バシュブー参謀総長離任式、異例の「国家名誉メダル」授与なし
2010年08月28日付 Yeni Safak 紙
YAŞ(高等軍事評議会)での緊張状態は、イルケル・バシュブー参謀総長の離任にも反映した。ここ12年間の慣例を破り、コシャネル大将に任務を引き継いだバシュブー大将には「国家名誉メダル」が授与されなかった。
イルケル・バシュブー大将は、式典で参謀総長の任務をウシュク・コシャネル大将に引き継いだ。参謀本部で執り行われた離職式ではイルケル・バシュブー大将に「国家名誉メダル」が授与されないという衝撃的な事件があった。ここ最近の4人の参謀総長に「国家名誉メダル」が授与されているにも関わらず、昨日(27日)任務を終えたイルケル・バシュブー大将に対してはメダルの必要がないとされたせいである。国家に貢献した人物に贈られるメダルを贈る際に必要な閣議決定は出されなかった。
■慣例が破られた
メダルは、参謀総長の退任の日に官報で公表され、それにもとづき授与されるものであるが、今年は授与されなかった。この結果、退職した参謀総長らにメダルを授与するという伝統と慣例が破られた。バシュブー大将にメダルが贈られなかったことについて、高等軍事評議会での緊張状態が大きく影響したとみられている。高等軍事評議会では、バシュブー大将が提案したウースズ陸軍司令官登用案とベルク処分案を文民メンバーが容認せず、任命問題が起こっていた。これまでは退職したイスマイル・ハック・カラダユ元大将、ヒュセイン・クヴルクオール元大将、ヒルミ・オズキョク元大将、ヤシャル・ビュユクアヌト元大将に、閣議の決定に基き国家名誉メダルが授与されてきた。
■声は震え、涙ぐんだ
一方、アブドゥッラー・ギュル大統領とレジェプ・タイイプ・エルドアン首相も参加した式典では感動的な場面もあった。50分にわたる退職のあいさつを述べたバシュブー大将は、あいさつの最後で妻と子供たちに50年間の軍人生活を支えてくれたことについて感謝し涙ぐみ、声は震えた、そしてしばらく話すことができなかった。この際、式典の参加者らは拍手でバシュブー大将を応援した。バシュブー大将は退任挨拶のなかで、以前行った(「反動との闘争」クーデター計画に関する)いわゆる「一片の紙片会見」は、その当時手元にあった情報に基づいて行ったことであり、トルコ軍による全ての発表は熟慮のすえに行われたものであると述べた。そして、裁判中の案件に関する書類や密告がメディアに漏えいするのは問題であり、それにより意図的につくられたイメージは誤認であり、司法の守秘義務が侵害されているとのべた。
■コシャネル大将はメディアを標的にした
新任のコシャネル参謀総長もメッセージをこめた演説をした。コシャネル大将は、現在、軍を標的にした不可解な動きがあり、こうした動きの目的が、トルコ国軍を攻撃しそれにより国家を弱体化させることにあると主張した。コシャネル大将はさらに、「国軍とその一部軍人にむけられた疑惑は、その多くが依然、真偽の定かではないものである。これらは、、特定の組織から世間に、さも真実であるかのように示され、国民を上手にだましている。トルコ国軍は残念ながら中傷や違法な行いの標的になってしまった。一部の捜査では、守秘義務が遵守されず、捜査の結果がメディアに漏えいし、世論が間違った方向に導かれるきっかけが作られてしまった」と述べた。
■職業軍に反対である
コシャネル大将は、トルコ軍は、その力を国民の軍に対する信用と兵役をつとめる兵士たちから得ており、「国民軍」であると述べた。「トルコ国軍において徴兵された兵士の代わりになるものはない。トルコ国軍の一部に、経験を必要とする任務のために限定的に専門的な人員を雇うことは『職業軍への移行』を意味するものではない。『特別軍』という表現にいたっては、全くの間違いである。トルコには唯一つの軍隊があり、それはトルコ国軍である。代わりはないし、ありえない」と述べた。
■終着点はMHPとなった
イルケル・バシュブー参謀総長は、引き継ぎ式の直前MHP(民主主義者行動党)党本部に向かい、バフチェリ党首とMHP幹部に別れを告げた。デヴレト・バフチェリ党首は、参謀総長としての最後の日に、イルケル・バシュブー大将を党本部の門の前で出迎えた。1時間にわたる面会の後、バフチェリ党首は、再び門まで出向き見送った。イルケル・バシュブー大将は、前の参謀総長とは違い、第一党と第二党以外の党も訪問した。ビュユクアヌト元参謀総長は、2008年に退職した際、エルドアン首相とその当時CHP(共和人民党)党首であったデニズ・バイカル氏を訪問しただけだった。バシュブー大将は、(主要2党に加え)MHPも訪問した。しかし、バシュブー大将がもうひとつの国会会派であるBDP(平和民主党)は訪問しなかったことは意味深い。
バシュブー大将は、今後、ボドルムに建てた別荘で暮らすという。
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( 翻訳者:小松裕美子 )
( 記事ID:20043 )