外国人観光客数が爆発的に膨れ上がる夏の観光シーズンを迎えるトルコに、良い知らせと悪い知らせがひとつずつ舞い込んだ。
ウォールストリートジャーナル紙(以下WSJ紙) は、ギリシャの代わりにトルコを訪れる観光客の増加がみられる一方で、ガザ支援船襲撃の影響からかイスラエル人観光客数が、実に90%も減少したことを明らかにした。
WSJ紙は、ギリシャで発生した金融危機とそれに伴うデモなどの抗議活動が、ギリシャを訪れようとする観光客の数の減少に繋がったのではないかとしており、こういった観光客の足がトルコに向いたのではと分析している。
ギリシャで続く街頭での(金融危機に対する)抗議活動に関連する画像や見出しに踊らされていないとしても、ユーロ高が旅行者に他の行き先を探させるように仕向けている。ギリシャのホテルや旅行代理店が提示する格安価格も、観光客の心を掴むには至っていない。
こうした状況は経済成長の減速と財政赤字の問題に悩むギリシャにとって、非常に頭の痛いニュースとなっているが、エーゲ海の反対岸に位置するトルコにとっては、絶好の機会と言える。
■新記録への期待
トルコにおける観光業は、2010年度に樹立されるであろう新記録への期待で胸を膨らませている。アンタルリヤのように毎年相当数の観光客を獲得している地域では、第二四半期における観光収入が7.4%増大したことが明らかになっている。航空当局でも、トルコへの入国者数が今年の上半期だけで、25%増加したことを発表した。
イギリス、マンチェスターで退職した電機技師であるジョージ・ロウは「長い間、二週間ギリシャで休暇を過ごすことが毎年の決まりでした。今年は、(ギリシャ危機に伴う)過激な事件の発生とコストの高まりによって、別の休暇先を見つけなくてはなりません。数ある候補のなかでも、トルコは最も理想的な解決策であると感じています」と語った。
年間1500万人もの観光客が訪れるギリシャでは、観光業による収入が国内総生産(GDP)のおよそ15%を占めている。
ギリシャの2010年度の観光収入は、別のセクションでも去年の同じ時期と比較して9%の減少が見られる。また、ギリシャ政府の取った緊縮政策に抗議行動が激化するのに伴って、5月は3万件もの予約がキャンセルされた。
■イスラエルからの旅行者減少
一方トルコは、2009年度には2700万人の観光客を迎え入れ、一昨年に比べて3%の増加を記録した。
2010年度には5~6%の成長が期待されているトルコのこの状況は、経済的に困難な状態を送っている、スペインやポルトガルといった観光国に、十分対抗できる絶好の機会だと捉えられている。
トルコの観光業者を喜ばせるこうした展開のなかで、ひとつ悪いニュースがイスラエルからもたらされた。5月31日に9名が亡くなったガザ支援船襲撃事件によって両国間に緊張が高まったことが原因で、イスラエルからの観光客がトルコ行きの旅行をキャンセルし始めたのである。
文化観光省が開示したデータによると、2010年の6月にイスラエルからトルコを訪れた観光客は2千605名だった。昨年の同じ月の観光客数は2万7千289名である。
今年の最初の半年でトルコを訪れたイスラエルからの観光客数も2009年の同じ時期と比較して17.9%減の7万5千71名に留まった。
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( 翻訳者:沓澤実紗子 )
( 記事ID:19878 )