・ジャン・ユルドゥルム、ハサン・ドアン、アリ・サディ・ウンサル、メフメト・シェヴキ・シェケレフェリ。
<空軍総司令部>
*空軍中将に昇格した空軍少将:トゥルグト・アタマン、ネジャト・ビルギン
*空軍少将に昇格した空軍准将:ハサン・ヒュセイン・デミルアルスラン、ニハト・キョクメン、ビュレント・コジャバブチュ、アリ・デミラル、アイハウン・ギュムシュ
*空軍准将に上階した大佐:イドゥリス・アクソイ、ハカン・タシュケセン、メフメト・エルデム、メフメト・ウウル・バルクシュ、クビライ・バルオール、メフメト・ジャヒト・バクル、イスマイル・ヤルチュン、ギョクセル・カフヤ
<軍警察総司令部>
*軍警察少将に昇格した准将:ユスフ・カヤ、アタ・カルカン
*准将に昇格した大佐:アリ・チャルダクジュ、サリフ・カラタシュ、ギュライ・アリパル、ナムク・ボラン
<ギュルハネ軍医学アカデミー>
*准将に昇格した大佐:フィクレト・アルパジュ、ユスフ・ペケル、ウフク・デミルクルチュ、ジャン・ポラト・エイギュン
*海軍准将に昇格した大佐:ベキル・ストゥク・ジェベジ
■昇格とならなかったバルヨズ事件の容疑者たち
高等軍会議では、バルヨズ裁判の容疑者11名の将官を昇進させなかった。これらの人物は、昇進とはならずに、勤務地も変更させられた。バルヨズ裁判で審理にかけられているため、昇進できなかった将官は以下の通り:
第6軍団中将ネジャト・ベク、陸軍学校アカデミー司令官少将アフメト・ヤヴズ、少将サリム・エルカル・ベクタシュ、ハッキャーリ第3歩兵軍団司令官少将ギュルドゥズ・カヤ、北部海域司令官海軍中将メフメト・オトゥズビルオール、南部海域司令官海軍中将カーディル・サドゥチ、海軍准将アブドゥッラー・ガヴレムオール、海軍准将アフメト・トゥルクメン、軍警察少将ハリル・ヘルヴァジュオール、軍警察准将アリ・アイドゥン、軍警察准将オメル・ミミルオール
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( 翻訳者:西山愛実 )
( 記事ID:19874 )